BS11(イレブン)さん他で、4月7日(月)から放映が始まった深夜アニメ「ざつ旅-That's Journey-」。原作は石坂ケンタ氏による漫画で、KADOKAWAさんの月刊コミック誌『電撃マオウ』で平成31年(2019)に連載が始まり、コミックス(単行本)は既に12巻まで出ています。
新人賞は獲ったものの、まだ連載は持たせてもらっていない、プロの漫画家志望の女子大生・鈴ヶ森ちかが主人公で、作品のインスピレーションを受けるため、日本各地を旅するというストーリー。行き当たりばったりで雑な計画の旅が多く、そこで「ざつ旅」。
アニメの第2話の行き先が宮城県松島周辺です。
原作の石坂氏の漫画では、主人公・ちかが瑞巌寺さんを訪れ、おそらく「光雲観音」も目にしたという感じになっていますが、権利関係への配慮でしょうか、像自体は描かれていませんでした。
ところがアニメでは、いろいろクリア出来たのでしょう、「光雲観音」が登場します。
過日もちらっと書きましたが、先日、昭和3年(1928)の「光雲観音」落成法要の際に配付された『松島聖観世音奉安趣意書』を入手しました。
それによれば、元々は注文主もなく観音信仰の篤かった光雲が畢生の作を作ろうと独自に作り始め、やがて噂を聞きつけた個人や法人から「ぜひ買いたい」との声が殺到。いろいろ審査した結果、当時あった宮城電気鉄道という会社が落札したという感じです。同社は現在のJR仙石線にあたる路線を保有し運行していまして、昭和2年(1927)には路線が松島公園駅(現在の松島海岸駅)へと延伸され、その記念と、無事故等の祈願のためという趣旨でした。当初は瑞巌寺さんではなく、松島公園駅近くのお堂に奉納されましたが、その後、太平洋戦争の影響で同社は消滅、像も瑞巌寺さんへ移されました。ただ、移転の時期は当方把握しておりません。
また、趣意書に像高は一丈二尺(約3.64㍍)であることも明記されていました。よくある規格の一丈六尺(約4.85㍍)かと思っていましたが、一回り小さいサイズでした。
さて、アニメ「ざつ旅-That's Journey-」、先週の「第1旅 はじめの1225段」を拝見しました。行き先は会津、「1225段」は羽黒山湯上神社さんの石段。その他、飯森山や栄螺堂、東山温泉などが舞台でしたが、それぞれの風景の絵がとにかく緻密で感心しました。日本のアニメーション技術の凄さを再確認した感じです。上の画像にある次回の「光雲観音」も精妙に描かれています。おそらく写真等をCG処理しているのだと思われますが。
漫画「ざつ旅-That's Journey-」。通読はしていませんが、以前から存じていました。コミックス第3巻(令和2年=2020)で、光太郎第二の故郷・岩手花巻が舞台となり、主人公・ちか他が当方も定宿としている大沢温泉自炊部さんに宿泊、という設定でしたので。
その頃には東北新幹線新花巻駅にポスターが貼ってありました。また、当の大沢温泉自炊部さんの無料休憩スペースに現物が置いてあり、拝読。残念ながら光太郎ゆかりの宿、という記述がありませんでしたが、花巻の旅全体としては宮沢賢治記念館さんやマルカン大食堂さんなどが舞台となっていて「ふむふむ」という感じでした。花巻の方にはおなじみの「満州にらラーメン」も登場します。
アニメの放映がいつまでで、コミックスの何巻までが扱われるのか等不明ですが、花巻編まで含めていただきたいものです。
ちなみにBSイレブンさん以外にも、地方の地上波局でも放映があります。
まずは第2旅・松島編、ご覧下さい。
【折々のことば・光太郎】
東京にゆくと随分もみくちやにされさうですが、なるべく逃げて仕事第一としますが、貴下とは以前から考へてゐたこととていづれゆつくりのみたいものです、
生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のため、再上京する直前の書簡です。一見のんきなことを書いていますが、自らの余命がそう永くないことを自覚していた光太郎、とにかく像の完成を第一に考えていました。そのため訪問客やいろいろな誘いはできるだけ断るつもりでした。
新人賞は獲ったものの、まだ連載は持たせてもらっていない、プロの漫画家志望の女子大生・鈴ヶ森ちかが主人公で、作品のインスピレーションを受けるため、日本各地を旅するというストーリー。行き当たりばったりで雑な計画の旅が多く、そこで「ざつ旅」。
アニメの第2話の行き先が宮城県松島周辺です。
ざつ旅-That's Journey- 第2旅「伊達じゃない! きときとふたり旅」
BS11 イレブン 2025年4月14日(月) 23:00〜23:30漫画賞の新人賞を受賞した漫画家志望の女子大生・鈴ヶ森ちかは、ある日、編集部に新作のネームを3本持ち込んだものの全ボツを食らってしまう。心が折れそうになったとき、唐突に胸の中に溢れてくるものがあった。
「どこか、旅にでたい…」
面白半分でSNSにて旅先のアンケートを取ってみると、まさかの大きな反響があり、引くに引けない状態に…!
でも、旅にでたい気持ちは本物。覚悟を決めたちかは、アンケート頼りの行き当たりばったりな旅を始めることに。時に一人で、時に友人たちと−−。「ざつ」だからこそ思いがけない出会いが待っている、“ざつ旅"へ出発 !
またしてもネームがボツになったちかは、悪循環を断ち切るために再び旅に出ようとする。アンケートの結果、今回の旅先は宮城県の松島に決定! 松尾芭蕉も訪れた…。
出演 月城日花 鈴代紗弓 平塚紗依 佐藤聡美 日笠陽子 小林ゆう 窪田等
松島と言えば瑞巌寺さんですね。こちらの庫裡(くり)には光太郎の父・光雲の手になる巨大な聖観音像(通称「光雲観音」)が納められています。またしてもネームがボツになったちかは、悪循環を断ち切るために再び旅に出ようとする。アンケートの結果、今回の旅先は宮城県の松島に決定! 松尾芭蕉も訪れた…。
出演 月城日花 鈴代紗弓 平塚紗依 佐藤聡美 日笠陽子 小林ゆう 窪田等
原作の石坂氏の漫画では、主人公・ちかが瑞巌寺さんを訪れ、おそらく「光雲観音」も目にしたという感じになっていますが、権利関係への配慮でしょうか、像自体は描かれていませんでした。
ところがアニメでは、いろいろクリア出来たのでしょう、「光雲観音」が登場します。
過日もちらっと書きましたが、先日、昭和3年(1928)の「光雲観音」落成法要の際に配付された『松島聖観世音奉安趣意書』を入手しました。
それによれば、元々は注文主もなく観音信仰の篤かった光雲が畢生の作を作ろうと独自に作り始め、やがて噂を聞きつけた個人や法人から「ぜひ買いたい」との声が殺到。いろいろ審査した結果、当時あった宮城電気鉄道という会社が落札したという感じです。同社は現在のJR仙石線にあたる路線を保有し運行していまして、昭和2年(1927)には路線が松島公園駅(現在の松島海岸駅)へと延伸され、その記念と、無事故等の祈願のためという趣旨でした。当初は瑞巌寺さんではなく、松島公園駅近くのお堂に奉納されましたが、その後、太平洋戦争の影響で同社は消滅、像も瑞巌寺さんへ移されました。ただ、移転の時期は当方把握しておりません。
また、趣意書に像高は一丈二尺(約3.64㍍)であることも明記されていました。よくある規格の一丈六尺(約4.85㍍)かと思っていましたが、一回り小さいサイズでした。
さて、アニメ「ざつ旅-That's Journey-」、先週の「第1旅 はじめの1225段」を拝見しました。行き先は会津、「1225段」は羽黒山湯上神社さんの石段。その他、飯森山や栄螺堂、東山温泉などが舞台でしたが、それぞれの風景の絵がとにかく緻密で感心しました。日本のアニメーション技術の凄さを再確認した感じです。上の画像にある次回の「光雲観音」も精妙に描かれています。おそらく写真等をCG処理しているのだと思われますが。
漫画「ざつ旅-That's Journey-」。通読はしていませんが、以前から存じていました。コミックス第3巻(令和2年=2020)で、光太郎第二の故郷・岩手花巻が舞台となり、主人公・ちか他が当方も定宿としている大沢温泉自炊部さんに宿泊、という設定でしたので。
その頃には東北新幹線新花巻駅にポスターが貼ってありました。また、当の大沢温泉自炊部さんの無料休憩スペースに現物が置いてあり、拝読。残念ながら光太郎ゆかりの宿、という記述がありませんでしたが、花巻の旅全体としては宮沢賢治記念館さんやマルカン大食堂さんなどが舞台となっていて「ふむふむ」という感じでした。花巻の方にはおなじみの「満州にらラーメン」も登場します。
アニメの放映がいつまでで、コミックスの何巻までが扱われるのか等不明ですが、花巻編まで含めていただきたいものです。
ちなみにBSイレブンさん以外にも、地方の地上波局でも放映があります。
まずは第2旅・松島編、ご覧下さい。
【折々のことば・光太郎】
東京にゆくと随分もみくちやにされさうですが、なるべく逃げて仕事第一としますが、貴下とは以前から考へてゐたこととていづれゆつくりのみたいものです、
昭和27年(1952)10月6日 宮崎丈二宛書簡より 光太郎70歳
生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のため、再上京する直前の書簡です。一見のんきなことを書いていますが、自らの余命がそう永くないことを自覚していた光太郎、とにかく像の完成を第一に考えていました。そのため訪問客やいろいろな誘いはできるだけ断るつもりでした。