現代アートの個展、始まってしまっていますが、会期が長いのでご寛恕の程。
期 日 : 2025年2月1日(土)~3月29日(土)
会 場 : MAKI Gallery天王洲 東京都品川区東品川1-33-10 
時 間 : 11:30~19:00
休 館 : 日曜・月曜
料 金 : 無料

MAKI Galleryではこのたび、日本人アーティスト清川あさみによる個展「神話の糸」を天王洲ギャラリースペースにて開催いたします。本展は2024年夏に鹿児島県・霧島アートの森にて開催された清川の特別企画展「ミスティック・ウィーヴ:神話を縫う」を引き継ぎながら、過去から未来へと続く人類の物語を自然と都市、伝統とテクノロジーの交差点で紡ぎ直す試みとなります。

清川のアーティストとしての活動は、個人の内面や感情を描いた初期の作品から、社会全体や地球規模のテーマを扱う現在の作品へと大きな変化を遂げてきました。しかし、その根底にある「人間の本質に問いを投げかける」という姿勢は一貫しています。自然と都市、伝統とテクノロジー、個人と社会といったテーマに対して、これまでにない視点で考えるきっかけを生み出したいと強く願う清川。そんな作家が神話の世界に鑑賞者を誘い、新たな時代の価値観をともに探ろうとする本展を、どうぞ会場にてご高覧ください。
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平成29年(2017)に智恵子の故郷・福島二本松の智恵子の生家も会場となった現代アートの「重陽の芸術祭2017」で展示された、巨大な刺繍作品「女である故に」がこちらでも展示されています。
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平成29年(2017)、智恵子生家での展示風景はこちら。
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タイトルの「女である故に」は、大正5年(1916)5月、『婦人週報』に掲載された智恵子のアンケート回答が出典です。アンケートの質問は「女なる事を感謝する点」。

 私に恋愛生活(現在)のが始まつてから、始めてさういふ感じを意識しました。これは一つの覚醒です。其の他(た)にはまだ私には経験がありません。「女である故に」といふことは、私の魂には係りがありません。女なることを思ふよりは、生活の原動はもつと根源にあつて、女といふことを私は常に忘れてゐます。

光太郎との結婚披露が終わって1年半ほどの時期のものです。

この時期、智恵子が本当にそう考えていたのか、あるいは「こうあるべき」と自分に言い聞かせていたのか、後の大いなる悲劇に思いを馳せると、何とも難しいところです。

さて、「Mythic Threads:神話の糸」、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

宮崎さんの件については小生不賛成なのですが、まづ黙認することにして、中央公論社が出すならば当然「選集」出版済の後であるべきでせう。御考を願ひます。書名も「愛情の手紙」などは低能です。


昭和26年(1951)11月17日 松下英麿宛書簡より 光太郎69歳

松下は中央公論社の編集者。「宮崎さんの件」は、宮崎の編集による光太郎書簡集『みちのくの手紙』(昭和28年=1953)に関わります。

宮崎は昭和22年(1947)の光太郎歌集『白斧』にしてもそうですが、光太郎が拒否したにもかかわらず、光太郎文筆作品集の出版を強行することがありました。

宮崎は智恵子の最期を看取った智恵子の姪・春子と結婚し、光太郎とは姻戚ですし、経済的に豊かでないことをわかっている光太郎、あまり強いことは言えませんでした。
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