まずは状況をわかりやすくするために地方紙『岩手日日』さん報道から。

お気に入り求めどっと 東和・土澤アートクラフトフェア 商店街に活気 光太郎作品基にレモンケーキ 花巻南高家庭クラブ提供

 県内外のものづくり作家らが集う「土澤アートクラフトフェア2024秋」(実行委主催)は13日、花巻市東和町の土沢商店街、萬鉄五郎記念美術館前を会場に2日間の日程で始まった。好天の下にクラフトやグルメなど約380店が軒を連ね、大勢の来場者で初日から活況を呈した。
 歩行者天国となった会場には、木工品や革製品、似顔絵、手作り雑貨、楽器、衣類、陶芸、釣り具、ペット用品など多種多様のブースが並び、訪れた人が店主と会話を弾ませながらお気に入り商品を買い求めた。
 飲食の出店や食材・菓子などの販売ブースも並び、フードコートで昼食を取る家族連れの姿も。沿岸ならではの海の幸や地元特産品などが人気を集めていた。
 彫金の宝飾などを製造するアトリエKAZU(東京都)の高田和彦さん(77)は、オリジナルの指輪やネックレスのほか、さまざまな職業の商売道具をモチーフとする「IKIGAIシリーズ」のペンダントトップなどを販売。「何度も出店しているが、今年は天気が良く、特に人出が多いと感じる。みんなおしゃれをして集まっており、雰囲気が良いのものこイベントの魅力だ」と語った。
 10回以上訪れているという盛岡市の齊藤直美さん(55)は「県外の作家に出会えるチャンスは、岩手では貴重。例年通り、良いものがそろっている。帽子やアクセサリーが欲しくて見に来た。幅広い年齢の人たちが遊びに来ているのが素晴らしい」と話していた。
 県立花巻南高校家庭クラブは13日、花巻ゆかりの彫刻家で詩人の高村光太郎(1883~1956年)の「レモン哀歌」を基に製造した「レモンのパウンドケーキ」を土澤アートクラフトフェアで提供した。
 同クラブは、光太郎について調査・研究する団体と交流したり、顕彰イベントに参加したりして先人への学びを深めている。
 ケーキは、表面を覆うアイシングや生地にレモン汁を加えており、中までレモンの風味を感じられる。光太郎の顕彰活動に取り組む「やつかの森合同会社」(藤原正代表)が、同フェアに合わせて土沢商店街のワンデイシェフの大食堂で販売する「こたろう弁当」(1200円)を購入した人に100個限定でプレゼントした。
 レモンの果肉、皮を使うと食感や苦味が残るため、レモン汁だけで酸味や爽やかさを表現したといい、同日は東和町出身の1年生2人が接客。菅原美優さんは「光太郎さんのことはよく知らなかったが、勉強する中ですごい人が花巻にいたんだと感じた」、小原優羽奈さんは「自分たちの世代や、さらに下の小中学生にも光太郎さん、智恵子さんのことを知ってほしい。レモンケーキがそのきっかけになれば」と話していた。
 光太郎が秋の花巻でおいしさを再認識したというキノコやクリ、リンゴなどを使った同弁当は14日も数量限定で販売するが、パウンドケーキは提供されない。

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こちらが問題の(特に問題はありませんが(笑)))パウンドケーキ。
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ラッピングなど、高校生の手作りのレベルを超えていますね。もちろんお味もよろしかったようで。
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家庭クラブのお二人、今年6月に花巻で行われたイベント「五感で楽しむ光太郎ライフ」の際に発表のあった智恵子のエプロンの再現にも関わられました。こういう若い世代が関心を持って下さるのは実に有り難いところです。

やつかの森LLCさんが手がけた「こうたろう弁当」はこちら。やつかの森さんのメニュー構成は光太郎が実際に作った料理の現代風アレンジや、光太郎が使った食材の使用など、常に光太郎がらみです。
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2日間でそれぞれ異なるメニューで販売されたそうです。
13日こうたろう弁当メニュー
13日こうたろう弁当
14日こうたろう弁当メニュー
14日こうたろう弁当
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これも素晴らしいと思いました。

さらにやつかの森さんがメニュー考案に協力され、道の駅はなまき西南(愛称・賢治と光太郎の郷)さん内のテナント「ミレットキッチンフラワー」さんで毎月15日に販売されている弁当「光太郎ランチ」の今月分。
道の駅1
道の駅2
生野菜系が苦手な当方としては、今月のメニューはナイスだと感じました。これなら毎日食べてもいいかな、と(笑)。

何度も引用していますが、光太郎、昭和27年(1952)に行われた座談会「簡素生活と健康」で「食べ物はバカにしてはいけません。うんと大切だということです」と発言しています。この背後には、野菜類の自給自足、山林での食材採集に余念がなかった光太郎ならではの信念が込められています。

その信念を受け継ぎ、花巻南高校家庭クラブさん、やつかの森さんがさらなるご活躍をなさることを祈念いたします。

【折々のことば・光太郎】

ローマイヤアの店が又出来たと見えます、お贈りのハムはすばらしい事でせう。

昭和25年(1950)1月11日 中原綾子宛書簡より光太郎68歳

花巻郊外旧太田村の光太郎、東京の友人知己達から食材を贈られることも多く、それでかなり助かっていました。特に好物なのに自給できない肉類などはことのほか有り難く感じていたようです。

「ローマイヤア」は現代でも続く「ローマイヤ」さんですね。光太郎、おそらく戦前に銀座のレストラン部門、あるいは商品を卸していた上野の精養軒さんあたりで舌鼓を打っていたのでは、と思われます。