今日、10月5日はレモンの日。昭和13年(1938)の今日、南品川ゼームス坂病院の15号室で、光太郎の持参したレモンをがりりと噛んで亡くなった智恵子に因みます。

さきにお伝えしたように、智恵子の故郷・福島二本松では「高村智恵子レモン祭」として、さまざまなコンテンツが展開中。そのうち、智恵子生家のライトアップについて『福島民友』さんが報じて下さいました。

2階に浮かぶ幻想的なシルエット 智恵子の生家をライトアップ、5日まで

 詩人・彫刻家高村光太郎の妻で、光太郎の詩集「智恵子抄」の「レモン哀歌」でも知られる二本松市出身の洋画家高村智恵子の命日を前に、同市の智恵子の生家・記念館は3日、ライトアップイベントを始めた。生家に智恵子と光太郎のシルエットが浮かび上がり、背景に月や「二本松の提灯(ちょうちん)祭り」などをイメージした幻想的な映像で彩った。
 「高村智恵子レモン祭」の一環として昨年に続き実施した。生家内や庭園は竹明かりや和紙ランプシェードで演出され、来場者が智恵子への思いをはせた。
 ライトアップは命日の5日までで、時間は午後5時〜同8時。ライトアップ時は生家を無料開放する。問い合わせは同館(電話0243・22・6151)へ。
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市のSNSから。
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いい感じですね。夜中に突如二階の障子に灯りがともり、浮かんだ智恵子のシルエットが動き出しそうな……(笑)。

ライトアップは今夜も行われ、いったん休止。その後、11月5日(火)~17日(日)の期間に再び点灯だそうです。

もう1件、光太郎第二の故郷・岩手花巻での「食」イベント。

【初開催】レモンの日イベント

期 日 : 2024年10月4日(金)・5日(土)
会 場 : 田舎labo 岩手県花巻市湯口字蟹沢13−1
時 間 : 11:00~16:00
料 金 : 無料

10月5日〈レモンの日〉にちなんで開催! いろんなジャンルの飲食店が、いちおしのレモンメニューを持って集まります。レモン尽くしの爽やかな2日間をぜひお楽しみください。

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地図を見ると光太郎が足繁く通った大沢温泉さんや鉛温泉さんを含む花巻南温泉峡の入口、当方もよく立ち寄るファミリーマートさんの隣の隣(笑)ですね。

情報に気づいたのが昨日で、申し訳ありませんでした。言い訳させていただけるなら公式サイトに光太郎智恵子の名が無かったもので……。他地域などでも光太郎智恵子をあまり意識せずに「レモンの日」ということでのイベントがあったりするのでしょうか。

とにもかくにも、お近くの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

「智恵子切抜絵展」少しも差支へないと考へます。未知の人々に見ていただくのも愉快です。

昭和24年(1949)11月14日 真壁仁宛書簡より 光太郎67歳

真壁は山形在住の詩人。戦争末期の昭和20年春、光太郎は南品川ゼームス坂病院で智恵子が作った紙絵千数百枚のうち約3分の1を真壁の元に疎開させました。他の3分の2も花巻の佐藤隆房宅、茨城の宮崎仁十郎宅に分散疎開。そのため、4月の空襲でアトリエ兼住居は灰燼に帰しましたが、智恵子紙絵は無事でした。

書簡は手元にある紙絵を山形の人々に見てもらいたいので、展覧会を開きたいという真壁の提案に対する返答です。これを受けて11月19日~28日、山形市美術ホールで「智恵子遺作切抜絵展覧会」が開催されました。これが初の智恵子紙絵展でした。