若干先の話ですが、申込締め切りが近いもので……。

第2回 文(ふみ)の京(みやこ)ガイドツアー 「Bーぐる」がゆく本郷台地~須藤公園から六義園~

期 日 : 2024年9月28日(土)
会 場 : (集合)須藤公園―島薗邸―旧安田楠雄邸庭園―宮本百合子旧居跡―
      高村光太郎旧居跡―動坂遺跡―鷹匠屋敷跡―天祖神社―名主屋敷―富士神社―
      東洋文庫―六義園(解散) 全行程約2㎞
時 間 : 10:00~11:30
料 金 : 無料(六義園内庭園ガイドツアー 一般300円、各種割引等ありは自由参加)
〆 切 : 9月10日(火) 電子申請又は往復はがき
       〒112-0003 文京区春日1-16-21シビックセンター1階文京区観光インフォメーション

須藤公園を出発し、Bーぐるの路線に沿って、六義園まで区公認の観光ガイドが案内します。
※1グループ2人まで ※事前に申込フォームの「ご利用にあたってのお願い」を確認のこと
※天候等により中止の場合あり
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「「Bーぐる」って何だ?」と思って調べたところ、文京区内を循環するコミュニティバスだそうでした。「文京区(Bunkyouku)」を「ぐるぐる」で「Bーぐる」。なるほど。で、それに乗って巡るのかと思いきや、全行程徒歩だそうです。「B―ぐるの通るコースを歩く」というコンセプトだとのこと。

区公認のガイドの方が同行されて、各ポイントの説明をして下さるそうです。文京区さん、そういうシステムが整っているという時点で、素晴らしいと思います。他の市区町村さんも参考にしていただきたいところです。自分のエリア内にある文化財等に無関心な自治体の何と多いことか。

そういう意味では「自治体ガチャ」というワードが思い浮かびます。元々は国会でも取り上げられた、子育て支援等の自治体間格差を指す語ですが、文化行政などについても言えるような気がします。子育て支援等で困る場合には、隣の自治体に引っ越すとかもありでしょうが(実際、そんなこんなで人口減少に歯止めが掛からない自治体、そこからどんどん人が流入している自治体がそれぞれ自宅兼事務所近くにありまして)、建造物等の文化財はその場所から動かすことが難しいので(これも、とある件をイメージして書いています。勘の鋭い方はお判りですね(笑))。

閑話休題。今回のガイドツアー、千駄木五丁目の光太郎旧居跡も行程に含まれています。昭和20年(1945)4月の空襲で灰燼に帰したアトリエ兼住居があった場所。
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戦後しばらくは更地で、玄関にあった大谷石の石段の残骸などは残っていたそうですが、その後、月極駐車場となっていた期間が長く、さらに現在は宅地になってしまっています。当時を偲ぶよすがは文京区さんの建てた案内板のみとなってしまいました。
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ついでにいうと、この手の案内板も、文京区では充実しています。

すぐ近くにはやはり今回の行程に入っている宮本百合子旧居跡。
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それから、こちらは今回の行程には含まれていませんが、団子坂上の「青鞜社発祥の地」。
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団子坂自体も。
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「青鞜」のそれと団子坂のそれには光太郎や智恵子の名が記されています。

このあたりもやっぱり「自治体ガチャ」ですかね(笑)。

それから、光太郎や宮本百合子の旧居跡の前には旧安田楠雄邸庭園がコースに含まれています。こちらは光太郎アトリエと指呼の距離ながら空襲の被害を免れ、健在です。
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ちなみに現在放送中のNHKさんの朝ドラ「虎に翼」のロケにも使われているそうです。

ご興味おありの方、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

頃日御尽力の県下国宝保存の運動は大に賛成でございます。一般の協力を望んで居ります。
昭和24年(1949)3月30日 森口多里宛書簡より 光太郎67歳

森口多里は美術評論家。昭和22年(1947)に開校した岩手県立工芸美術学校の初代校長を務めました。本来の業務以外にも文化財保護に尽力し、光太郎もそれに賛同していました。こういう人物がいないと文化財保存というのは弾みが付かないのでしょう。