昨日、岐阜で今週末に開催され、蒔田尚昊氏作曲の歌曲集『智恵子抄』も演奏されるコンサート「リートデュオコンサート「二人の肖像」大梅慶子×内多瑞子」についてご紹介しましたが、同じく蒔田氏の歌曲集『智恵子抄』がプログラムに入ったコンサートが大阪でも。

北御堂コンサートvol.255〜ロマンの饗宴〜

期 日 : 2024年8月29日(木)
会 場 : 本願寺津村別院(北御堂) 大阪市北区本町4-1-3
時 間 : 12:25~12:45
料 金 : 無料

どなたでもご参加いただけます。お寺で少し休んでみませんか?皆様のお越しを心よりお待ち申しあげます。

出 演 : 永山玲奈(sop) 生田英奈(pf)
プログラム
 恩徳讃 親鸞聖人
 R.シュトラウス/作品10 《最後の葉》より 1.「献呈」 2.「何も」 8.「万霊節」
 蒔田尚昊/高村光太郎 詩《智恵子抄》より「あどけない話」
 小林秀雄/日記帳
 C.グノー/歌劇《ファウスト》より「まぁ!なんと美しい姿(宝石の歌)」
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蒔田氏の「智恵子抄」、昭和45年(1970)頃の作曲で、あまり演奏される機会が無かったと思われますが、このところ取り上げて下さる方が増えてきている感じです。当方の把握している限りでは市販されたCD等には収められたことがありませんが、YouTubeに複数の方の演奏が上がっていて、そのあたりの影響もあるのかも知れません。

今回のコンサートは会場となっている本願寺津村別院さんの主催で、月イチくらいのペースで開催されているようです。すぐお隣の相愛大学音楽学部さんとのコラボで、そちらで学ばれている方や、ご出身の方などがご出演されていると思われます。毎回、短時間の公演で、入場無料(例外があるかも知れませんが)。若手の演奏者の皆さんに発表の機会が与えられ、さらに無料で開催されるということで地域貢献にもなり、うまいこと考えるもんだと感心しました。

ところで会場の本願寺津村別院さんの別名が「北御堂」。北があれば南もあって「南御堂」はすぐ近くの真宗大谷派難波別院さん。この二つのお堂があるので「御堂筋」。

「御堂筋」といえば、「御堂筋彫刻ストリート」。最愛の妻・智恵子の顔を持つ光太郎の「十和田湖畔の裸婦群像のための中型試作」も「みちのく」の名で並んでいます。
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コンサートをお聴きの上、併せてご覧いただきたいものです。

【折々のことば・光太郎】

この部落をホームスパンの生産地にしたいとかねて考へてゐましたが、緬羊(メリノー種など)も相当に農家で飼つてゐるので、去年から講習をはじめ土沢町から先生に来てもらひ、農家の娘さんでもう平織のマフラー位は織れるやうになつた人もあります。


昭和24年(1949)2月28日 更科源蔵宛書簡より 光太郎67歳

ホームスパンは羊毛を使った毛織物。「先生」は及川全三とその弟子・福田ハレ。戦前、智恵子にせがまれて買ったイギリスの染織工芸家エセル・メレ作のホームスパンの毛布が、奇跡的に二度の戦火をくぐり抜けて光太郎の手許に残り、そうした関係もあってホームスパンには並々ならぬ関心を寄せていました。

残念ながら光太郎の暮らしていた旧太田村ではホームスパン制作は根付きませんでしたが、岩手県としては現在でも特産品の一つです。