たまたまですが、演劇の公演情報、3連発となりました。

夢のれんプロデュースvol.7 【哄笑ー智恵子、ゼームス坂病院にてー】

期 日 : 2024年6月19日(水)~6月23日(日)
会 場 : テアトルBONBON 東京都中野区中野3丁目22-8
時 間 : 6月19日(水) 19:00~      6月20日(木) 19:00~
      6月21日(金) 14:00~/19:00~   6月22日(土) 13:00~/18:00~
      6月23日(日) 12:00~/16:00~
料 金 : 4,500円 学割・リピーター割 3,500円

脚 本 : 清水邦夫
演 出 : 大谷恭代

昭和11年5月上旬。南品川ゼームス坂教会、集会室。この約二ヶ月前に二・二六事件が起こった…
教会の隣にはゼームス坂病院があり、詩人で彫刻家の高村光太郎の妻、智恵子をはじめ、多くの精神病患者が入院している。智恵子は夫の光太郎がすでに死んでいると思い込み、目の前に現れる光太郎を受け入れない。智恵子は自ら狂気の世界へ逃げたのか、光太郎の過剰とも言える愛が彼女を追い詰めたのか…
ドイツからやってきた飛行船ツェッペリンのように、しなやかで、気まぐれで、愛すべきキラキラした不良少年・少女たちが闊歩していた東京の街に、軍靴の音が響き始めてきた…


「智恵子抄」の高村智恵子とその夫 高村光太郎 愛の物語です。かなり昔に打診したのですが生前の作者の希望により、外部上演の許可が下りませんでした。今回、元木冬社の方々や各方面の皆様に確認・協力をいただき上演の運びとなりました🙇‍♀️ まだまだ未熟な主宰・演出ですが清水作品の世界観を舞台上に広げられるよう誠心誠意、丁寧に創り上げます❗️
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オリジナルは故・清水邦夫氏作・演出の、ある意味伝説の舞台です。初演は平成3年(1991)、再演が同5年(1993)。いずれも木冬社さんとしての公演で、光太郎役は小林勝也さん、智恵子役は清水氏の奥様だった故・松本典さんが演じられました。再演の際は地方巡回も行われました。当方、平成29年(2017)にたまたま泊まった十和田市のビジネスホテルで十和田公演の際に書かれた松本さん、小林さんらの色紙が飾られているのを見つけ、驚きました。
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004その後、木冬社さんは平成13年(2001)に解散、清水氏も松本さんも亡くなり、再演されることはないのだろうと半ば諦めていましたが、さにあらずでした。

オリジナルの舞台は拝見出来ず、パンフレットは古書店で入手、脚本は河出書房新社さんから刊行された『清水邦夫全仕事 1981~1991』(絶版)で拝読いたしました。光太郎智恵子以外のキャストはすべて架空の人物と思われ、今回のフライヤーにも使われている昭和4年(1929)に飛来した飛行船・ツェッペリン号が一つのモチーフとなった、不思議な世界観です。

当方、6月21日(金)の回を予約いたしました。皆様もぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

小生の歌集の広告を見られたさうですが、あれは小生の意に反して十字屋と編者とが強引に出版するもので、書名の「白斧」といふのも誰がつけたか、小生の認知せぬものです。小生は生前歌集は出さぬ主張を持つてゐたのでこの出版には閉口してゐます。内容も小生の校閲を経てゐません。


昭和22年(1947)12月5日 和田豊彦宛書簡より 光太郎65歳

005明治末からの光太郎短歌を集めた歌集『白斧』に関わります。光太郎姻族となった宮崎稔が、光太郎短歌を集めて出版することを提案、光太郎は拒否しましたが、宮崎は上梓を強行しました。そこで光太郎は、あくまで自分とは関わりのないところでの出版である旨を明記せよ、と書き送りました。

タイトルの『白斧』は、明治37年(1904)の第一期『明星』にに載った短歌35首の総題から採られました。総題を付けたのはおそらく鉄幹与謝野寛で、元としたのは「刻むべき利器か死ぬべき凶器(まがもの)か斧の白刃(しらは)に涙ながれぬ」。自分で総題を付けたわけではないので記憶になかったのでしょう。「「白斧」といふのも誰がつけたか」というのはそういうわけです。

ちなみに光太郎、詩とは異なり、短歌は手控えの原稿を残しませんでした。そこで現在でもこれまで知られていなかった短歌の発見が相次いでいます。平成10年(1998)の『高村光太郎全集』完結後に見つかった光太郎短歌は20首ほどにもなります。