新刊です。

自分の人生に出会うために必要ないくつかのこと

2024年5月5日 若松英輔 著 西淑 画 亜紀書房 定価1,600円+税

生きること、
働くこと、
愛すること。
自分を支える言葉を探す27の言葉の旅。

〈日経新聞で話題の連載「言葉のちから」待望の書籍化〉

古今東西の名著の中には、生きるための知恵、働くうえでのヒントが詰まっている。
NHK「100分de名著」でお馴染みの批評家による、自分の本当のおもいを見つけるための言葉。
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目次
 この本の用い方――はじめに  
 1 言葉の重みを感じとる……神谷美恵子『生きがいについて』
 2 事実と真実を感じわける……遠藤周作『イエスの生涯』『深い河』
 3 沈黙の世界、沈黙のちから……武者小路実篤「沈黙の世界」
 4 世界と向き合うための三つのおきて……柳宗悦「茶道を想う」とノヴァーリス「花粉」
 5 叡知を宿した人々……ユングとメーテルリンク
 6 語られざるおもい……司馬遼太郎と太宰治
 7 美とは己に出会う扉である……岡本太郎のピカソ論
 8 書くとは時に止まれと呼びかけることである……夏目漱石と鷲巣繁男
 9 心だけでなく、情[こころ]を生きる……ピカート『沈黙の世界』
 10 人生のモチーフ……小林秀雄『近代絵画』
 11 書くとはおもいを手放すことである……高村光太郎と内村鑑三
 12 人生はその人の前にだけ開かれた一すじの道である……アラン『幸福論』
 13 経験とは自己に出会い直すことである……ヴェーユ『重力と恩寵』
 14 ほんとうの私であるための根本原理……志村ふくみ『一色一生』
 15 思考の力から思索のちからへ……ショーペンハウアーの読書論
 16 観るとは観えつつあることである……今西錦司の自然観
 17 本質を問う生き方……辰巳芳子さんとの対話と『二宮翁夜話』
 18 ことばは発せられた場所に届く……河合隼雄と貝塚茂樹
 19 賢者のあやまり……湯川秀樹『天才の世界』
 20 三つの「しるし」を感じとる……吉田兼好『徒然草』
 21 力の世界から、ちからの世界へ……吉本隆明『詩とはなにか』
 22 書くことによって人は己れに出会う……ヴァレリーの『文学論』
 23 念いを深める……ティク・ナット・ハン『沈黙』
 24 運命に出会うために考えを「白く」する……高田博厚とロマン・ロラン
 25 着手するという最大の困難……カール・ヒルティ『幸福論』
 26 語り得ないこと……リルケ『若き詩人への手紙』
 27 沈黙の意味……師・井上洋治と良寛
 あとがき
 ブックリスト

詩人の若松英輔氏が『日本経済新聞』さんに連載されていた「言葉のちから」の書籍化です。「11 書くとはおもいを手放すことである……高村光太郎と内村鑑三」は、昨年6月10日の掲載でした。そちらで拝読したので、書籍としての購入はしなくてもいいかと思っていたのですが、目次を見ると高田博厚、ロマン・ロラン、吉本隆明、武者小路実篤、柳宗悦ら、光太郎と関わる人物の名が並んでいて、結局買ってしまいました(笑)。

皆様もぜひお買い求め下さい。

【折々のことば・光太郎】

それではこちらの畑につくつてゐるものを書きならべてみませう。大豆、人参、アヅキ、ジヤガイモ(紅丸とスノーフレイク)、ネギ、玉ネギ、南瓜(四種類)、西瓜(ヤマト)、ナス(三種類)、キヤベツ、メキヤベツ、トマト(赤と黄)、キウリ(節成、長)、唐ガラシ、ピーマン、小松菜、キサラギ菜、セリフオン、パーセリ、ニラ、ニンニク、トウモロコシ、白菜、チサ、砂糖大根、ゴマ、ヱン豆、インギン、蕪、十六ササギ、ハウレン草、大根、(ネリマ、ミノワセ、シヨウゴヰン、ハウレウ、青首)など、以上の様です。十一月に林檎の木を植ヱます。


昭和22年(1947)8月28日 高村美津枝宛書簡より 光太郎65歳
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蟄居生活を送っていた花巻郊外旧太田村の畑で作っていた農作物を列挙しています。これらを一度に栽培していたわけではなく、時期をずらしながら、あくまで自給のためそれぞれを少量ずつ育てていました。ただ、中にはものにならなかった作物も含まれ、虚偽とは云いませんが、少し「盛って」驚かせてやろうという意図が垣間見えます。

高村美津枝さんは光太郎令姪。ご健在です。