一昨日、昨日と、愛車を駆って一泊二日で信州に行っておりました。レポートいたします。
メインの目的は、光太郎の親友だった彫刻家・碌山荻原守衛命日に合わせ、安曇野市の碌山美術館さんで開催された「第114回碌山忌」への出席でした。
そちらが昨日でしたが、一昨日には関連行事として、NHK Eテレさんで放映中の「びじゅチューン!」で、アニメーション制作、歌の作詞作曲、歌唱、美術作品の解説まで担当されているマルチアーティスト・井上涼氏のトークセッション「表現とアイデンティティ☆」があり、まずそちらから。
会場の研成ホール。道を挟んで美術館さんの向かいです。
開場15分前くらい。すでに長蛇の列。
キャパ120名でしたが、ほぼ満員でした。日曜日というのも大きかったようです。
お話は、井上氏と、碌山美術館さん学芸員の濱田卓二氏によるもので、濱田氏が聞き役でいろいろと水を向けられ、井上氏が詳しく語るという形式でした。お二人はかつて金沢美術工芸大学さんで同級生だったとのことで、井上氏は濱田氏を「濱ちゃん」と呼んでいたそうです(笑)。当方、濱田氏とけっこう長い付き合いですが、その件はまったく存じませんでしたので驚きでした。
内容的には井上氏のアーティストとしての来し方、「びじゅチューン」などの作品についての舞台裏、そしてご自身カミングアウトされているLGBTQをからめたお話。そちらはやはり井上氏がアニメーションを制作され、NHKさんの「みんなのうた」で流れたYOASOBI with ミドリーズさんの「ツバメ~レインボーバージョン」のお話をメインに。
井上氏、テレビで拝見するとおり、否、それ以上にユニークなキャラクターで、会場の笑いを誘われていました。聴衆の中には井上時の追っかけ的な方もけっこういらしたようでした。
「びじゅチューン」のお話の中では、平成30年(2018)にがあった、なんと光太郎のブロンズ「手」をモチーフとした「指揮者が手」を、動画に合わせて井上氏が熱唱して下さいました。
同番組でなにがしかの碌山作品が取り上げられていたらそちらだったのでしょうが、まだ取り上げられて居らず、そこで碌山美術館さんで展示されている「手」に白羽の矢が立ったようですが、ありがたいかぎりでした。
トーク終了後の質問タイム。当方も手を挙げて質問。「荻原守衛作品をご覧になって、どういう感想を持たれましたか」的な。当方は「とても素晴らしいと思いました」的な答えを期待しておりました。そこで、返す刀で「では、ぜひ『びじゅチューン』で守衛作品を取り上げて下さい」と言うつもりでした。ところが井上氏、「いやぁ、あまり何も感じなかったというか……」。いや、正直ですね(笑)。こういう場合、たとえそう思っていなくても空気を読んで社交辞令的に「とても素晴らしいと思いました」と返すものだと思いますが、そう思っていないことはそう思っていないと、包み隠さないところに芸術家としての矜恃を感じました。
そこで当方としても「では、ぜひ『びじゅチューン』で守衛作品を取り上げて下さい」という二の矢が継げませんでした(笑)。すると、あとで濱田氏らに「言って下さいよー」と怒られてしまいました(笑)。
ちなみに終演後等も含めて「撮影禁止」と厳しく出ていましたので当方撮影の画像はありませんが、井上氏のX(旧ツイッター)投稿から画像をお借りします。
集合写真の方は井上上氏の「聴衆の皆さんと一緒に」という自撮りです。右手後方に当方も写っています(笑)。
この日はこの後、ゆっくり碌山美術館さんを拝観して退散し、市街地で早めの夕食を摂った後、宿泊先の「guest room ガーデンあずみ野」さんへ。
フロントにはドイツのスタインベルグ社製のヴィンテージピアノが置かれたりし、なかなか瀟洒なお宿でした。
この日は(翌日もでしたが)長時間の運転でしたので、けっこう疲労困憊。温泉にゆっくり浸かり、「おやすみなさい」。
急ぎ紹介すべき事項が何もなければ、あと2回程、信州レポートを続けさせていただきます。
【折々のことば・光太郎】
「高村光太郎詩集」(鎌倉書房)を東京の本屋で見たといふ人あり、小生方にはまるで音沙汰ありません。
鎌倉書房版『高村光太郎詩集』は、戦前戦後を通じて初の選詩集です。編集、題字揮毫は当会の祖・草野心平でした。
奥付に依ればこの年7月5日刊行。しかし既に前月には出ていたようです。当然、こういうものを出すという連絡等は心平から入っていましたが、「出た」という連絡が入らなかったようです。
メインの目的は、光太郎の親友だった彫刻家・碌山荻原守衛命日に合わせ、安曇野市の碌山美術館さんで開催された「第114回碌山忌」への出席でした。
そちらが昨日でしたが、一昨日には関連行事として、NHK Eテレさんで放映中の「びじゅチューン!」で、アニメーション制作、歌の作詞作曲、歌唱、美術作品の解説まで担当されているマルチアーティスト・井上涼氏のトークセッション「表現とアイデンティティ☆」があり、まずそちらから。
会場の研成ホール。道を挟んで美術館さんの向かいです。
開場15分前くらい。すでに長蛇の列。
キャパ120名でしたが、ほぼ満員でした。日曜日というのも大きかったようです。
お話は、井上氏と、碌山美術館さん学芸員の濱田卓二氏によるもので、濱田氏が聞き役でいろいろと水を向けられ、井上氏が詳しく語るという形式でした。お二人はかつて金沢美術工芸大学さんで同級生だったとのことで、井上氏は濱田氏を「濱ちゃん」と呼んでいたそうです(笑)。当方、濱田氏とけっこう長い付き合いですが、その件はまったく存じませんでしたので驚きでした。
内容的には井上氏のアーティストとしての来し方、「びじゅチューン」などの作品についての舞台裏、そしてご自身カミングアウトされているLGBTQをからめたお話。そちらはやはり井上氏がアニメーションを制作され、NHKさんの「みんなのうた」で流れたYOASOBI with ミドリーズさんの「ツバメ~レインボーバージョン」のお話をメインに。
井上氏、テレビで拝見するとおり、否、それ以上にユニークなキャラクターで、会場の笑いを誘われていました。聴衆の中には井上時の追っかけ的な方もけっこういらしたようでした。
「びじゅチューン」のお話の中では、平成30年(2018)にがあった、なんと光太郎のブロンズ「手」をモチーフとした「指揮者が手」を、動画に合わせて井上氏が熱唱して下さいました。
同番組でなにがしかの碌山作品が取り上げられていたらそちらだったのでしょうが、まだ取り上げられて居らず、そこで碌山美術館さんで展示されている「手」に白羽の矢が立ったようですが、ありがたいかぎりでした。
トーク終了後の質問タイム。当方も手を挙げて質問。「荻原守衛作品をご覧になって、どういう感想を持たれましたか」的な。当方は「とても素晴らしいと思いました」的な答えを期待しておりました。そこで、返す刀で「では、ぜひ『びじゅチューン』で守衛作品を取り上げて下さい」と言うつもりでした。ところが井上氏、「いやぁ、あまり何も感じなかったというか……」。いや、正直ですね(笑)。こういう場合、たとえそう思っていなくても空気を読んで社交辞令的に「とても素晴らしいと思いました」と返すものだと思いますが、そう思っていないことはそう思っていないと、包み隠さないところに芸術家としての矜恃を感じました。
そこで当方としても「では、ぜひ『びじゅチューン』で守衛作品を取り上げて下さい」という二の矢が継げませんでした(笑)。すると、あとで濱田氏らに「言って下さいよー」と怒られてしまいました(笑)。
ちなみに終演後等も含めて「撮影禁止」と厳しく出ていましたので当方撮影の画像はありませんが、井上氏のX(旧ツイッター)投稿から画像をお借りします。
集合写真の方は井上上氏の「聴衆の皆さんと一緒に」という自撮りです。右手後方に当方も写っています(笑)。
この日はこの後、ゆっくり碌山美術館さんを拝観して退散し、市街地で早めの夕食を摂った後、宿泊先の「guest room ガーデンあずみ野」さんへ。
フロントにはドイツのスタインベルグ社製のヴィンテージピアノが置かれたりし、なかなか瀟洒なお宿でした。
この日は(翌日もでしたが)長時間の運転でしたので、けっこう疲労困憊。温泉にゆっくり浸かり、「おやすみなさい」。
急ぎ紹介すべき事項が何もなければ、あと2回程、信州レポートを続けさせていただきます。
【折々のことば・光太郎】
「高村光太郎詩集」(鎌倉書房)を東京の本屋で見たといふ人あり、小生方にはまるで音沙汰ありません。
昭和22年(1947)7月2日 宮崎稔宛書簡より 光太郎65歳
鎌倉書房版『高村光太郎詩集』は、戦前戦後を通じて初の選詩集です。編集、題字揮毫は当会の祖・草野心平でした。
奥付に依ればこの年7月5日刊行。しかし既に前月には出ていたようです。当然、こういうものを出すという連絡等は心平から入っていましたが、「出た」という連絡が入らなかったようです。