都内から朗読と音楽をコラボしたコンサートの情報です。

My Favorite Music 春の風に寄せて

期 日 : 2024年4月9日(火)
会 場 : 日暮里サニーホール コンサートサロン 東京都荒川区東日暮里5-50-5
時 間 : 18:30開演(18:00開場)
料 金 : 2,500円(全席自由・税込)

出演/曲目
 古荘達郎<テノール> ピアノ:高橋ドレミ
  中田喜直:さくら横ちょう
  F.P.トスティ:4月
  小林秀雄:五つの華の歌 より「山茶花(さざんか)」
 亀川豊秀<ピアノ>
  F.ショパン:練習曲 ハ短調 Op.25-12 「大洋」
    〃  :マズルカ 第45番 ト短調 Op.67-2
    〃  :スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
 藤井駿<アルトサックス>
  P.ボノー:ワルツ形式によるカプリス
 岩井奈美<朗読>
  宮沢賢治:「注文の多い料理店」
  太宰治:「眉山」
  芥川龍之介:「蜘蛛の糸」
 桜さゆり<朗読>
  高村光雲:「佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし」より抜粋
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光太郎の父・光雲の『光雲懐古談』(昭和4年=1929)から「佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし」の抜粋朗読がプログラムに入っています。

演じられる桜さゆりさんという方、平成29年(2017)に「第4回 JILA朗読コンクール入賞・入選記念 朗読の祭典」という公演で光太郎詩「山のともだち」(昭和27年=1952)、「クロツグミ」(昭和23年=1948)を朗読なさいました。また、当方、詩人でもある宮尾壽里子氏が「智恵子抄」を朗読なさった「My Favorite Story ~美しき詩の世界~」公演の際に、室生犀星の詩の朗読で出られていましたのを拝聴しました。

「佐竹の原」は江戸時代、佐竹家の屋敷があった現在の台東区台東4丁目。ここに光雲が実兄で腕のいい大工だった中島巳之助、その仲間の職人衆、浅草の興行師らとともにハリボテの大仏を作った話です。明治22年(1889)、光雲が岡倉天心の要請で東京美術学校に奉職した年でした。

「青空文庫」さんで全文が公開されています。笑えます。


『光雲懐古談』といえば、つい先日は落語の鈴々舎馬桜師匠が新作落語で取り上げて下さいました。語られているさまざまなエピソードは素材として非常に面白いものですし、江戸から明治期の世相を知る上で、また、美術史的にも貴重な証言ですので、どんどん広めていったいただきたいものです。

【折々のことば・光太郎】

出版といふ公的事業には時代の要求、時代の制約といふことも考へねばなりますまい。

昭和22年(1947)3月18日 宮崎稔宛書簡より 光太郎65歳

姻戚・宮崎からの光太郎の短歌を歌集としてまとめて出版したいという要請に対しての返答の一部です。出版に限らず様々なコンテンツにあてはまる言のような気がします。といっても「時代」に阿(おもね)ってばかりでも仕方がありませんし……。