新刊です。

えんぴつで心ときめく名作詩

2024年3月11日 書 大迫閑歩 イラスト イオクサツキ ポプラ社刊 定価1,400円+税

1日10分であなたの毎日をリフレッシュ! 珠玉の名作詩をなぞって朗読することで、心を整えてみませんか。

金子みすゞ、宮澤賢治、高村光太郎など、名作詩30篇をセレクト。書家による書き下ろしで、美文字レッスンの習慣を。えんぴつの柔らかな書き心地で、心を整え脳活効果も! 作品の背景、作家の生涯など、プチ文学講座として。
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【目次】
はじめに
1章 恋する思い
 島崎藤村「初恋」 立原道造「夢みたものは……」  竹久夢二「宵待ち草」 
 北原白秋「初恋」 横光利一「愛」 中原中也「湖上」      
2章 旅にあこがれて
 山村暮鳥「雲」  石川啄木「飛行機」  丸山薫「汽車に乗って」 村山槐多「二月」
 島崎藤村「小諸なる古城のほとり」 北原白秋「落葉松」 萩原朔太郎 「旅上」
3章 自然のなかで
 山村暮鳥「風景 純銀もざいく」 三好達治「雪」 萩原朔太郎「竹」
 木下杢太郎「梟」 佐藤惣之助「犯罪地帯」 田中冬二「青い夜道」 八木重吉「太陽」
4章 いのちの喜び
 金子みすゞ「私と小鳥と鈴と」 千家元麿「秘密」 立原道造「眠りの誘ひ」
 堀辰雄「帆前船」 八木重吉「皎皎とのぼつてゆきたい」
5章 生を慈しむ
 中原中也「汚れっちまった悲しみに」 室生犀星「小景異情(その二)」
 高村光太郎「あどけない話」 宮澤賢治「永訣の朝」 
 与謝野晶子「君死にたまふことなかれ」
おわりに
参考文献

【著者略歴】
大迫閑歩(おおさこ・かんぽ)
1960年鹿児島県生まれ。本名・大迫正一。筑波大学芸術専門学群卒業。同大学院修士課程修了。九州女子大学共通教育機構准教授を経て、現在安田女子大学文学部書道学科教授。漢字の古い書体を中心にした研究、作品制作を続け、後進の指導にあたっている。
著書に『えんぴつで奥の細道』『えんぴつで方丈記』『えんぴつで論語』などがある。

001B5のやや大きめの判、よくある「なぞって書こう」的な。類書として昨年ご紹介した『ガラスペンでなぞって愉しむ きらめく文学の世界』(コスミック出版)など。

なぞられるべき薄く印刷されている詩句が活字ではなく、書家の大迫閑歩氏が書かれているというところが一つのポイントです。

近代詩30篇が取り上げられ、光太郎詩は『智恵子抄』所収の「あどけない話」(昭和3年=1928)を入れて下さいました。ありがたし。他に島崎藤村、北原白秋、八木重吉、中原中也、山村暮鳥、立原道造は2篇ずつ。村山槐多が入っていたのには「へー」でした。

キーボードやスマホ画面等でなく、やはり自分の手で文字を書くことによって、詩句が脳内に入って来るプロセスがより鮮烈となる気がします。そういう意味では電子書籍では成り立たない出版ですね。

ぜひお買い求めを。

【折々のことば・光太郎】

小生のは真宗の和讃の中の文句「清浄光明」と「平等施一切」とを書きました。当地の農家は皆熱心な真宗の信者なのです。あとは半切に「牛はのろのろと歩く」、「満目蕭條」と書きました。


昭和22年(1947)1月15日 宮崎丈二宛宛書簡より 光太郎65歳

この年1月2日に行った書き初めに関わります。書いたものは世話になっている土地の人々にあげたりすることが多かったようです。

このうち「平等施一切」と「満目蕭條」の書は現存が確認出来ています。
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