1年以上前の刊行ですが、つい最近入手しました。
まえがき
序章 「クワトロ・ショック」が日本を襲う
「飢餓」が現実になる日
「大惨事が迫っている」国際機関の警告
コロナで止まった「種・エサ・ヒナ」
ウクライナ戦争で破壊された「シードバンク」
世界で起こっている「食料・肥料争奪戦」
著者の鈴木宣弘氏は東京大学大学院農学生命科学研究科教授。食糧問題に関する提言をされる中で、光太郎の言葉を引用されています。当方が最初に気づいたのは一昨年3月の地方紙『長周新聞』さんに載った「【緊急寄稿】日本は独立国たりえているか―ウクライナ危機が突きつける食料問題」という記事で、光太郎最晩年の詩「開拓十周年」(昭和30年=1955)の一節、「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」が引用されていました。その後(その前からも)、鈴木氏、ことあるごとにこの一節を紹介されています。そして今回ご紹介する『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』でも。
それにしても目次を見ただけでもショッキングな言葉が並んでいますね。しかし、陰謀論者の強引な牽強付会とは一線を画し、きちんとしたエビデンスに基づいて理路整然と論が展開しています。
こういう問題についつい目を背けがちなのは、国民はバカでいてほしいと願う、壺の大好きな為政者たちの思う壺なのかも知れません。
ぜひお買い求めを。
【折々のことば・光太郎】
貴下に頂いた南瓜も成り、真壁さんにいただいた帯紫茄子も種子から育てて大成績をあげ、既に毎朝新鮮なのを賞味して居ります。
花巻郊外旧太田村でまがりなりにも三畝の畑を開墾し、野菜類はほぼ自給していた光太郎、昭和27年(1952)に行われた座談会「簡素生活と健康」では「食べ物はバカにしてはいけません。うんと大切だということです」と発言しています。
食の安全保障をどう守るか
2022年11月16日 鈴木宣弘著 講談社(講談社+α新書) 定価900円+税いまそこに迫る世界食糧危機、そして最初に飢えるのは日本、国民の6割が餓死するという衝撃の予測……アメリカも中国も助けてくれない。国産農業を再興し、安全な国民生活を維持するための具体的施策とは?
目次まえがき
序章 「クワトロ・ショック」が日本を襲う
「飢餓」が現実になる日
「大惨事が迫っている」国際機関の警告
コロナで止まった「種・エサ・ヒナ」
ウクライナ戦争で破壊された「シードバンク」
世界で起こっている「食料・肥料争奪戦」
「バイオ燃料」が引き起こした食糧危機
一日三食「イモ」の時代がやってくる
日本には「食料安全保障」が存在しない
「市場戦争」と「自己責任」が食糧危機を招いた
なぜ「食料増産」をしないのか
第一章 世界を襲う「食の10大リスク」
穀倉地帯を直撃した「ウクライナ戦争」
国力低下の日本を直撃「中国の爆買い」
人手不足を悪化させた「コロナショック」
もはや当たり前になった「異常気象」
「原油価格高騰」で農家がつぶれる
世界の食を牛耳る「多国籍企業」
食を軽視する「経産省・財務省」
「今だけ、カネだけ、自分だけ」の「新自由主義者」が農業を破壊する
「農業生産の限界」が近付いている
第二章 最初に飢えるのは日本
日本の食料自給率はなぜ下がったのか
コメ中心の食を壊滅させた「洋食推進運動」
食料は武器であり、標的は日本
コメ中心の食生活がもたらす「10のメリット」
有事にはだれも助けてくれない
「食料はお金で買える」時代は終わった
「食料の収益性」を挙げても危機は回避できない
「食料自給率を上げたい人人はバカ」の問題点
第三章 日本人が知らない「危険な輸入食品」
台湾で「アメリカ産豚肉の輸入反対デモ」が起きたワケ
「成長ホルモン牛肉」の処分地にされる日本
「輸入小麦は危険」の理由
「日米レモン戦争」とポストハーベスト農業の真実
ポテトチップスに使われる「遺伝子組み換えジャガイモ」
輸入食品の危険性は報じられない
世界を震撼させた「モンサントペーパー」
「遺伝子組み換え表示」が実際に無理になったワケ
表示の無効化に負けなかったアメリカの消費者
第四章 食料危機は「人災」で起こる
世界中で「土」が失われている
化学肥料農業を脅かす「リン枯渇問題」と「窒素問題」
農薬が効かない「耐性雑草」の恐ろしさ
世界に広がる「デッドゾーン」
多国籍企業が推進する「第二の緑の革命」
「アメリカだけが利益を得られる仕組み」が食料危機をもたらす
「牛乳余り問題」という人災
「買いたくても買えない」人には人道的支援を
あってはならない「酪農家の連鎖倒産」
第五章 農業再興戦略
「日本の農業は過保護」というウソ
日本農業の「三つの虚構」
農業の大規模化はムリ
有機農業で中国にも遅れをとる
「農業への補助金」実は大したコストではない
「みどりの食料システム改革」
「GAFAの農業参入」という悪夢
「三方よし」こそ真の農業
給食で有機作物を
「ローカルフード法」は日本を変えるか
日本のお金が「中抜き」される理由
「ミュニシパリズム」とは何か
「新しい食料システム」の取り組み
「有機農業&自然農法」は普及できるか
あとがき著者の鈴木宣弘氏は東京大学大学院農学生命科学研究科教授。食糧問題に関する提言をされる中で、光太郎の言葉を引用されています。当方が最初に気づいたのは一昨年3月の地方紙『長周新聞』さんに載った「【緊急寄稿】日本は独立国たりえているか―ウクライナ危機が突きつける食料問題」という記事で、光太郎最晩年の詩「開拓十周年」(昭和30年=1955)の一節、「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」が引用されていました。その後(その前からも)、鈴木氏、ことあるごとにこの一節を紹介されています。そして今回ご紹介する『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』でも。
それにしても目次を見ただけでもショッキングな言葉が並んでいますね。しかし、陰謀論者の強引な牽強付会とは一線を画し、きちんとしたエビデンスに基づいて理路整然と論が展開しています。
こういう問題についつい目を背けがちなのは、国民はバカでいてほしいと願う、壺の大好きな為政者たちの思う壺なのかも知れません。
ぜひお買い求めを。
【折々のことば・光太郎】
貴下に頂いた南瓜も成り、真壁さんにいただいた帯紫茄子も種子から育てて大成績をあげ、既に毎朝新鮮なのを賞味して居ります。
昭和21年(1946)9月5日 更科源蔵宛書簡より 光太郎64歳
花巻郊外旧太田村でまがりなりにも三畝の畑を開墾し、野菜類はほぼ自給していた光太郎、昭和27年(1952)に行われた座談会「簡素生活と健康」では「食べ物はバカにしてはいけません。うんと大切だということです」と発言しています。