終戦直後の昭和20年(1945)秋から、生涯最後の大作「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」制作のため帰京した昭和27年(1952)秋まで、光太郎がまる7年間暮らした、花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)。主にその当時を紹介する高村光太郎記念館さんも隣接し、ぜひ皆様に足をお運びいただきたいスポットです。

しかし、いかんせん交通の便がよろしくありません。昔は市の中心街から路線バスが通じていましたが廃線。通常のタクシーですと片道数千円。当方はほぼほぼ毎回(来週もですが)レンタカーです。

そこで、花巻市の老舗タクシー会社、文化タクシーさんが「どんぐりとやまねこ号」という最大9人乗りのジャンボタクシーを運行して下さっています。現在は高村山荘や宮沢賢治記念館さんもコースに入った「どんぐり号」が午前中、南部杜氏伝承館・酒匠館さん、宮沢賢治童話村さんなどを廻る「やまねこ号」が午後、その2コースを「どんぐりとやまねこ号」として1日で運行されています。
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以前、妻と二人で花巻に行った際は、午前中に当方が高村光太郎記念館さんで市民講座講師、その間に妻が「どんぐり号」を利用という荒技(笑)もやりました。

さて、同じ文化タクシーさんで最近、「観光ジャンボタクシー 花巻市周遊 高村光太郎ゆかりの地コース」を設定して下さいました。車両は「どんぐりとやまねこ号」と同じレトロジャンボタクシーで、高村山荘・高村光太郎記念館さん及び近くの音羽山清水寺(光太郎もたびたび訪れた古刹)のみを廻るコースです。
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発着場所は東北本線花巻駅、東北新幹線新花巻駅、さらに花巻空港も選べるそうで。所要時間は約1時間30分となっていますが、出発時間も含めかなり融通が利くようです。また、予約が重なった場合には通常のワゴン車での対応となる感じでしょう。料金は1台借り切って15,600円だそうで、1人2人での使用だと割高ですが、大人数でなら元は取れそうです。また、他にも色々なコースが設定されています。

グループで行かれるという方、ぜひ利用をご検討下さい。

【折々のことば・光太郎】

冬は雪にこそ埋れて居れ、身神の充実はさは夏の比ではありません。アトリエを建てて冬期凍結の虞なく彫刻の出来る日をひたすら待望いたして居ります。フランスあたりなら、きつと請求すれば政府で建ててくれるに違ひないのですが、此の国の有様ではやむを得ません。


昭和21年(1946)8月22日 佐藤隆房宛書簡より 光太郎64歳

結局、後に自ら戦争責任への処罰として彫刻制作は封印するのですが、移住1年目のこの頃はまだ太田村にアトリエ建設という夢は捨てていなかったようです。