光太郎第二の故郷とも言うべき岩手県花巻市。市立の博物館等が統一テーマの元に行う共同企画展です。

令和5年度共同企画展「ぐるっと花巻再発見!~イーハトーブの先人たち~」

市内の文化施設である、花巻新渡戸記念館、萬鉄五郎記念美術館、高村光太郎記念館の3館が連携し、統一テーマにより同一時期に企画展を開催します。

期 日 : 2022年1月20日(土)~2023年2月18日(日)

統一テーマ 「ぐるっと花巻再発見!~イーハトーブの先人たち~」

花巻新渡戸記念館 テーマ「須美子工房~春を彩る貝雛の世界~」
 須美子工房の貝のお雛様は、日本古来の佳き風習を受け継ぎつつ、海と山の幸と日本の文化をつなぎ、「未来への希望をつなぐ」ものとなることを願い、「愛海雛(めぐみびな)」と名を付けました。故・西村須美子さんが製作した貝雛(かいびな)と、夫の故・文夫さんの書と併せて、貝雛の世界を紹介します。

萬鉄五郎記念美術館 テーマ「師岡和彦 早池峰山伏神楽 写真展」
 山形県高畠町出身の師岡和彦(1926-2012)は、1982年、大迫町の岳神楽との出会いをきっかけに、早池峰山伏神楽に魅せられ、以後20年近くに亘り、早池峰山伏神楽を撮影し続けました。数年後には、岳神楽の流れを汲む東和町の石鳩岡神楽にも注目し、数多くの写真を残しています。本展では、師岡がファインダー越しに捉えた、早池峰山伏神楽の躍動する姿を中心に、大迫町、東和町の懐かしい情景を振り返ります。

高村光太郎記念館 テーマ「「光太郎からの手紙」
 昭和20年5月に花巻へ疎開した高村光太郎は、昭和27年10月に彫刻制作で帰京するまでの間に数多くの手紙のやり取りで自身の消息を伝えるだけでなく、文筆から彫刻まで様々な創作活動に関わるやりとりも行っていました。この企画展では光太郎からの手紙を通じて太田村在住当時の様子、創作活動に関わる光太郎周辺の人々との関わり合いをたどります。

協賛館
花巻博物館、花巻市総合文化財センター、宮沢賢治記念館、宮沢賢治イーハトーブ館、宮沢賢治童話村、石鳥谷農業伝承館、早池峰と賢治の展示館
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 今回の開催館3館すべてをバスに乗って一日で巡るツアーです。参加料、入館料ともに無料!!(注 昼食代は自己負担)さらに各企画展の担当者が解説をしてくれます。

ぐるっとまわろう!スタンプラリー
 共同企画展の会期中、開催館3館のスタンプを集めた方に記念品を差し上げます。さらに、開催館3館すべてといすれかの協賛館3館の計6個スタンプを集めた方には、さらに記念品を差し上げますので、この機会にぜひ足を運んでみてください。
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昨年度、コロナ禍がほぼ終息ということで2年ぶりに復活し、5館が参加して開催されました。どうしたわけか今年度は3館のみ、期間もあまり長くありませんが。

旧太田村の高村光太郎記念館さんでは、「光太郎からの手紙」。同館では一般財団法人花巻高村光太郎記念会さんで購入したり寄贈を受けたりした光太郎の書簡を多数所蔵しています。種別としてもハガキあり封書あり巻紙に毛筆で書かれたものもありイラストの入ったものありと、バリエーションに富んでいます。それらは常設展示では出品しきれないため、この機会に、ということでしょう。

ペン書きのものであっても、光太郎の筆跡は実に味わい深く、「書」としての価値も高いものです。色紙や条幅などに気負って書いたものとはまた異なるリラックスして書かれたものである点にも面白味が感じられます。

また、送られた相手も多岐に亘っています。以前に伺った話ですと、女優・劇作家の渡辺えりさんのお父さま・故渡辺正治氏から平成28年(2016)に寄贈を受けたハガキなどもまだ展示していないので、機会があれば、というお話でした。
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おそらくこれも出るんではないかと思われますが、違ったらごめんなさい。

また詳しい情報が入りましたらご紹介します。厳冬期ということでなかなか大変ですが、ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

随分雪の多いところで昨日も終日降つてゐました。開墾が出来ないので何かがすべて遅れます。

昭和21年(1946)4月7日 小盛盛宛書簡より 光太郎64歳

4月に入ってもまだ雪のため畑仕事にかかれなかったそうで、岩手、おそるべしですね。