今年も残すところ1週間足らずとなりました。毎年恒例の1年間回顧を始めます。まずは1~3月、と、その前に、昨年のこの項で洩れていた、昨年末の件から。

2022年12月19日(月)
角川書店さんから青柳碧人氏著短編小説集『名探偵の生まれる夜 大正謎百景』が刊行されました。「姉さま人形八景」で光太郎智恵子が登場します。
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2022年12月30日(金)
朝日新聞出版さんから平田オリザ氏著『名著入門 日本近代文学50選』が刊行されました。「第五章 戦争と向き合う文学者たち」中に「『智恵子抄』高村光太郎」を含みます。

さて、ここから今年。

1月4日(水)~2月5日(日)
金沢市の石川県立美術館さんで「かねは雄弁に語りき 石川県立美術館の金属コレクション」が開催され、光太郎実弟・豊周の鋳金「朱銅三筋文花入」が展示されました。
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1月5日(木)~3月30日(木)
堺市立美原図書館さんで「伊東静雄没後70年記念展示 手紙にみる伊東静雄」が開催されました。光太郎から伊東宛の書簡(複製)が展示されました。

1月6日(金)~4月2日(日)
愛知県小牧市のメナード美術館さんで「メナード美術館開館35周年記念展 所蔵企画 35アーティストvol.Ⅱ」が開催され、光太郎木彫「栄螺」と「鯰」が出品されました。
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1月7日(土) 
青土社さんから鳥居万由実氏著『「人間ではないもの」とは誰か-戦争とモダニズムの詩学-』が刊行されました。「自己と他者が出会う場所――高村光太郎」という章を含みます。

1月7日(土)~2月28日(火)
千代田区の日比谷図書文化館さんで「龍星閣がつないだ夢二の心―『出版屋』から生まれた夢二ブームの原点―」が開催され、『智恵子抄』に関わる展示も為されました。
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1月16日(月)
明治7年(1874)創業で、光太郎智恵子が大正元年(1912)に滞在した千葉県銚子市犬吠埼の老舗宿「ぎょうけい館」(旧・暁鶏館)が廃業しました。

1月19日(木)
思潮社さん創業者にして評論家の小田久郎氏が亡くなりました。平成7年(1995)、『戦後詩壇私史』で光太郎に触れて下さっていました。

1月20日(金)~1月22日(日)
東京都八王子市の東京造形大学さんで「ZOKEI展 東京造形大学卒業研究・卒業制作展/ 東京造形大学大学院修士論文・修士制作展」が開催されました。長田ひかり氏の作品が「智恵子抄」オマージュの「白い病室」でした。
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1月20日(金)~2月19日(日)
那覇市の沖縄県立博物館・美術館さんで「美ら島おきなわ文化祭2022関連特別展 宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室の美と沖縄ゆかりの品々」が開催され、光雲と山崎朝雲の合作「萬歳楽置物」が展示されました。
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1月21日(土)~1月31日(火)
鎌倉市の鎌倉芸術館さんで「没後35年 高田博厚展」が開催され、光太郎胸像を含む高田のブロンズ彫刻等が展示されました。

1月25日(水)
宮沢賢治研究家の天沢退二郎氏が亡くなりました。光太郎に言及した著書等もおありでした。

1月26日(木)
光太郎終焉の地、中野の貸しアトリエを所有する中西家当主・中西利一郎氏が亡くなりました。最晩年の光太郎について多くの証言を残して下さいました。

2月5日(日)
横浜能楽堂で「企画公演 能役者 鵜澤久」が開催されました。「舞囃子 智恵子抄」がプログラムに入りました。
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同日、農文協さんからコーラ小林さん・編 中島陽子さん・絵の絵本『イチからつくる コーラ』が刊行されました。光太郎詩「狂者の詩」に触れられています。

2月8日(水)
平凡社さんから和田博文氏著『日本人美術家のパリ 1878-1942』が刊行されました。「高村光太郎「根付の国」と、欧米の日本美術」という章を含みます。
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2月11日(土・祝)〜4月9日(日)
岐阜県現代陶芸美術館さんで「超絶技巧、未来へ 明治工芸とそのDNA」展が開催され、光雲木彫「白衣観音像」が出品されました。巡回が以下の通りでした。
 長野県立美術館 2023年4月22日(土)〜6月18日(日)
 あべのハルカス美術館 2023年7月1日(土)〜9月3日(日)
 三井記念美術館 2023年9月12日(火)~11月26日(日)
 富山県水墨美術館 2023年12月8日(金)〜2024年2月4日(日)
 山口県立美術館(予定) 2024年9月12日(木)~11月10日(日)
 山梨県立美術館(予定) 2024年11月20日(水)~2025年1月30日(木)

2月14日(火)
花巻市のなはんプラザにおいて公開対談「高村光太郎生誕140周年記念事業 対談講演会 なぜ光太郎は花巻に来たのか」が行われました。対談者は宮沢賢治実弟・清六の令孫にして林風舎代表取締役の宮沢和樹氏と当方でした。
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2月16日(木)
横浜市の横浜みなとみらいホールで「藤木大地&みなとみらいクインテット マチネ」公演があり、加藤昌則氏作曲「レモン哀歌」がプログラムに入りました。新潟公演が5月3日(水)、奈良公演が5月21日(日)でした。

2月18日(土)
兵庫県姫路市の御国野公民館で市民講座「高村光太郎 智恵子抄を中心に」が開催されました。講師は元賢明女子学院短期大学教授・森本穫氏でした。
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2月18日(土)~4月25日(火)
山梨県南巨摩郡身延町の身延山久遠寺霊宝館さんで「身延山霊宝展」が開催され、光雲木彫「聖観音菩薩像」が展示されました。

2月19日(日) 
NHK BS8Kさんで「興福寺 国宝誕生と復興の物語 つなぐ!天平の心」の放映があり、光太郎にも触れられました。BSプレミアムでの再放送が3月28日(火)、7月23日(日)、11月14日(火)に行われました。
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2月21日(火)~6月12日(月)
盛岡市の盛岡てがみ館さんで「第67回企画展 いわての芸術家の手紙」が開催され、光太郎書簡も展示されました。
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2月23日(木)
新宿区の 東京オペラシティリサイタルホールさんで「紀野洋孝テノール・リサイタル」が開催され、別宮貞雄氏作曲の「歌曲集 智惠子抄(改訂新版)」が演奏されました。3月6日(月)には大分市のiichiko音の泉ホールで大分公演がありました。

2月27日(月)
小学館さんから井上涼+NHK びじゅチューン!制作班さん編『びじゅチューン!DVD BOOK 7』が刊行されました。光雲作木彫「老猿」をテーマとした「老猿は主役じゃなくても」を含みます。
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3月1日(水)~6月4日(日)
福井市の福井県ふるさと文学館さんで「コレクション展 新収蔵 津村節子展 津村節子という生き方」が開催され、小説『智恵子飛ぶ』関連の展示もなされました。

3月4日(土)
京都市のCaffe flookさんにおいて「東日本大震災復興支援ライブ 琵琶もの語り」が開催された。筑前琵琶奏者・宇佐美周子氏による光太郎詩「雪白く積めり」が演目に入っていました。
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3月5日(日)
岡山市天神山文化プラザさんで「佐々木英代の日本のうた講座【最終話】第30話 岡山の作曲家と歌手の選んだ名曲編」の公演があり、テノール歌手の松本敏雄氏が青木省三作曲の「智恵子抄三章」を演奏しました。

3月13日(月)
大阪市の大槻能楽堂さんで「至高の華 ~舞と語り~」公演があり、「舞踊詩劇 智恵子抄」が演目に入れられました。出演は梅若実桜雪さん、藤間勘十郎さん、高橋惠子さん他でした。
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同日、日本郵便株式会社東北支社さんが「オリジナル フレーム切手 高村光太郎と花巻」の販売を開始しました。光太郎生誕140年の誕生日に併せての発売でした。

3月14日(火)
札幌市の岩本珈琲さんで「マンスリー朗読ライブ VOL.26 智恵子抄を語る」公演がありました。出演は石橋玲さん(朗読)、つくねさん(音楽)でした。
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3月15日(水)
花巻市の有限事業組合machi R&Eさんから地域情報誌『花巻散歩マチココ』第34号が発行されました。平成29年(2019)4月以来続いていた連載「光太郎レシピ」が今号を以て最終回となりました。

3月17日(金)~5月14日(日)
千代田区の東京国立近代美術館さんで「東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密」展が開催され、光雲作の「老猿」が展示されました。
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3月20日(月)~4月6日(木)
東京都中央区のギャラリーせいほうさんで「高村光太郎と3人の彫刻家 佐藤忠良・舟越保武・柳原義達」展が開催され、光太郎のブロンズが数点出品されました。

3月21日(火)
東京都中央区の王子ホールさんで「朝岡真木子歌曲コンサート第6回」が開催されました。朝岡さん作曲の「組曲〈智惠子抄〉」より「千鳥と遊ぶ智恵子」「値ひがたき智恵子」がメゾソプラノ歌手・清水邦子さんの歌唱、朝岡さんのピアノで演奏されました。
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同日、ムジカフエンテさんからCD「清水邦子が歌う 組曲『智惠子抄』」がリリースされました。メゾソプラノ歌手・清水邦子さんの歌唱、朝岡さんのピアノで録音されています。映画監督の水谷俊之氏、それから当方がライナーノートを書かせていただきました。

3月22日(水)
集英社さんから佐高真氏著『反戦川柳人 鶴彬の獄死』が刊行されました。「藤沢周平の斎藤茂吉批判」という項で、光太郎に触れられました。
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同日、評論家の芹沢俊介氏が亡くなりました。昭和57年(1982)には、筑摩書房さんから『高村光太郎』という書籍を刊行なさっています。

3月23日(木)
女優の奈良岡朋子さんが亡くなりました。昭和50年(1975)にラジオの文化放送さんで放送された「青春劇場 日本抒情名詩集」で、「智恵子抄」から数編の朗読をなさった他、「智恵子抄」をモチーフの一つとした映画「こころの山脈」(昭和40年=1965)にご出演なさいました。
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3月24日(金)
岡山県赤磐市教育委員会さんから光太郎も登場する『マンガふるさとの偉人 詩人永瀬清子物語 わがたてがみよ、なびけ』が刊行されました。シナリオ・和田静夫氏、マンガ・藤井敬士氏でした。

3月28日(火)
作曲家の坂本龍一氏が亡くなりました。NHK Eテレさんの「にほんごであそぼ」番組内でくりかえし使われた光太郎作詞「道程」を作曲、演奏なさいました。
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3月31日(金)~5月7日(日)
東京都台東区の東京藝術大学大学美術館さんで「買上展 藝大コレクション展2023」が開催され、光太郎のブロンズ「獅子吼」、光太郎実弟・豊周の鋳金作品が出品されました。
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3月(日付不明)
花巻市さんから『The Onsen of Hanamaki 花巻温泉』が刊行されました。市の地域おこし協力隊で活動されている森川沙紀氏の手になるもので、光太郎が亡くなる2ヶ月前の昭和31年(1956)に語った談話筆記「花巻温泉」の全文と、その英訳が載せられています。

当方の勝手な判断で、主要な事項(と思われるもの)のみ紹介させていただいております。「この頃、こんなイベントもあったよ」「光太郎について書かれているこの本の紹介が無いぞ」というようなことがありましたら、コメント欄等から御教示いただければ幸いです。

【折々のことば・光太郎】

書きたい詩はたくさんありながら夜間が使へないので遅々としてはかどりません。

昭和21年(1946)2月15日 水原宏宛書簡より 光太郎64歳

前年秋から暮らし始めた花巻郊外旧太田村の山小屋(高村山荘)。昭和24年(1949)、見かねた村人たちが電線を引っ張ってあげるまで電気が通じていませんでした。