師走に入り今更感がありますが、妻と共に一昨日に行って参りました紅葉狩りのレポートを。

行き先は隣町の成田山新勝寺さんとそちらに付随する成田山公園。先々週くらいに放映されたチバテレさんのローカルニュースで「紅葉が見頃を迎えました」的なのがあり、行ってみようかと。

車を駐める都合も考え、まずは成田山公園。さっそくいい感じに木々の葉が色づいていました。
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成田山公園といえば園内に書道美術館さんがあり、平成26年(2014)に与謝野晶子の書を拝見に伺いまして、それ以来でした。

さらに成田山公園といえば、明治末に吉原の娼妓・若太夫を巡って光太郎とすったもんだのあった小説家・木村荘太がここで自裁しました。昭和25年(1950)のことでした。同行した妻にはそんな話をするのも何なので黙っていましたが。

公園を通り抜けると、裏手から新勝寺さんの境内に入ります。こちらにも紅葉した木々がそこここに。
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実は当方、隣町に住んでいながら新勝寺さんにお参りするのは初めてでした。信心深さに欠けるもので(笑)。

ただ、以前からこちらの釈迦堂という堂宇は見てみたいと思っておりましたので、この機会に。元々は本堂だったものです。
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こちらが何なのかといいますと、光太郎の父・光雲の『光雲懐古談』(昭和4年=1929 万里閣書房)中に「成田不動と其堂羽目彫刻」という章があって、こちらの外壁に施された五百羅漢のレリーフを写真入りで紹介していますし、他の章でも触れられています。こりゃ一見の価値はあるな、というわけで。
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その五百羅漢像がこちら。
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作者は松本良山。光雲が師事した高村東雲のさらに師・高橋鳳雲らと共に江戸三代仏師の一人に数えられた名工です。確かに見事ですね。

他に「二十四孝図」。こちらは『光雲懐古談』では触れられていませんが、島村俊表という彫物師の作。やはり江戸期の作です。
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さらに他の箇所にも見事な彫り物。作者はよく分からないのですが。
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他の堂宇にも。

一切経堂。
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三重塔。キンキラキンですが、現代のものではなく江戸中期の建築で重要文化財です。
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それから、彫刻とは関係なく、現代の建物ですが、光輪閣。大人数での行事等を行うための施設です。
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中に480畳の大広間があり、そちらの襖絵は、親しくさせていただいている女優の一色采子さんのお父さまにして、同郷の智恵子をモチーフにした絵も複数描かれた故・大山忠作画伯の手になるものです。たまに公開している場合があり、あわよくばと思って行ってみたのですが、やはり非公開でした。

ちなみに襖絵の一部はこんな感じ。分割民営前の郵政省時代、昭和の終わりか平成の初め頃発行された40円絵葉書10枚セットです。
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最初と最後にあしらわれた絵は新勝寺さんの所蔵ではありません。最後が舞台「智恵子抄」で智恵子を演じられた有馬稲子さんを描かれたもの。これが入っていたので購入しました。

ちなみに一色さんのフェイスブックを見ましたところ、来年秋に一般公開が為されるそうでした。
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その後、門前に出て昼食。参道も当方の好きな古建築が随所に残り、いい感じです。右下は旅番組、散歩番組などでよく紹介される老舗のうなぎ屋・川豊さん。ここでは食べずに安い蕎麦での昼食でしたが(笑)。
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平日にもかかわらず、善男善女(当方は違いますが(笑))の皆さんで賑わっていました。

自宅兼事務所の庭でも、一本だけある楓が色づいています。
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北国ではとっくに終わっていると思いますが、やはり房総は温暖なのですね。

というわけで、来週末ぐらいまではまだ紅葉が見られるでしょう。成田山、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

太田村にはまだ小屋が建ちません。村の人が営林署から山小屋の小さなのを払下げてもらつてそれを移したいとしてゐるやうです。丸太と藁の小屋よりも雪に強い方がよいといつてゐます。雪は四尺以上のやうな話で、零下二十度といふ事です。小生初めての経験なのでたのしみです。小生の耐寒力のいいためしになります。

昭和20年(1945)9月12日 水野葉舟宛書簡より 光太郎63歳

成田郊外三里塚に隠棲していた水野葉舟宛書簡から。山小屋の図面が書き込まれていました。おおむねこの通りの造作となりました。
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