時折、本当に時折ですが、光太郎のブロンズ彫刻が売りに出されます。ブロンズは同一の型から同じ物が作れますので、光太郎歿後に鋳造された物が販路に乗るわけです。といっても無制限に鋳造されることもないので、やはり貴重な機会ではあります。
まず、大阪で昨日始まった展示即売会。「手」(大正7年=1918)が出ています。
上記の説明文、突っ込みどころが多いのですが……。
まず「今世紀最後のチャンス」。今世紀はまだ80年近く残っていますし……。まぁ、貴重な機会であることはその通りですね。それから「昭和初期」と謳っていますが、「手」は大正7年(1918)の作と確認できています。まぁ、他の展示品の多くが「昭和初期」なのでしょう。
そして、「手」の販売価格。書いてありません。「応談」ということでしょうか。台座を見るとどうも古い鋳造ではないようなのですが、どのくらいで考えているかと、気になりますね。
もう1件、美術品オークションから。
同型のものは、髙村家、碌山美術館さん、千葉県立美術館さん、花巻高村光太郎記念館さんなどにあります。
ところでこの手のオークション、以前はこのブログで度々ご紹介していましたが、一度、光太郎の父・光雲作の木彫ということで出品されていたものが、画像を見ただけでもあまりに「いけない」ものだったので、以後、ここで取り上げるのをやめていました。ただ、今回はブロンズで、まず間違いなさそうなのでご紹介します。
予想落札価格的な設定が100万から150万。まぁ、妥当な線でしょう。「代表作」とは言えない「薄命児」でこの値段ですから、上記の「手」はその数倍ではないかと思われます。
懐に余裕のおありの方(個人でも法人でも)、ぜひどうぞ。
【折々のことば・光太郎】
今朝は西鉛の山のマタギが宮沢さんところへ訪ねて来たので、熊捕りの話をききました。
「西鉛」は花巻南温泉峡の一番奥にあった西鉛温泉。光太郎は花巻の宮沢家に疎開後、肺炎で高熱を発して約1ヶ月臥床した予後を養うため、6月に1週間程当時に音すれました。
そのあたりのマタギは、賢治の「なめとこ山の熊」に登場しますね。
まず、大阪で昨日始まった展示即売会。「手」(大正7年=1918)が出ています。
期 日 : 2023年11月23日(木)~11月30日(木)
会 場 : 竹井事務所 大阪市西区新町1-2-13 新町ビル2F 206号
時 間 : 13:00~19:00
料 金 : 入場無料
会場の「竹井事務所」さんは大阪ですが、主催の「古美術上田」さんは東京都文京区(そこで、下記の別の業者さんによるオークション会場も都内ですし、この記事のカテゴリは「東京都」としました)。超名品!高村光雲の息子であり、智恵子抄で有名な“高村光太郎” 代表作「手」を11月23日~30日の1週間限定で展示販売 ~あの超貴重品を手に入れる今世紀最後のチャンス! 昭和初期美術の名品と共にガラス越しではなく“間近”で!~
株式会社竹井事務所は、竹井事務所2F(所在地:大阪市西区新町1-2-13 新町ビル2F 206号)にて高村光太郎の「手」を中心に、古美術上田による昭和初期美術の展示・販売会を2023年11月23日(木)から11月30日(木)の期間限定で開催します。
昭和初期の日本は、第一次世界大戦による好況が終わり、戦後恐慌によって日本全体が貧しくなった時代です。そんな中で作り上げられた美術品には作家の強い意志が感じられ、その象徴の一つとして高村光太郎の「手」がしばしば挙げられます。不遇の時代に作られた逞しい作品の力と美を間近でご高覧下さい。
株式会社竹井事務所は、竹井事務所2F(所在地:大阪市西区新町1-2-13 新町ビル2F 206号)にて高村光太郎の「手」を中心に、古美術上田による昭和初期美術の展示・販売会を2023年11月23日(木)から11月30日(木)の期間限定で開催します。
昭和初期の日本は、第一次世界大戦による好況が終わり、戦後恐慌によって日本全体が貧しくなった時代です。そんな中で作り上げられた美術品には作家の強い意志が感じられ、その象徴の一つとして高村光太郎の「手」がしばしば挙げられます。不遇の時代に作られた逞しい作品の力と美を間近でご高覧下さい。
【主な展示・販売品】
・高村光太郎「手」 ・鋳銅金鶏鳥置物 ・純銀鵞置物 ・青銅器倣花瓶
・鋳銅蟹香炉 ・鋳銅蜂文花瓶 ・鋳銅篝火形香炉 他
上記の説明文、突っ込みどころが多いのですが……。
まず「今世紀最後のチャンス」。今世紀はまだ80年近く残っていますし……。まぁ、貴重な機会であることはその通りですね。それから「昭和初期」と謳っていますが、「手」は大正7年(1918)の作と確認できています。まぁ、他の展示品の多くが「昭和初期」なのでしょう。
そして、「手」の販売価格。書いてありません。「応談」ということでしょうか。台座を見るとどうも古い鋳造ではないようなのですが、どのくらいで考えているかと、気になりますね。
もう1件、美術品オークションから。
期 日 : 2023年12月7日(木)、8日(金)
会 場 : 東京毎日オークションハウス
東京都江東区有明3-5-7 TOC有明ウエストタワー5階
東京都江東区有明3-5-7 TOC有明ウエストタワー5階
時 間 : 12/7(木) 16:00 - (Session1 online)
12/8(金) 12:00 - (Session2 Auction House)
欧米留学に発つ前年、浅草の花やしきで見た、曲芸の幼い兄妹がモデルです。もともと右画像のように兄妹の群像として作られました。親方に怒られて泣いている妹をかばう兄、という構図。しかし、残念ながら現存するのは兄の頭部のみです。同型のものは、髙村家、碌山美術館さん、千葉県立美術館さん、花巻高村光太郎記念館さんなどにあります。
ところでこの手のオークション、以前はこのブログで度々ご紹介していましたが、一度、光太郎の父・光雲作の木彫ということで出品されていたものが、画像を見ただけでもあまりに「いけない」ものだったので、以後、ここで取り上げるのをやめていました。ただ、今回はブロンズで、まず間違いなさそうなのでご紹介します。
予想落札価格的な設定が100万から150万。まぁ、妥当な線でしょう。「代表作」とは言えない「薄命児」でこの値段ですから、上記の「手」はその数倍ではないかと思われます。
懐に余裕のおありの方(個人でも法人でも)、ぜひどうぞ。
【折々のことば・光太郎】
今朝は西鉛の山のマタギが宮沢さんところへ訪ねて来たので、熊捕りの話をききました。
昭和20年(1945)8月3日 宮崎稔宛書簡より 光太郎63歳
「西鉛」は花巻南温泉峡の一番奥にあった西鉛温泉。光太郎は花巻の宮沢家に疎開後、肺炎で高熱を発して約1ヶ月臥床した予後を養うため、6月に1週間程当時に音すれました。
そのあたりのマタギは、賢治の「なめとこ山の熊」に登場しますね。