お世話になっている書家の菊池雪渓氏から招待状を頂き、「第45回東京書作展」を拝見して参りました。

会場は上野の東京都美術館さん。
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昨年はそれが無かったようなので欠礼しましたが、今年は上位入賞作に光太郎詩を書かれた作品があるとのことで。

こちらがその作品。
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光太郎が花巻郊外旧太田村の山小屋で蟄居席活を始めた直後の昭和20年(1945)に書かれた詩「雪白く積めり」の一節です。高田月魁氏という方、これではない作の方が最高賞に当たる内閣総理大臣賞/東京書作展大賞に選ばれていました。

その他の入選作でも光太郎詩文を書かれた方が複数いらっしゃり、有り難く存じました。

散文「満目蕭条の美」(昭和7年=1932)から。
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詩「平和時代」(昭和3年=1928)全文。
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詩「芋銭先生景慕の詩」(昭和14年=1939)より。「芋銭」は日本画家・小川芋銭です。
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見落としがなければ光太郎詩文を題材にしたものは以上でした。

「あれっ」と思ったのが、こちら。
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光太郎の親友・荻原守衛の書簡(片岡当宛・年月日不明)の一節が書かれています。文学系で光太郎と交遊のあった人物の作品から題を採ったものは多く見かけます(今回も北原白秋やら与謝野晶子やらが目立ちました)が、書道展で守衛の名に接する機会は今まで無かったような気がします。

しかし、いい文言です。

蕾ニシテ凋落センモ亦面白シ 天ノ命ナレバ之又セン術ナシ 唯人事ノ限リ尽シテ待タンノミ 事業ノ如何ニアラズ心事ノ高潔ナリ 涙ノ多量ナリ以テ満足ス可キナリ

満30歳で夭折した守衛晩年の書簡と思われますが、自身の運命を予言しているかのような……。

招待券を下さった菊池氏の作。
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菊地氏も令和元年(2019)の同展で内閣総理大臣賞/東京書作展大賞に輝かれています。

同展、昨日開幕で、11月24日(金)まで。ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

毎日花巻の地理踏査、先日は詩碑に詣でました、清六さんが写真をとつてくれましたがまだ出来ません、警戒警報頻発、昨夜も十二時頃サイレンに起されました、

昭和20年(1945)7月2日 宮崎稔宛書簡より 光太郎63歳

5月16日に花巻の宮沢家に疎開、翌日から結核性の肺炎で約1ヶ月臥床した光太郎ですが、この頃には本復。賢治実弟・清六の案内で、自らが昭和11年(1936)に揮毫した「雨ニモマケズ」詩碑を初めて見に行きました。除幕の際は智恵子が南品川ゼームス坂病院に入院中ということもあり、訪れませんでした。