ありがたいことに光太郎詩文の朗読に取り組んで下さる方々が少なからずいらっしゃいます。その系の情報を3件ばかり。

まず、6月に応募についてご紹介した「第16回⼭形⼤学⾼校⽣朗読コンクール」。『智恵子抄』から随筆「智恵子の半生」の一節(詩「あどけない話」を含む部分)と、詩「レモン哀歌」が課題文でした。予選を経て本選が終わり、入賞者が発表されました。

高村光太郎の名作 東北6県の高校生 朗読を競う ~第16回山形大学高校生朗読コンクール審査結果発表~

 山形大学は地域社会との連携をより深める事を目的に、東北6県の高校生の文化交流を支援するため、第16回山形大学高校生朗読コンクールを開催しました。
 令和5年度も録音による審査によって開催しました。東北4県の高校26校177名の高校生により競われた予選審査を通過し、本選に出場した15名の高校生は高村光太郎の名作「智恵子抄」を朗読しました。
 上位3名を山形大学学長賞として選出し、他の本選出場者も入選として表彰しました。
 本選の模様は、山形大学公式YouTubeチャンネルにより一般公開します。
 なお、本コンクールの企画運営は基盤共通教育「イベントマネジメントとプレゼンでみがく社会人基礎力」(担当教員:山本陽史)の受講学生が行い、YouTubeの動画撮影・編集は山形大学放送研究会の学生に御協力いただき開催いたしました。
 詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。
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入選された皆さんの朗読を収録した動画がアップされています。
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さすがに177名もの応募者の中から選ばれた朗読ですので、皆さん、聴いていて心地よい感じです。

参加なさった高校生の皆さん、さらにはコンクールの企画運営に当たられた大学生の皆さんの中から、光太郎智恵子の世界に興味を抱き、さらに発展した活動等に結びつけられる方が出てくると、望外の喜びです。

ところで朗読の動画というと、やはり光太郎詩文を朗読してYouTube等にあげられている方がたくさんいらっしゃいます。それはそれでありがたいのですが、審査や監修を受けず個人的にやられているということもあるのでしょう、中にはむちゃくちゃなものもあって残念です。以前にも書きましたが、朗読以前に漢字の勉強しようよ、みたいな。明らかにおかしな漢字の読み方をしているものが少なからずありますし、ひどいものになるとタイトルバックの詩の題名の漢字が思いっきり間違っていたり……。このあたりは当方も気をつけたいところですが……。

閑話休題。続いて朗読会のお知らせです。

あなたに贈る読みがたりーいい夫婦の日ー

期 日 : 2023年11月16日(木)
会 場 : 水戸市立東部図書館 茨城県水戸市元吉田町1973-27
時 間 : 午前11時~11時30分
料 金 : 無料

高村光太郎作「あどけない話」等、夫婦に関する作品を図書館スタッフが朗読します。
問合せ先 水戸市立東部図書館 029-248-4051

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もう1件。

「ならしの」ミニ朗読会~想いを込めてお届けする~

期 日 : 2023年11月25日(土)
会 場 : 東習志野コミュニティセンター 千葉県習志野市東習志野3-1-20
時 間 : 13:30~15:00 
料 金 : 無料

「はらぺこあおむし」エリック・カール 「日本の女」向田邦子 「智恵子抄」より高村光太郎 「よだかの星」宮沢賢治 「仙人」芥川龍之介 「伊豆の踊り子」川端康成 「連れあい」内海隆一郎

主催 習志野朗読サークル「茜」

光太郎作品のうち、やはりこうした場合に人気なのは「智恵子抄」ですね。

ついでに、というと何ですが、少し前にご紹介しました北鎌倉のカフェ兼ギャラリー「笛」さんで開催中の「回想 高村光太郎と尾崎喜八 詩と友情 その10」の関連行事としての朗読会が11月11日(土)です。カフェ常連の皆さんの皆さんなどによる朗読でしょう。昨年から始まり、2回目となります。今年は当方の勝手な計画で(笑)、光太郎肉声の朗読も聴いていただこうかと思っております。

3件の朗読会、お近くの方等、ぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

此辺が焼けたら小生も何処かの山へ行つて炭を焼かうと考へてゐます、

昭和20年(1945)3月27日 安齋正治宛書簡より 光太郎63歳

最近のこの項でくり返し書いていますが、3月10日の東京大空襲では機銃弾の被害程度で焼けずに済んだ光太郎アトリエ兼住居、4月13日の空襲で全焼します。5月には宮沢賢治の父・政次郎の招聘で花巻の宮沢家に疎開、戦後も帰京せず、花巻郊外太田村の山小屋に隠棲することになるのですが、そのイメージがこの頃には既にあったことが窺えます。