書道関連でいろいろとご紹介させていただきます。
まず、光太郎直筆の書作品が出ている/出されるもの。
似鳥美術館さん、これ以外にも、光太郎の父・光雲とその一派の作を大量に収蔵なさっていて、常設展示で出ています。一度伺いたいと思いつつ、果たせないでいるのですが……。
もう1件。
まず、光太郎直筆の書作品が出ている/出されるもの。
トピック展「岸田劉生とその時代」
期 日 : 2023年9月28日(木)~12月26日(火)
会 場 : 似鳥美術館 北海道小樽市色内1丁目3-1
時 間 : [5~10月] 9:30〜17:00 [11~4月] 10:00~16:00
休 館 : 毎週水曜日
料 金 : 一般1,500円 大学生1,000円 高校生700円 中学生500円 小学生300円
当館の収蔵作品を紹介する小さな企画展「トピック展」。似鳥美術館3階展示室では、「岸田劉生とその時代」を開催いたします。
大正から昭和にかけて活躍した洋画家、岸田劉生。本展では当館が収蔵する劉生作品のうち、初期の自画像や晩年の文人画風の日本画など4点をご紹介します。あわせて、劉生と同時代に活動した萬鉄五郎、高村光太郎の未公開作品も展示。本フロアの常設作品とともに、岸田劉生とその時代を彩った作品の数々をお楽しみください。
メインは岸田劉生ですが、光太郎の彫刻と書も。彫刻「十和田湖畔の裸婦像のための手」は、まさにその通りのもので、十和田湖の「乙女の像」の左手部分の習作です。「制作年不詳」となっていますが、昭和27年(1952)です。同型のブロンズ鋳造はあちこちにあり、当方、千葉県立美術館さん、八戸クリニック街かどミュージアムさんなどで拝見しました。
書の方は、短句「山巓の気」、それから短歌「爪きれば指にふき入る秋風のいとたへがたし朝のおばしま」。短歌の方は、繰り返し同じ歌を揮毫したようで、共に短冊でしたが、七夕古書入札市の一般下見展観で見たことがありますし、美術品オークションにも出品されたことがあります。そのどちらかの時のものかどうか、画像が出ていないので分かりませんが……。
書の方は、短句「山巓の気」、それから短歌「爪きれば指にふき入る秋風のいとたへがたし朝のおばしま」。短歌の方は、繰り返し同じ歌を揮毫したようで、共に短冊でしたが、七夕古書入札市の一般下見展観で見たことがありますし、美術品オークションにも出品されたことがあります。そのどちらかの時のものかどうか、画像が出ていないので分かりませんが……。
似鳥美術館さん、これ以外にも、光太郎の父・光雲とその一派の作を大量に収蔵なさっていて、常設展示で出ています。一度伺いたいと思いつつ、果たせないでいるのですが……。
もう1件。
京都非公開文化財特別公開(一念寺)
期 日 : 2023年11月12日(日)~11月20日(月)
会 場 : 一念寺 京都市下京区柳町324
時 間 : 午前9時~午後4時
料 金 : 大人 1,000円 中高生 500円
「京都非公開文化財特別公開」は昭和40年にはじまった文化財愛護の普及啓発事業で、文化財を公開することにより、市民あるいは広く国民的な活用に資し、且つそれに基づいて文化財愛護の関心を高めるという趣旨のもと、社寺や文化財所有者の協力を得て実施してまいりました。
この秋は京都市内15か所の文化財を公開します。公開場所によって公開期間や時間が異なりますので、ご来場いただく前に当ホームページ等にて事前にご確認をお願いします。
皆様から頂戴しました拝観料は、貴重な文化財を未来に伝えるため、保存修理・維持管理等に役立てられます。
京都市内15の寺院が参加しての事業で、毎年違った寺宝を出す、ということのようです。
このうち、下京区柳町の一念寺さんという寺院で、光太郎直筆の書を出すと予告されています。『朝日新聞』さん記事から抜粋で。
その他、「芸術の秋」ということもあるのでしょう、この時期、全国各地で現代の書家の方々による書道展等もたくさん開催されており、中には光太郎詩文を題材にされたものも出品されたりしています。既に終わってしまったものも含め、記録のためご紹介しておきます。
今回の個展は、昨年就任した同ふるさと大使としての役割を「活動で示したい」と開催した。年齢を重ねていく中で、自分がやってきたことを次につないでいければとの思いもあった。支部さんは「いろいろな人との出会いが私たちの人生を支える。ここに来て会話をしたり、何か気付きを得て帰ってもらう。そういう場を今後も作っていきたい」と、個展の継続開催に意欲を見せた。
京都市内15の寺院が参加しての事業で、毎年違った寺宝を出す、ということのようです。
このうち、下京区柳町の一念寺さんという寺院で、光太郎直筆の書を出すと予告されています。『朝日新聞』さん記事から抜粋で。
西本願寺の門前町、三つの寺が堂内初披露 幕末の大火後に再建・移転
浄土真宗本願寺派の本山・西本願寺(京都市下京区)の東側に、いくつもの寺や仏具店が軒を連ねる門前町がある。開祖・親鸞(しんらん、1173~1262)の生誕850年を記念し、門前の三つの寺が、秋の「京都非公開文化財特別公開」(京都古文化保存協会主催、朝日新聞社特別協力)で堂内を初披露する。
門前町は、時が穏やかに流れる。西本願寺との間を幹線道路の堀川通が貫くが、その騒々しさがここにはない。東西300メートル、南北700メートル。碁盤目状の町割りに、約20の寺が点在する。
起源は、豊臣秀吉による京都改造で、西本願寺がこの地に移ってきたことにさかのぼる。江戸時代になると、広大な境内に80を超す寺院が並び、幕府の力も及ばない独自の自治を行う寺内町をつくった。しかし、幕末に起きた蛤御門(はまぐりごもん)の変(禁門の変)による大火で焼け野原に。現在の町並みは、その後再建された。
こちらで所蔵されているという光太郎の書、当方、寡聞にして存じませんが、とりあえず。一念寺 「新選組」に対した重鎮ゆかり
同じ通りの一念寺は、明治維新の頃に門前町の別の場所から移ってきた。幕末期には西本願寺の重鎮・富島頼母(たのも)の屋敷があった。富島は、西本願寺に屯所(とんしょ)を構えた新選組の退去に努めたことで知られる。
本堂は、法輪寺と同じ座敷御堂。縁側のような入り口から内陣が見える。文化人との交流が深く、収集品も多い。特別公開では芥川龍之介や高村光太郎、泉鏡花らの書画を展示する。
「文学や芸術への寺の功績を知ってもらえたら」。町歩きの案内もする谷治暁雲(ぎょううん)住職(50)は話す。
その他、「芸術の秋」ということもあるのでしょう、この時期、全国各地で現代の書家の方々による書道展等もたくさん開催されており、中には光太郎詩文を題材にされたものも出品されたりしています。既に終わってしまったものも含め、記録のためご紹介しておきます。
支部蘭蹊~書は言葉なり 言葉は心なり~展
期 日 : 2023年10月14日(土)~10月18日(水)
会 場 : 釜石市民ホールTETTO ギャラリー
『釜石新聞』さんから。
『釜石新聞』さんから。
釜石応援ふるさと大使 書家・支部蘭蹊さん TETTOで初個展 復興支援で結ばれた絆強く
「釜石応援ふるさと大使」を務める宮城県仙台市在住の書家、支部蘭蹊(はせべらんけい=本名・一郎)さん(72)が14日から18日まで、釜石市大町の市民ホールTETTOで個展を開いた。中学、高校時代を釜石市で過ごした支部さんは、東日本大震災後、同期生らと古里へのさまざまな支援活動を展開。被災者らに自らの筆で心を癒やす言葉を贈るなど、明日への希望をつないできた。今回は、被災後に新設された同ホールでの初めての個展。これまでの支援活動で支部さんの作品に魅了されてきた人たちをはじめ、多くの鑑賞者が訪れた。
「書は言葉なり、言葉は心なり」と題した展示会には100点余りが出品された。支部さんの作品は書道を身近に感じられるよう、日常生活で目にできる形に仕上げているのが特徴。額入りや掛け軸のほか、帯地を利用したタペストリー、硯石に刻字した置物、写真に言葉を添えた作品などさまざまな趣向が凝らされている。書かれているのは心を潤す四文字熟語のほか、宮沢賢治や高村光太郎、金子みすゞらの詩、自由律俳句で有名な種田山頭火の句など。支部さん自らが紡いだ文言の作品もある。
(略)今回の個展は、昨年就任した同ふるさと大使としての役割を「活動で示したい」と開催した。年齢を重ねていく中で、自分がやってきたことを次につないでいければとの思いもあった。支部さんは「いろいろな人との出会いが私たちの人生を支える。ここに来て会話をしたり、何か気付きを得て帰ってもらう。そういう場を今後も作っていきたい」と、個展の継続開催に意欲を見せた。
第21回書道 五月女紫映 社中展
期 日 : 2023年10月15日(日)~10月21日(土)
会 場 : 東京交通会館2Fギャラリー
『産経新聞』さん記事。
『産経新聞』さん記事。
第21回「書道 五月女紫映 社中展」が有楽町の東京交通会館で開催
第21回「書道 五月女紫映 社中展」が有楽町の東京交通会館2Fギャラリーで開催されている。
五月女主宰は、村野四郎詩「鹿」を出品、生き生きとして抒情を誘う。刻字作品「ありがとう」は、ひらがなと漢字の「日々平凡」を組み合わせ、思いが籠る。会員は、漢字、近代詩文書、臨書、小品の書画と多彩な作品を出陳。漢字作品では、冨永香代子さんの白居易「長恨歌」が、師匠譲りの躍動感あふれる筆致で秀逸だ。淡墨で白居易「仙遊寺獨宿」を変化ある三行にまとめた石向竹霞さんの作品も面白い。近代詩文書は、坂本勝彦さんの高村光太郎「冬が来る」、藤井優子さんの金子みすゞ「私と小鳥とすずと」、福田世英さんの自作「思うがままに」などが印象に残る。いずれも衒いのない平明な作品だが、作者の心が伝わってくる。服部弘さんの黄庭堅「松風閣詩巻」は、やや細身だがしっかりとした臨書で好ましい。多士済々、64作が展示され楽しめる。10月21日まで。
第8回海游舎書展
期 日 : 2023年10月17日(火)~10月22日(日)
会 場 : 埼玉県立近代美術館
やはり『産経新聞』さんより。
やはり『産経新聞』さんより。
「第8回海游舎書展」が埼玉県立近代美術館で開催
「第8回海游舎書展」(山下海堂会長=産経国際書会最高顧問)が10月17日から22日(午後3時)まで、さいたま市浦和区(JR北浦和駅下車)の埼玉県立近代美術館で開催されている。書道研究海游舎は、山下会長が柴田侑堂門下より独立して創設、以来埼玉県下の社中を糾合し産経国際書会の有力な団体に成長している。
山下会長は、雄渾な「和気致祥」、「修羅」などを出品。高木撫松さんは情感漂う「中川一郎の詩」など、青木錦舟さんは花吹雪の情景を切り取る意欲作「花がふってくると思う…」ほか、本橋春景さんは直線的な構成で見せ場を作る高村光太郎詩などを出品。他に布施夏翠さん等、漢字、かな、現代詩文など多彩な作品約100点が展示され見ごたえがあった。会長賞を、行草単体で孟浩然の「洛陽訪才子…」を書した大平美侑さん、若山牧水歌「いく山河…」を淡墨で縦二段に散らした大毛青舟さんが受賞。特別賞を、盛田理泉さん、松井遊舟さん、小西桜吟さん、産経新聞社賞を岩本京子さんがそれぞれ受賞した。
以上3件、終わってしまったものですが(ご紹介が遅れてすみません)、これから開催されるものも。
以上3件、終わってしまったものですが(ご紹介が遅れてすみません)、これから開催されるものも。
第10回 日本美術展覧会
期 日 : 2023年11月3日(金・祝)~11月26日(日)
会 場 : 国立新美術館 東京都港区六本木7-22-2
時 間 : 午前10時~午後6時
休 館 : 毎週火曜日
料 金 : 前売券 1,200円 当日券 1,400円 大学生以下無料
入選者の名簿がネット上に出ていまして、明らかに題名で光太郎詩を書いて下さったのがわかる作が4点(見落としがあったらすみません)。
この手の公募展で、もう一つ、書家の菊地雪渓氏によれば、11月18日(土) ~ 11月24日(金)、 東京都美術館さんで開催される「第45回東京書作展」の第3次審査まで残った作に光太郎詩「雪白く積めり」を書いた作品が入ったそうです。第4次(最終)審査に進出上位10作品には残らなかったようですが、展示されるのは間違いないでしょう。詳細がわかりましたらまたご紹介します。
最後に、ちょっと変わったものが出品されている書道展。
入選者の名簿がネット上に出ていまして、明らかに題名で光太郎詩を書いて下さったのがわかる作が4点(見落としがあったらすみません)。
この手の公募展で、もう一つ、書家の菊地雪渓氏によれば、11月18日(土) ~ 11月24日(金)、 東京都美術館さんで開催される「第45回東京書作展」の第3次審査まで残った作に光太郎詩「雪白く積めり」を書いた作品が入ったそうです。第4次(最終)審査に進出上位10作品には残らなかったようですが、展示されるのは間違いないでしょう。詳細がわかりましたらまたご紹介します。
最後に、ちょっと変わったものが出品されている書道展。
特別企画展 郷土の書人・画人・教育者 上田桑鳩展~上田家・飛雲会寄贈品~
期 日 : 2023年10月14日(土)~11月26日(日)
会 場 : 堀光美術館 兵庫県三木市上の丸町4番5号
時 間 : 10:00~17:00
休 館 : 月曜日 11月24日(金)
料 金 : 一般500円 大学/高校生250円
日本経済新聞の題字を手がけたことでも知られる三木市吉川町出身の書道家上田桑鳩(うえだそうきゅう)の特別企画展
上田錦谷時代(大正後期)から最晩年に至る多彩な桑鳩芸術の全容を公開 ※錦谷(きんこく)とは桑鳩を名乗る以前の雅号
令和3年度に上田啓之氏から寄贈いただいた書作品、スケッチブック、教科書などと令和2年度に飛雲会より寄贈いただいた作品を中心に展示します
見返しに上田による同書の感想がびっしり書き込まれているそうです。「彫込し如き筆の痕」「深く大きく宇宙刻めり」といった文言が見えます。光太郎の書によほど感銘を受けたのでしょう。
同書、ハードカバーの初版が昭和34年(1959)の刊行。美術史家の奥平英雄、当会顧問であらせられた北川太一先生の編集になる大判の書作品集です。昭和51年(1976)にはソフトカバーの改訂新版も出ていますが、上田の没年が昭和43年(1968)ですので、初版の方でしょう。
手にとって見られるよう、複製したものも展示しているとのこと。面白い試みですね。
ところで、光太郎書といえば、花巻高村光太郎記念館さんで開催中の企画展示「光太郎と吉田幾世」にも、初公開のものを含む書が出ていますし、同館では常設でも光太郎書を多数展示しています。
ちなみに当方、明日から2泊3日で花巻です。同展関連行事の市民講座の講師、さらに宮沢賢治イーハトーブ館さんでのシンポジウム的な「高村光太郎生誕140周年記念事業 続 光太郎はなぜ花巻に来たのか」でコーディネーターを務めさせていただきます。
以上、実にいろいろご紹介しましたが、開催中のもの、これから始まるものについては、ぜひ足をお運びください。
【折々のことば・光太郎】
小生は疎開しません、地方に親戚もなく、又彫刻の仕事は道具類の関係上このままの方がよいと思つてゐます、どんな危険な時でも小生は平気でやつてゐる気です。
米軍による本土空襲は既に始まっています。結局、翌年4月13日の空襲で、光太郎自宅兼アトリエは灰燼に帰す事になります。
見返しに上田による同書の感想がびっしり書き込まれているそうです。「彫込し如き筆の痕」「深く大きく宇宙刻めり」といった文言が見えます。光太郎の書によほど感銘を受けたのでしょう。
同書、ハードカバーの初版が昭和34年(1959)の刊行。美術史家の奥平英雄、当会顧問であらせられた北川太一先生の編集になる大判の書作品集です。昭和51年(1976)にはソフトカバーの改訂新版も出ていますが、上田の没年が昭和43年(1968)ですので、初版の方でしょう。
手にとって見られるよう、複製したものも展示しているとのこと。面白い試みですね。
ところで、光太郎書といえば、花巻高村光太郎記念館さんで開催中の企画展示「光太郎と吉田幾世」にも、初公開のものを含む書が出ていますし、同館では常設でも光太郎書を多数展示しています。
ちなみに当方、明日から2泊3日で花巻です。同展関連行事の市民講座の講師、さらに宮沢賢治イーハトーブ館さんでのシンポジウム的な「高村光太郎生誕140周年記念事業 続 光太郎はなぜ花巻に来たのか」でコーディネーターを務めさせていただきます。
以上、実にいろいろご紹介しましたが、開催中のもの、これから始まるものについては、ぜひ足をお運びください。
【折々のことば・光太郎】
小生は疎開しません、地方に親戚もなく、又彫刻の仕事は道具類の関係上このままの方がよいと思つてゐます、どんな危険な時でも小生は平気でやつてゐる気です。
昭和19年(1944)3月29日 舟川栄次郎宛書簡より 光太郎62歳
米軍による本土空襲は既に始まっています。結局、翌年4月13日の空襲で、光太郎自宅兼アトリエは灰燼に帰す事になります。