朗読のイベントを2つご紹介します。
開催順にまずは北海道。
開催順にまずは北海道。
第31回 葦の会 朗読会
期 日 : 2023年10月7日(土)
会 場 : 札幌市資料館 研修室 札幌市中央区大通西13丁目4-194
時 間 : 13:30~16:00
料 金 : 500円
第31回 葦の会 朗読会を開催します。
<プログラム>
志賀直哉 作 『 転生 』 岡田しづよ
芥川龍之介 作 『 蜜柑 』 後藤朋子
江戸川乱歩 作 『 日記帳 』 奈良千鶴
有島武郎 作 『 小さき者へ 』 栗原幸子
<休憩>
樋口一葉 作 『 たけくらべ 』より 今堀祥子
佐藤春夫 作 『 小説 智恵子抄 』より 山口照代
森浩美 作 『 褒め屋 』 植松尚美
指導・進行佐藤 雅子
「葦の会」は、1990年4月朝日カルチャーセンター朗読講座で基礎を学んだ有志で結成した会です。朗読の楽しさ、奥深さ、楽しさを感じながら、月1回の勉強会を重ねています。年に1回朗読会を実施しています。
光太郎と親しかった佐藤春夫の『小説 智恵子抄』からの抜粋がプログラムに入っています。同作は光太郎が歿した昭和31年(1956)から翌年にかけ、雑誌『新女苑』に連載されたジュブナイルです。連載当時のタイトルは「愛の頌歌(ほめうた) 小説智恵子抄」。昭和32年(1957)に実業之日本社で単行本化、のち、角川文庫のラインナップに入りました。今日現在、KADOKAWAさんのサイト上にも登録があり、絶版というわけではないのかな、と思われます。文庫版の解説は当会の祖・草野心平です。
佐藤自身による「はしがき」によれば、
詩集「智恵子抄」はだいたいとして事実、実感を重んじて書かれた半記録らしいのに較(くら)べて、わたくしのは徹頭徹尾、小説で虚実取り交えたもので、作中人物も実名あり架空の人名あり、作中の土地も踏査の暇なくすべて居ながらにして名所を知った架空風景である。その心して読まれたい。
とのこと。
おおむね光太郎や周辺人物から聞いた話などを元にしているのでしょうが、たしかに「虚実取り交えた」部分があります。ただ、どこまでが「実」でどこからが「虚」かの見極めが難しいところです。
例えば、昭和8年(1933)夏、光太郎は心を病んだ智恵子を伴い、その療養のため東北と北関東の温泉廻りをしていますが、確認出来ている最初の逗留先は裏磐梯川上温泉です。しかし同作では川上温泉に泊まる前日、近くの中ノ沢温泉の「花見屋」という宿に一泊したということになっています。そこが他の客との相部屋しか無く、しかたなしに頼み込んで主人の居室に泊めてもらい、翌日、主人の紹介で川上温泉に移ったと。このあたり、こちらで把握している光太郎年譜にはそうした事実が確認出来ません。すると、佐藤による創作かな、とも考えられるのですが、厄介なことに「花見屋」が実在します。ただしそちらでは「光太郎智恵子が泊まった宿」という宣伝はなさっていないようです。それにしても佐藤の記述が非常にリアルでして……。
閑話休題、もう1件、朗読イベントを。続いては光太郎終焉の地・東京都中野区です。
【折々のことば・光太郎】
東京は今、地方の人の上京で満員の状態です。物資統制で皆不自由な生活をしてゐます。
千葉九十九里浜在住だった智恵子実母宛です。
太平洋戦争開戦までまだ1年余りありますが、泥沼化していたに日中戦争の影響で、物資不足。砂糖・マッチは既に配給制となっています。「地方の人の上京で満員」は、地方より東京府内の方が物資を入手しやすかったためでしょうか。
第31回 葦の会 朗読会を開催します。
<プログラム>
志賀直哉 作 『 転生 』 岡田しづよ
芥川龍之介 作 『 蜜柑 』 後藤朋子
江戸川乱歩 作 『 日記帳 』 奈良千鶴
有島武郎 作 『 小さき者へ 』 栗原幸子
<休憩>
樋口一葉 作 『 たけくらべ 』より 今堀祥子
佐藤春夫 作 『 小説 智恵子抄 』より 山口照代
森浩美 作 『 褒め屋 』 植松尚美
指導・進行佐藤 雅子
「葦の会」は、1990年4月朝日カルチャーセンター朗読講座で基礎を学んだ有志で結成した会です。朗読の楽しさ、奥深さ、楽しさを感じながら、月1回の勉強会を重ねています。年に1回朗読会を実施しています。
光太郎と親しかった佐藤春夫の『小説 智恵子抄』からの抜粋がプログラムに入っています。同作は光太郎が歿した昭和31年(1956)から翌年にかけ、雑誌『新女苑』に連載されたジュブナイルです。連載当時のタイトルは「愛の頌歌(ほめうた) 小説智恵子抄」。昭和32年(1957)に実業之日本社で単行本化、のち、角川文庫のラインナップに入りました。今日現在、KADOKAWAさんのサイト上にも登録があり、絶版というわけではないのかな、と思われます。文庫版の解説は当会の祖・草野心平です。
佐藤自身による「はしがき」によれば、
詩集「智恵子抄」はだいたいとして事実、実感を重んじて書かれた半記録らしいのに較(くら)べて、わたくしのは徹頭徹尾、小説で虚実取り交えたもので、作中人物も実名あり架空の人名あり、作中の土地も踏査の暇なくすべて居ながらにして名所を知った架空風景である。その心して読まれたい。
とのこと。
おおむね光太郎や周辺人物から聞いた話などを元にしているのでしょうが、たしかに「虚実取り交えた」部分があります。ただ、どこまでが「実」でどこからが「虚」かの見極めが難しいところです。
例えば、昭和8年(1933)夏、光太郎は心を病んだ智恵子を伴い、その療養のため東北と北関東の温泉廻りをしていますが、確認出来ている最初の逗留先は裏磐梯川上温泉です。しかし同作では川上温泉に泊まる前日、近くの中ノ沢温泉の「花見屋」という宿に一泊したということになっています。そこが他の客との相部屋しか無く、しかたなしに頼み込んで主人の居室に泊めてもらい、翌日、主人の紹介で川上温泉に移ったと。このあたり、こちらで把握している光太郎年譜にはそうした事実が確認出来ません。すると、佐藤による創作かな、とも考えられるのですが、厄介なことに「花見屋」が実在します。ただしそちらでは「光太郎智恵子が泊まった宿」という宣伝はなさっていないようです。それにしても佐藤の記述が非常にリアルでして……。
閑話休題、もう1件、朗読イベントを。続いては光太郎終焉の地・東京都中野区です。
くつろぎの朗読会
期 日 : 2023年10月17日(火)
会 場 : オルタナティブスペースRAFT 東京都中野区中野1-4-4
時 間 : 午後2時 午後7時 朗読時間は約80分です
料 金 : ¥2,300(珈琲、紅茶付き)
「ものがたり」に耳をかたむけながら、ゆったりまったりRAFTでくつろぎのお時間を。ものがたりとお飲み物をご用意してお待ちしております。
智恵子抄 高村光太郎 火縄銃 江戸川乱歩
*読み手 出口佳代
高村光太郎の智恵子抄を、時系列に沿って、解説をナレーションしながら読んでいきます。光太郎と智恵子の愛をより深く感じていただけるのではと思います。後半は 江戸川乱歩に初挑戦いたします。ストーリー自体がまず面白いので、推理と種明かしを、一緒にスリルを感じながら楽しめたらと思います。よろしければ是非足をお運びくださいませ。
予約してみました。皆様もぜひどうぞ。【折々のことば・光太郎】
東京は今、地方の人の上京で満員の状態です。物資統制で皆不自由な生活をしてゐます。
昭和15年(1940)10月30日 長沼セン宛書簡より 光太郎58歳
千葉九十九里浜在住だった智恵子実母宛です。
太平洋戦争開戦までまだ1年余りありますが、泥沼化していたに日中戦争の影響で、物資不足。砂糖・マッチは既に配給制となっています。「地方の人の上京で満員」は、地方より東京府内の方が物資を入手しやすかったためでしょうか。