昨日は都内と横浜を廻っておりました。

まずは日本橋。三井記念美術館さんで特別展「超絶技巧、未来へ 明治工芸とそのDNA」を拝観。
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いわゆる「超絶技巧」系で、戦前の工芸等および現代の作家さんたちの作品が展示されています。メインは現代ものです。

戦前の工芸等の中で、光太郎の父・光雲の「白衣観音像」。拝見した憶えのない作品でしたので、観て参りました。
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昭和7年(1932)の作だそうですので、光雲晩年のものです。

奇を衒うことなく、まさに王道。台座的な岩の作り方など、かの「老猿」を彷彿とさせられます。ただ、もしかすると光雲本人単独の作ではなく、弟子の手が入った工房作かも知れません。それでもいいものであることは間違いありませんが。

他に彫刻では光雲高弟の一人・米原雲海や、光雲の盟友・石川光明の作など、眼福でした。また、特に刺繍絵画などで無銘の作も多数。銘が入っていなくとも、いいものはいい、というスタンスには好感が持てます。

そして現代の作家さんたちの作。伝統を受け継ぎつつも、さらに進化させようとする姿勢が感じられます。ただ、芸術上のどんな分野でもそうですが、一通りのものが出尽くした感のある現代において、これから世紀をまたいで残っていく作品を創出することが果たして可能なのかな、という気はしました。

その後、横浜は桜木町に移動。横浜市民ギャラリーさんで開催中の現代アートのインスタレーション「新・今日の作家展2023 ここにいる―Voice of Place」を拝見。
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出品作家お二人のうち、チョークを使ったアートを得意とされている来田広大氏は、一昨年、六本木で「智恵子抄」オマージュの「あどけない空#2 The artless sky #2」を開催され、拝見して参りました。その際に出された映像作品「東京には空がない(Rooftop Drawing)」が再登場。その筋でそこそこ話題となっています。

都内某所のビル屋上の床面に、来田氏がひたすらチョークを使って曇天をトレースするというコンセプト。5分あまりの映像です。
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それから新作と思われる「あどけない空-三浦半島のキャベツ畑」。
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今月5日には87回忌(没後満85年)を迎える智恵子に思いを馳せて参りました。

ちなみに9月28日(木)、『朝日新聞』さん投書ページから。
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三井記念美術館さん特別展「超絶技巧、未来へ 明治工芸とそのDNA」は11月26日(日)まで、横浜市民ギャラリーさん「新・今日の作家展2023 ここにいる―Voice of Place」は10月9日(月・祝)までの会期です。それぞれぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

松茸いただきました、大変よい松茸でよろこびました、松焼にしたり、吸物にしたり、いろいろして賞味しました、あつく御礼申上げます、


昭和15年(1940)10月27日 富士正晴宛書簡より 光太郎58歳

富士正晴は大阪在住の詩人。

信州などでは今年は夏場の猛暑と9月に入ってからの残暑、さらに少雨もあって二十数年ぶりのマツタケ不作だそうです。それでなくとも数年間マツタケなぞ食べた記憶がないのですが(笑)。