いわゆる「超絶技巧」系の展覧会で、光太郎の父・光雲の木彫が出ています。

超絶技巧、未来へ 明治工芸とそのDNA

期 日 : 2023年9月12日(火)~11月26日(日)
会 場 : 三井記念美術館 東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
時 間 : 10:00~17:00
休 館 : 月曜日(但し9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
料 金 : 一般 1,500(1,300)円 大学・高校生 1,000(900)円
      ( )内団体料金 中学生以下 無料

 三井記念美術館を皮切りに2014年から2015年にかけて全国を巡回した「超絶技巧!明治工芸の粋」展、2017年から2019年に全国巡回した「驚異の超絶技巧! 明治工芸から現代アートへ」展で、多くの人々を魅了した「超絶技巧」シリーズの第3弾。本展では、金属、木、陶磁、漆、ガラス、紙など様々な素材を用い、孤独な環境の中、自らに信じられないほどの負荷をかけ、アスリートのような鍛錬を実践している現代作家17名の作品、64点を紹介します。いずれも単に技巧を駆使するだけでなく、「超絶技巧プラスα」の美意識と並外れたインテリジェンスに裏打ちされた作品をセレクトしました。
 また超絶技巧のルーツでもある七宝、金工、漆工、木彫、陶磁、刺繍絵画などの明治工芸57点もあわせて展覧します。
 明治工芸のDNAを受け継ぎながら、それらを凌駕するような、誰にも真似できないことに挑戦し続ける作家たちの渾身の作品を、ぜひその目でお確かめください。
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メインは現代の作家さんたちによる超細密工芸ですが、そのルーツということで、明治工芸等も出ています。光雲作品は「白衣観音像」。その他、光雲と並び称される石川光明、光雲高弟の一人・米原雲海の作なども。出品目録はこちら
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同展、今年2月から全国巡回が始まっており、三井記念美術館さんで4館めです。

 岐阜県現代陶芸美術館 2023年2月11日(土・祝)〜4月9日(日)【終了】
 長野県立美術館 2023年4月22日(土)〜6月18日(日)【終了】
 あべのハルカス美術館 2023年7月1日(土)〜9月3日(日)【終了】
 富山県水墨美術館 2023年12月8日(金)〜2024年2月4日(日)
 山口県立美術館(予定) 2024年9月12日(木)~11月10日(日)
 山梨県立美術館(予定) 2024年11月20日(水)~2025年1月30日(木)

長野展あたりで光雲作品が出ているらしいという情報を得ていたのですが、詳細が不明でいるうちに失念していました。ひところの「超絶技巧」ブームもだいぶ下火になったような感もあり、これまでの巡回、あまり話題にならなかったような気もしています。

ところで、光雲といえば、当方は拝見しませんでしたが、昨夜、テレビの某人気クイズ番組で光雲の「老猿」が問題に出たそうです。作者名として光雲を問う問題だったようですが(違っていたらすみません)、それに対しX(旧Twitter)上で「難問過ぎる」という御意見と「わかって当然」という御意見と、半々くらいだったでしょうか。個人的には「日本人としてマストの知識でしょ」と思うのですが……。ちなみにその放送中あたりから、そのあおりで当ブログへのアクセス数が跳ね上がりました(笑)。

閑話休題、「超絶技巧、未来へ 明治工芸とそのDNA」。今後の巡回を含め、お近くの会場にぜひどうぞ。

【折々のことば・光太郎】

小生例の通り光の一字を彫つていただければ仕合に思ひますが、一字分のお礼ではすまない事に存じますゆえ、臨機幾字分かの割になりましてもかまひません、まづはお願まで


昭和15年(1940)5月7日 宮崎丈二宛書簡より 光太郎58歳

この後、光太郎が終生愛用した「光」一文字の印を、宮崎を通じて中国の画家・書家・篆刻家の斉白石に依頼したことに関わります。昭和20年(1945)には駒込林町の光太郎アトリエ兼住居が空襲で全焼しますが、この印は彫刻刀などの道具類、智恵子ゆかりの毛布等と共に防空壕に入れて置いて難を逃れたようです。