横浜から、現代アートの展覧会情報を。既に始まってしまっていますが……。

新・今日の作家展2023 ここにいる―Voice of Place

期 日 : 2023年9月16日(土)~10月9日(月・祝)
会 場 : 横浜市民ギャラリー 横浜市西区宮崎町26番地1
時 間 : 10:00~18:00
休 館 : 会期中無休
料 金 : 無料

 「新・今日の作家展」は、横浜市民ギャラリーが開館した1964年から40年にわたり開催した「今日の作家展」を継承した展覧会で、同時代の表現を紹介・考察しています。今年度は「ここにいる―Voice of Place」を副題に2名のアーティストを紹介します。
 来田広大は、土地や場所と人との関係を探るため、山等におけるフィールドワークをひとつの拠点としています。そこから臨む風景を地図と捉え、作品に対峙した際「今ここにいる」という自覚を導く、チョークを用いた制作を中心に行っています。古橋まどかは、自身に関わる地域や場所の中にある自然や人工物の変遷や軌跡に着目します。自らの経験との関係性を掘り下げ、リサーチをもとに立体や映像、収集物を用いたインスタレーションを発表してきました。
 私たちはみな、どこかの場所や土地に関係しながら今ここにいます。対人距離や移動に制限のあったコロナ禍を経た今、2名の作品に相対することは、場や土地が内包する時間、人びとや生物の身体や記憶等に思索を巡らせ、自己や他者に対する内的な気づきをもたらすことでしょう。

[出品作家]
来田広大、古橋まどか

※展覧会にあわせて事前収録した作家2名のインタビュー映像をWebおよび会場で公開の予定です。
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出品作家お二人のうち、来田広大氏。「智恵子抄」インスパイアで、令和2年(2020)には福島県いわき市で「来田広大個展「あどけない空」KITA Kodai Solo Exhibition “Candid Sky”」、同3年には都内で「あどけない空#2 The artless sky #2」を開催。後者は拝見して参りました。

その際に出品された映像作品《東京には空がない (Rooftop Drawing)》が、今回も出ているとのことです。
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YouTube上に予告動画。


来田氏へのインタビューも。12:50頃から「あどけない空」として、光太郎智恵子に触れて下さっています。


ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

お電話の趣により、執筆をつづけて居りましたがどうしてもまとまりさうもありません。今度はわざわざ御来訪の上のおたのみだつたのに甚だ不本意ですが右御諒承下さい、 今年十月は智恵子の三回忌になりますので出来ればその頃出させていただければ一番気持が済むやうに思はれます。智恵子に話しかけるやうに書けるかと思ひますから。


昭和15年(1940)4月28日 栗本和夫宛書簡より 光太郎58歳

栗本和夫は『婦人公論』編集者。同誌のこの年12月号に載った随筆「智恵子の半生」(原題「彼女の半生-亡き妻の思ひ出」)に関わります。のち、詩集『智恵子抄』に転載されましたが、いかにも苦しみつつ書き足し書き足ししながら書いたというのがわかる文章です。