2ヶ月近く経ってしまいましたが、新刊です。
ガラスペンでなぞって愉しむ きらめく文学の世界
2023年6月18日 佐藤広野編 コスミック出版 定価1,500円+税 美しいイラストで彩られたガラスペンを愉しむためのなぞり書きBOOK
実際にインクで描かれた挿絵で鮮やかに彩られたページでお送りする、ガラスペンとインクを心ゆくまで愉しめる一冊です。宮沢賢治からアンデルセン童話まで、魅力的な文学を幅広く収録。後半ページには本文イラストを使用した&カードつき。切り離してお楽しみいただけます。
用紙が途中で変わる仕様となっており、さらっと、ざらっと、つるっと、3種類の用紙が愉しめます。
インク馴染みの良い、書き心地を重視した用紙をセレクトしました。
▽イラストレーター
惠/シーナケイ 定岡恵 ハコペン 模様デザイナーmaya
目次
本書の使い方
第一章 星と夜空の文学
銀河鉄道の夜 宮沢賢治
夢十夜 夏目漱石
あのときの王子くん アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
星とピエロ 中原中也
湖上 中原中也
山月記 中島敦
春夜 萩原朔太郎
第二章 花と果実の文学
一握の砂 石川啄木
桜の樹の下には 梶井基次郎
桜の森の満開の下 坂口安吾
檸檬 梶井基次郎
蜜柑 芥川龍之介
或阿呆の一生 芥川龍之介
たけくらべ 樋口一葉
第三章 恋と罪の文学
初恋 島崎藤村
舞姫 森鷗外
女生徒 太宰治
こころ 夏目漱石
駆け込み訴え 太宰治
蜜のあはれ 室生犀星
人に 高村光太郎
レモン哀歌 高村光太郎
春琴抄 谷崎潤一郎
第四章 海の向こうの文学
赤ずきん グリム兄弟
幸福の王子 オスカー・ワイルド
はつ恋 イワン・ツルゲーネフ
ロミオとジュリエット ウィリアム・シェークスピア
人魚の姫 ハンス・クリスチャン・アンデルセン
不思議の国のアリス ルイス・キャロル
白雪姫 グリム兄弟
レター&カード 切り離し付録
作家紹介
最近流行りのガラスペン――その名の通り、ペン先(多くは本体も)がガラスで出来ているペンです。毛細管現象を利用する漬ペンという意味では、万年筆と似ていますが、ペン先が金属ではなくガラスなので、独特の風合いが醸し出されます。日本発祥で意外と歴史は古く、明治35年(1902)に風鈴職人・佐々木定次郎が発明したとされています。
本書は有名な文学作品の一節を、ガラスペンでなぞって書いてみよう、というコンセプトで、上記作品が1~2ページずつ引用され、薄く印刷されています。ちなみにそのフォントもいろいろです。バックの枠的なイラスト部分も、4人の作家さんがガラスペンで描いたものとのこと。
光太郎詩が二篇、「人に」(大正元年=1912)と「レモン哀歌」(昭和14年=1939)。
X(旧ツィッター)上で、この手の文学作品等の一節(多くは青空文庫さんで公開されているもの)を様々な筆記具で書いて投稿する、という「#○○書写」というハッシュタグが存在し、時折、光太郎作品、光雲作品が取り上げられています。なかなかの力作もあり、「いいね」を押させていただいております。
「書道」とまではいかないのかもしれませんが、新しい「書字」の一つの潮流として、かなり定着しているようですし、こうした流れにも敏感な書家の石川九楊先生あたり、「#○○書写」論を展開していただきたいところです。
さて、『ガラスペンでなぞって愉しむ きらめく文学の世界』、ぜひお買い求め下さい。
【折々のことば・光太郎】
ちゑさん少々ぼんやりしてゐましたがひどく悪くなくて喜びました。あの筆にはまつたく驚きました。かういふところは全く天才的だと思ひます。それだけまた頭のくるふ事もあるのだとおもはれます。ちゑさんの天才を十分に発揮する事ができたら素晴らしいでせう。
心を病んだ智恵子を預かって貰っている、九十九里の智恵子実母宛。「あの筆にはまつたく驚きました」は、智恵子がまた絵でも描いたのかと思ったのですが、『高村光太郎全集』の解題に依れば、黒松の芽で筆を作ったのだそうです。それが驚くような出来だったということでしょう。
「ちゑさんの天才を十分に発揮する事」。まだこの時期の智恵子は有名な「紙絵」は作っていません。
目次
本書の使い方
第一章 星と夜空の文学
銀河鉄道の夜 宮沢賢治
夢十夜 夏目漱石
あのときの王子くん アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
星とピエロ 中原中也
湖上 中原中也
山月記 中島敦
春夜 萩原朔太郎
第二章 花と果実の文学
一握の砂 石川啄木
桜の樹の下には 梶井基次郎
桜の森の満開の下 坂口安吾
檸檬 梶井基次郎
蜜柑 芥川龍之介
或阿呆の一生 芥川龍之介
たけくらべ 樋口一葉
第三章 恋と罪の文学
初恋 島崎藤村
舞姫 森鷗外
女生徒 太宰治
こころ 夏目漱石
駆け込み訴え 太宰治
蜜のあはれ 室生犀星
人に 高村光太郎
レモン哀歌 高村光太郎
春琴抄 谷崎潤一郎
第四章 海の向こうの文学
赤ずきん グリム兄弟
幸福の王子 オスカー・ワイルド
はつ恋 イワン・ツルゲーネフ
ロミオとジュリエット ウィリアム・シェークスピア
人魚の姫 ハンス・クリスチャン・アンデルセン
不思議の国のアリス ルイス・キャロル
白雪姫 グリム兄弟
レター&カード 切り離し付録
作家紹介
最近流行りのガラスペン――その名の通り、ペン先(多くは本体も)がガラスで出来ているペンです。毛細管現象を利用する漬ペンという意味では、万年筆と似ていますが、ペン先が金属ではなくガラスなので、独特の風合いが醸し出されます。日本発祥で意外と歴史は古く、明治35年(1902)に風鈴職人・佐々木定次郎が発明したとされています。
本書は有名な文学作品の一節を、ガラスペンでなぞって書いてみよう、というコンセプトで、上記作品が1~2ページずつ引用され、薄く印刷されています。ちなみにそのフォントもいろいろです。バックの枠的なイラスト部分も、4人の作家さんがガラスペンで描いたものとのこと。
光太郎詩が二篇、「人に」(大正元年=1912)と「レモン哀歌」(昭和14年=1939)。
X(旧ツィッター)上で、この手の文学作品等の一節(多くは青空文庫さんで公開されているもの)を様々な筆記具で書いて投稿する、という「#○○書写」というハッシュタグが存在し、時折、光太郎作品、光雲作品が取り上げられています。なかなかの力作もあり、「いいね」を押させていただいております。
「書道」とまではいかないのかもしれませんが、新しい「書字」の一つの潮流として、かなり定着しているようですし、こうした流れにも敏感な書家の石川九楊先生あたり、「#○○書写」論を展開していただきたいところです。
さて、『ガラスペンでなぞって愉しむ きらめく文学の世界』、ぜひお買い求め下さい。
【折々のことば・光太郎】
ちゑさん少々ぼんやりしてゐましたがひどく悪くなくて喜びました。あの筆にはまつたく驚きました。かういふところは全く天才的だと思ひます。それだけまた頭のくるふ事もあるのだとおもはれます。ちゑさんの天才を十分に発揮する事ができたら素晴らしいでせう。
昭和9年(1934)7月30日 長沼セン宛書簡より 光太郎52歳
心を病んだ智恵子を預かって貰っている、九十九里の智恵子実母宛。「あの筆にはまつたく驚きました」は、智恵子がまた絵でも描いたのかと思ったのですが、『高村光太郎全集』の解題に依れば、黒松の芽で筆を作ったのだそうです。それが驚くような出来だったということでしょう。
「ちゑさんの天才を十分に発揮する事」。まだこの時期の智恵子は有名な「紙絵」は作っていません。