7月31日(月)に放映のあったものの再放送です。

にほんごであそぼ「空」

地上波NHK Eテレ 2023年8月5日(土) 07:00~07:10

書道で学ぶにほんご・漢字アニメ/空、偉人とダンス/この空は私たちの真上にある 究極のアートギャラリーなのである。(ラルフ・ワルド・エマーソン)、こどもスタジオ/空前絶後、
朗読(高杉真宙)/「あどけない話」高村光太郎、文楽/山のあなたの・・・、童謡「りすりす小りす」

【出演】南野巴那,高杉真宙,竹本織太夫,鶴澤清介,三世桐竹勘十郎,青柳美扇,おおたか静流,中村彩玖,川原瑛都,川田秋妃

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「空」をテーマに、さまざまな切り口から日本語の面白さを探究。
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そんな中で、光太郎詩「あどけない話」(昭和3年=1928)を、俳優の高杉真宙さんが朗読。
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実に爽やかでいい感じでした。

NHKプラスさんでも配信されています。ただし、ブラウザが限定されているようです。Microsoft Edgeには対応していないような……。

ところで、過日、同番組のスタッフ女史からレファレンス依頼がありました。8月8日(火)に撮影を行う回で、やはり光太郎詩「レモン哀歌」(昭和14年=1939)と、「道程」(大正3年=1914)の雑誌初出形バージョンを取り上げて下さるそうで、詩の読み方について。

「道程」の雑誌初出形バージョンは、全102行。あまりに長いのですべてではなく抜粋で、だそうです。「レモン哀歌」は以前にも使われましたが、こちらは初の試みということで、読み方はこれでいいのか、という確認でした。しかしなんとオンエアは10~11月の予定とのこと。かなり長いスパンで制作されているのですね。

ちなみに以前も書きましたが、時折、ネット上で102行バージョンが「「道程」の全文」という紹介の仕方をされていて、閉口しています。まるで詩集『道程』に収められた9行の形(光太郎自身がばっさり切り落としました)が実はまがいもので、みんな騙されているかのように「この長いのが「道程」の全文じゃ。どや、おどれら知らへんかったろ、教えたるわ、ボケ」みたいな(笑)。102行の形は「初出形」または「初出発表形」、9行の方は「最終形」あるいは「最終詩形」。「全文」という語は絶対に使わないでいただきたいものです。「それ、「全文」ちゃうねん、知ったかぶってドヤ顔こいとるんやあらへんで」という感じです。別に関西弁でなくてもいいのですが(笑)。

閑話休題。明日の再放送、ぜひご覧下さい。

【折々のことば・光太郎】

又例の講座の「ヹルハアラン」が出来ました故ともかく別封で謹呈いたします、 説明を平叙法にした為め失敗しました、ヹルハアランの人物とその時代的意味を書けずにしまひました、


昭和8年(1933)8月14日 片山敏彦宛書簡より 光太郎51歳

例の講座の「ヹルハアラン」」は、この月発行の『岩波講座世界文学九 近代作家論』。光太郎によるベルギー詩人エミール・ヴェルハーレンの書き下ろし評伝「ヹルハアラン」を含む、6人の共著です。「」は、それに先立つ6月に同じ叢書の第七巻で光太郎単著の『現代の彫刻』が刊行されていたことに関わります。いずれもペーパーバックです。
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ヴェルハーレンは妻・マルトとの生活を謳った連作詩「時」三部作を発表しており、『智恵子抄』所収詩篇にも少なからず影響を及ぼしています。