コロナ禍の最中にはそういうこともほとんどありませんでしたが、のんきにイベントに出かけ、さらにそのレポートを書いているうちに、書くべき事柄がたまってしまう、と、コロナ禍以前の状態が戻ってきています。

今週末のイベント等、2件、ご紹介します。

まずは邦楽系のコンサート。

元井美智子自作自演コンサート2023

期 日 : 2023年7月29日(土)
会 場 : 横浜市イギリス館 神奈川県横浜市中区山手町115-3
時 間 : 18:30~
料 金 : 2,500円

出 演 : 元井美智子(箏)
曲 目 : 智恵子抄より 青女 夏は来ぬ など

自作曲とアレンジ曲のプログラムでソロコンサートを開催します。あまりの暑さで外出をためらってしまう気候ですが、ぜひお越し下さい。よろしくお願いします。
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元井美智子さん。存じ上げない方ですが、通常の箏、十七絃、三味線などの演奏活動とレッスンをなさっている方だそうで。

プログラムに「智恵子抄より」とあります。SNSを拝見しましたところ、インスパイアを受けるため、今回のコンサートに先立ち花巻郊外旧太田村の高村光太郎記念館さんにも行かれたそうで、ありがたいことです。

会場が港の見える丘公園内のイギリス館さん。すぐ近くには神奈川近代文学館さんがあり、閲覧室はよく利用させていただいております。今回もそちらでの調べものを兼ねて、行ってこようと思っております。

もう1件。同日開始で映画の上演情報です。

生誕110年記念 映画監督・中村登――女性讃歌の映画たち

期 日 : 2023年7月29日(土)~9月1日(金)
会 場 : 神保町シアター 東京都千代田区神田神保町1-23
料 金 : 一般 ¥1,300 シニア ¥1,100 学生 ¥900 U29ペア割引 ¥2,200
      毎週水曜ファン感謝デー どなた様も1000円均一
      毎月1日映画サービスデー どなた様も1000円均一

■中村登(なかむら・のぼる)略歴■
 1913年東京・下谷に生まれ、36年東京帝国大学文学部英文科を卒業後、松竹大船撮影所に助監督として入社。41年に文化映画『生活とリズム』の後、同年『結婚の理想』で劇映画の監督デビューを果たす。51年のオールスター映画『我が家は楽し』が評判になると、スター女優が主演した文芸作品を数多く手掛けるようになり、63年の川端康成原作『古都』や66年の有吉佐和子原作『紀ノ川』などが高く評価され、松竹の屋台骨を支える巨匠として活躍した。79年、紫綬褒章受章。81年、日中合作映画『未完の対局』を準備中に闘病生活に入り、死去。
 生誕100年を記念して、2013年『夜の片鱗』がヴェネチア国際映画祭で上映、翌年のベルリン国際映画祭では『我が家は楽し』『土砂降り』『夜の片鱗』が上映され、今なお再評価の熱が高まる映画監督のひとりである。

上演作品 全作品ともに監督:中村登
 1.『智恵子抄』 昭和42年 カラー 
   出演:岩下志麻、丹波哲郎、平幹二朗、岡田英次、南田洋子、中山仁
 2.『春を待つ人々』 昭和34年 カラー 
   出演:佐田啓二、有馬稲子、岡田茉莉子、高橋貞二、桑野みゆき、佐分利信
 3.『鏡の中の裸像』 昭和38年 カラー
   出演:桑野みゆき、倍賞千恵子、池部良、神山繁、川津祐介、山本圭
 4.『爽春』 昭和43年 カラー
   出演:岩下志麻、竹脇無我、生田悦子、森光子、山形勲、市川好郎
 5.『明日への盛装』 昭和34年 白黒
   出演:高千穂ひづる、大木実、石浜朗、芳村真理、杉田弘子、杉浦直樹
 6.『恋人』 昭和35年 カラー
   出演:桑野みゆき、山本豊三、岡田茉莉子、南原宏治、桂小金治、大泉滉
 7.『紀ノ川』 昭和41年 カラー
   出演:岩下志麻、司葉子、田村高廣、丹波哲郎、有川由紀、沢村貞子
 8.『わが恋わが歌』 昭和44年 カラー
   出演:中村勘三郎、岩下志麻、竹脇無我、八千草薫、中村賀津雄(嘉葎雄)、緒形拳
 9.『我が家は楽し』 〈英語字幕付き〉 昭和26年 白黒
   出演:山田五十鈴、高峰秀子、笠智衆、岸恵子、桜むつ子、佐田啓二
 10.『河口』 昭和36年 カラー
   出演:岡田茉莉子、滝沢修、杉浦直樹、田村高廣、東野英治郎、山村聰
 11.『結婚式・結婚式』 昭和38年 カラー
   出演:岡田茉莉子、岩下志麻、田中絹代、伊志井寛、榊ひろみ、川津祐介、佐田啓二
 12.『二十一歳の父』 昭和39年 カラー
   出演:山本圭、倍賞千恵子、勝呂誉、山形勲、鰐淵晴子、高橋幸治
 13.『女の橋』 昭和36年 カラー
   出演:瑳峨三智子、田村高廣、藤山寛美、山本豊三、柳永二郎、佐藤慶
 14.『夜の片鱗』 昭和39年 カラー
   出演:桑野みゆき、平幹二朗、園井啓介、木村功、千石規子、菅原文太
 15.『暖春』 昭和40年 カラー
   出演:森光子、岩下志麻、山形勲、太田博之、乙羽信子、倍賞千恵子、桑野みゆき
 16.『日も月も』 昭和44年 カラー
   出演:岩下志麻、久我美子、大空真弓、中山仁、石坂浩二、笠智衆
 17.『土砂降り』 〈英語字幕付き〉 昭和32年
   白黒 出演:佐田啓二、岡田茉莉子、桑野みゆき、沢村貞子、山村聰、日守新一
 18.『斑女』 昭和36年 カラー
   出演:岡田茉莉子、芳村真理、倍賞千恵子、佐々木功、沢村貞子、山村聰
 19.『ぜったい多数』 昭和40年 カラー
   出演:桑野みゆき、田村正和、伊藤孝雄、吉村実子、石立鉄男、早川保、倍賞千恵子
 20.『辻が花』 昭和47年 カラー
   出演:岩下志麻、佐野守、中村玉緒、山口崇、岡田英次、松坂慶子、笠智衆

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昭和42年(1967)公開、岩下志麻さん、丹波哲郎さん主演の松竹映画「智恵子抄」がラインナップに入っています。7月29日(土)~8月4日(金)までの第1タームです。

5月にはラピュタ阿佐ヶ谷さんでの上映もありましたが、あまり取り上げられる機会の多くない作品です。重いテーマで、岩下さんの鬼気迫る演技が一つの見どころとなっています。

それぞれ、ぜひ足をお運び下さい。

【折々のことば・光太郎】

雑誌“いづかし”拝受、大層頁数の多い立派な雑誌なので驚きました、これだけ編輯なさるのは一通りではなからうと思ひました、よき発展をいのります、 小生は九月まで海の旅に出かけます故しばらく失礼いたします、


昭和6年(1931)7月29日 中原綾子宛書簡より 光太郎49歳

『いづかし』は歌人・中原綾子主宰の雑誌。のちに昭和10年(1935)、心を病んだ智恵子を謳った初めての詩「人生遠視」も同誌に掲載されました。

海の旅」は『時事新報』に依頼されて紀行文「三陸廻り」を書くためのもの。8月9日に東京を発ち、石巻、女川、気仙沼、釜石、そして宮古までを1ヶ月かけてほぼ船で移動しました。おそらく東京-三陸間の行き帰りも、月に一度航行されていた直行便の船を使ったのではないかと思われます。この旅の間に、智恵子の心の病が誰の目にも明らかになるほど顕在化しました。

東京を発った8月9日を記念し、女川町ではこの日に「女川光太郎祭」が行われています。今年は令和元年(2019)以来、4年ぶりにコロナ禍前の規模で開催とのこと。詳細はまたのちほどご紹介します。