光太郎の書が出ます。

種徳美術館名品展後期展示

期 日 : 2019年9月4日(水)~10月27日(日)
時 間 : 9:00~17:00
会 場 : 種徳美術館 福島県伊達郡桑折町字陣屋12番地
料 金 : 一般・大学生 200円 高校生 100円 小中学生 50円 (団体 20名以上で2割引)
休館日 : 月曜日(月曜日が祝祭日の場合は火曜日)

7月からは、企画展【名品展】と題し、前期と後期に分けて、当館所蔵作品の中から選りすぐりの名品の数々を展示いたします。

前期後期共通して展示されるおすすめ作品には、
●江戸時代にはどんな仕事があったのか??
当時の職人たちのはたらく姿が12職種、12枚の画帖に生き生きと描かれた(伝)狩野吉信(かのうよしのぶ)「職人尽絵」画帖(一帖十二図)や、
●宮城県出身で仙台藩御用絵師だった東 東洋(あずまとうよう)が、君主・伊達斉宗の命を受け、2年の歳月をかけて描かれた色彩鮮やかな金屏風の大作「羅人物舞楽図」屏風(六曲一双)など。楽隊一人一人の表情も個性豊かに描かれており、もしかすると自分や家族、友人に似ている人がいるかも?!ぜひ間近でこの迫力を体感してください。
ほかにも……●蠣崎波響-熊坂適山-菅原白龍 ●田崎早雲-小室翠雲 ●田能村竹田-田能村直入などの師弟作品も並ぶので、それらを見比べるのもまた一興です。

後期のみどころ
亜欧堂田善(あおうどうでんぜん)【作品名】七里ヶ浜 (洋画額装 県指定文化財)
勝海舟・山岡鉄舟・高橋泥舟、幕末三舟の書作品
他にも、明治期に半田銀山の経営に携わった五代友厚の書画、明治から昭和期に活躍した高村光太郎や高浜虚子の作品がならぶ。

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光太郎書作品は、短歌「吾山に 流れてやまぬ 山水の やみがたくして 道はゆくなり」が揮毫されたものとのこと。色紙なのか幅なのか短冊なのか、不明です。

短歌自体は昭和24年(1949)頃の作。花巻郊外太田村での山居生活に題を採っています。複数の揮毫が存在することが確認されているので、そのうちの一点なのでしょう。また、歌句の文言も、「道はゆくなり」が「この道はゆく」、「あしき詩を書く」などとなっている異稿も存在します。

会期中に智恵子の故郷・二本松に行く機会がありますので、こちらにも足を伸ばすつもりでおります。観て参りましたらレポートいたします。

【折々のことば・光太郎】

此を読んで詩的でないと言つてくれた人もあつたが、其の非難はむしろ私の喜とするところである。所謂詩的な詩や文章ほど私の嫌忌するものはないからである。ロダンの書いたものも、内に詩は溢れてゐるが詩的な外装は持つてゐないと思ふ。

雑纂「『続ロダンの言葉』序」より 大正9年(1920) 光太郎38歳

確かに空疎な美辞麗句の羅列は光太郎の忌避するところでした。翻訳に於いてもそれは同様で、一見、ぶっきらぼうな訳です。しかし、生硬というわけでもなく、原著者の意をよく汲んだ上で、口語体の持つ自然な感じを生かした訳となっています。