昨日、俳優・内藤武敏さんの訃報にからめて昭和42年(1967)の松竹映画「智恵子抄」に触れました。
昨年、群馬県立土屋文明記念館の企画展「智恵子抄という詩集」の関連行事での上映を観たことも書きましたが、この松竹の「智恵子抄」、もちろん、光太郎・智恵子を描いた作品だから観たかったのですが、もう一つ、どうしても観たかった理由があります。それは、ロケ地の問題です。
下の画像は、この映画のパンフレットからスキャンしました(パンフレットはかなり前に入手しました)。この写真を見て、「これ、佐原じゃん」と思ったのです。
「佐原」は当方の住む街です(平成の大合併で「香取市」となってしまいましたが)。以前のブログにも書きましたが、旧市街では江戸期から戦前の商家建築が多数残り、平成8年、関東で初めて重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。
そのおかげで最近は観光客も多く、さらに、テレビや映画などの撮影がよく行われています。平成9年(1997)の役所広司さん主演、今村昌平監督の映画「うなぎ」で、一気にメジャーになりました。旅番組的なもので紹介されることもよくありますし、古い町並みを使って、映画やドラマ、CMのロケ地になることが多いのです。つい4,5日前も、おせんべいのCM撮影が行われていました。その他にも、当方、犬の散歩中にロケの現場に行き会わせたことが数回あります。果てはAKB48のプロモーションビデオまで佐原で撮影されています。
特によくロケが行われるのが、旧市街中心を流れる小野川べり。古い商家や、江戸時代に作られた石積みの船着き場などがたくさん残り、いい感じです。下の画像をご覧下さい。
昨日、撮影したものです。どうでしょう、上の「智恵子抄」の画像と似ていると思いませんか?
しかし、「智恵子抄」パンフレットのキャプションでは、「遂に探し当てた千葉県佐倉市」となっています。この部分、「佐倉市」ではなく「佐原市」の誤りなのではないかと思います。
「佐原」と「佐倉」、字面も発音も似ていますし、地理的にも比較的近いので、よく間違われます。どちらも古い街であるというのも共通しており、よけいに間違われやすい原因になっています。佐倉にもところどころ江戸時代の古い町並みが残っています。いろいろな方のブログなどで「『佐原』と『佐倉』って紛らわしい」という記述も見かけます。
そこで、「佐原」と「佐倉」、お互いライバル意識を持っている部分があります。そう言うと、佐倉の人は、
「佐倉は由緒正しい城下町だ。佐原はしょせん商都じゃないか。一緒にするな!」
と言います。それに対し佐原の人は、
「てやんでぇ、こっちは伊能忠敬(ちゅうけい)先生のお膝元だ。そっちにゃ歴史上の有名人がいねえだろうが。」
と反論します(ちなみに佐原の住民は伊能忠敬を「ただたか」と呼ばず、「ちゅうけい」と呼びます)。
すると、佐倉の住民は
「何言ってんだ、こっちにはミスタージャイアンツ・長嶋茂雄がいるぞ!」
と反駁してきます。すると、
「ミスターは歴史上の人物じゃねえ!」
……くだらない論争ですが、地元では真剣です(笑)。
だから、というわけではありませんが、上の画像は、川べりの石積みの感じ、柳並木の風情、どう見ても佐原です。それを確かめたくて松竹「智恵子抄」、ずっと観たいと思っていました。
昨年、実際に観てみても、結局よくわかりませんでした。DVD等であれば当該シーンで一時停止して詳しく観られるのですが、ノンストップで見ただけでは確証を見つけられませんでした。しかし、自分ではこれは「佐原」だ、と確信しています。
ただ、佐原がロケ地として有名になったのは昭和60年(1985)のNHK銀河テレビ小説「たけしくん、ハイ」(ビートたけし氏の少年時代を描いた作品)の頃から。その前はロケ地として使われていたという話はほとんど聞きません。しかし、古いところでは昭和9年にすでに松竹映画「利根の朝霧」が撮影されています。同じ松竹ですし、でも、30年以上経っているし……
「佐原」か「佐倉」か、確実な情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご一報いただければ幸いです。
と、たった今、テレビ東京さんのCMで、明日の「出没!アド街ック天国」のCMが流れました。光太郎の実家である千駄木の光雲、豊周旧宅が写ったような気がしました。「駒込」を扱うそうです。
出没!アド街ック天国~駒込~
テレビ東京 2012年9月1日(土) 21時00分~21時54分 の放送内容
街を徹底的に紹介する地域密着系都市型エンタテイメント!お馴染みの街から「えっ、こんな街あったの?」という意外な街まで、あらゆる街に出没する情報バラエティ番組です。
番組内容
今回のアド街は、「駒込」に出没します。 名勝「六義園」を擁し、緑に彩られた山の手の街。 閑静な住宅街と昔ながらの人情商店街、2つの顔をあわせ持っています。 知る人ぞ知る名店や、職人の技が光る銘品に出会える老舗も…。 この秋は、情緒ある風景、山の手らしさに触れる散策に出かけましょう!
出演者
司会者 愛川欽也、大江麻理子(テレビ東京アナウンサー)
レギュラー出演者 峰竜太、薬丸裕英、山田五郎
ゲスト モト冬樹、山口もえ、勝俣州和
ぜひご覧下さい。