山形大学さんで毎年行っている、高校生朗読コンクール。毎年違った東北ゆかりの文学作品を課題とし、かつては本選が大ホールを使って公開されていました。「東日本大震災により地域が分断された東北に、文化によるネットワークを構築することを目的」というコンセプトを付与していた時期もありました。

確認できている限り、過去2回、「智恵子抄」を課題として下さいました。平成27年(2015)の第8回、それから令和2年(2020)の第13回です。第13回はコロナ禍の始まった年で、この年から予選・本選とも録音審査ということになり、ホールでの公開はなくなりました。

今年も録音審査で行われるそうで、4月にはプレスリリースが出、昨日、YouTube上に解説動画がアップされました。今年も「智恵子抄」(散文「智恵子の半生」)を課題として下さるとのこと。

第16回⼭形⼤学⾼校⽣朗読コンクール出場者募集

・ 第16回山形大学高校生朗読コンクールの出場者を募集します。
・ 令和5年度は予選・本選とも録音審査により開催します。
・ 基盤共通教育「イベントマネジメントとプレゼンでみがく社会人基礎力」を受講する本学学生が、本コンクールの企画・運営を授業の一環として行います。

概要
 山形大学は、東北6県の高校生の文化交流を支援することを目的に、第16回山形大学高校生朗読コンクールを開催します。
 令和5年度は、予選・本選とも録音審査により開催し、予選課題は、福島県出身の妻・智恵子との思い出を綴った高村光太郎の作品「智恵子抄」を取り上げます。
 本コンクールの企画・運営は、基盤共通教育「イベントマネジメントとプレゼンでみがく社会人基礎力」を受講する本学学生が授業の一環として行い、予選・本選の録音審査は、山形大学教員で構成した審査委員会が行います。
 昨年度に開催した第15回山形大学高校生朗読コンクール本選(録音審査)の出場者の朗読を、YouTube山形大学公式チャンネルにより一般公開中です(令和5年6月30日(金)まで公開予定)。
 本コンクールは、例年たくさんの高校生に応募していただいており、昨年度は13校から48名の応募がありました。今年度も東北地方の多くの高校生の応募をお待ちしております。

 詳しくは、こちら(リリースペーパー)をご覧ください。

予選について
・課題文「智恵子抄」(高村光太郎)の朗読データを提出する録音審査により開催します。
・応募方法等の詳細は別紙チラシをご参照ください。

本選について
・予選審査を通過した高校生10名程度が出場できます。
・本選の上位3名を山形大学学長賞として表彰し、記念品を進呈します。
・本選の朗読は、YouTube山形大学公式チャンネルにより公開します(令和6年6月30日(日)まで公開予定)。
・本選出場者の氏名、所属高校、学年及び録音データを一般公開しますので、その旨ご了承の上でご応募ください。

開催日程
6月23日(金)迄  予選課題録音データの提出締切(当日消印有効)
7月28日(金)頃  予選審査の結果と合わせて予選通過者へ本選を通知
8月25日(金)迄  本選課題録音データの提出締切
9月29日(金)頃  本選結果の通知

参考
第15回高校生朗読コンクール本選(令和5年6月30日(金)まで公開)
YouTube山形大学公式チャンネル < https://youtu.be/koj77gA-kws >
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解説動画がこちら。


なかなかよくまとまっています。

応募資格が「高等学校、中等教育学校に在学中の生徒又は高等専門学校(1年生から3年生まで)に在学中の学生で、下記①、②のいずれかの条件を満たす者。①東北6県に在住 ②東北6県の学校に在学」だそうです。奮ってご応募下さい。

それにしても、本選は以前のように大ホールで公開審査という方が盛り上がると思います。今年度分の計画段階ではまだコロナ禍がどうなるか……という判断があったのかもしれませんし、録音審査の方がやりやすい、というのもあるのかもしれませんが……。また、実際に朗読する方としても、大きな会場で大勢のギャラリーを前に、というのはちょっと……というのがあるかもと思いますが、それでもやはり……という気がします。

【折々のことば・光太郎】

智恵子のお父さんの三回忌の法要で急に出懸けました。 君の処の花を思ひながら野山の美しい緑を見てゐます。帰途此の温泉に一寸立寄りました。


大正9年(1920)5月10日 水野葉舟宛書簡より 光太郎38歳

此の温泉」は現在の福島市郊外の穴原温泉。下の画像は当方手持ちの古絵葉書です。
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同日、田村松魚に宛てた絵葉書はこの吉川屋のもので、おそらくここに泊まったのでしょう。

その前に訪れた智恵子の故郷・安達郡油井村(現・二本松市)の印象が、「智恵子抄」中の詩「樹下の二人」に謳われました。ただ、「樹下の二人」では「この冬のはじめの物寂しいパノラマの地理」とあり、季節が合いません。この矛盾に関し、当会顧問であらせられた故・北川太一先生曰く「ここには幾度かの訪問の印象が重複しているのであろう」とのことです。