昨日開幕の企画展示です。光太郎の書簡が複数展示されています。

第67回企画展「いわての芸術家の手紙」

期 日 : 2023年2月21日(火)~6月12日(月)
会 場 : 盛岡てがみ館 岩手県盛岡市中ノ橋通1-1-10 プラザおでって6階
時 間 : 午前9時から午後6時 まで
休 館 : 毎月第2火曜日(祝日の場合は翌日)
料 金 : 一般200円(160円) 高校生100円(80円) 中学生以下無料
      ( )内20人以上団体料金

 芸術家の手紙は、彼らが創り出した作品とは違った魅力を持っています。 制作の苦労や喜びがつづられた手紙は、 作品への理解を深める手がかりになります。 また、 芸術家の人となりを知ることのできるユーモラスな内容の手紙や、送り手への気遣いを感じる手紙もあります。

 本展では彫刻家の高村光太郎が県立美術工芸学校校長の森口多里に送った手紙をはじめ、深沢紅子、舟越保武といった岩手ゆかりの芸術家の手紙を通して、その業績や作品を紹介します。
009
010
ギャラリートーク
開催日  令和5年3月21日(火曜日) 、令和5年5月23日(火曜日)
開催時間 午後2時から午後2時45分まで
対象   どなたでも
開催場所 盛岡てがみ館 展示室
内容   当館館長と学芸員が展示解説をします。
申し込み 必要
 令和5年3月21日(火曜日)は令和5年3月11日(土曜日)、令和5年5月23日(火曜日)は令和5年5月10日(水曜日)のいずれも午前10時から、電話(019-604-3302)で先着順に受け付けます。
費用   必要 上記企画展と同じ
定員   8人(新型コロナウイルス感染症の状況に応じて変更する場合あり)

同館、『高村光太郎全集』にもれていた光太郎書簡(同館の御厚意により当方編集の「光太郎遺珠」には所収)、多数所蔵されており、これまでもたびたび展示して下さっています。

盛岡てがみ館、第43回企画展「高村光太郎と岩手の人」。
東北レポートその4(盛岡編①)。
盛岡てがみ館 第48回企画展 「宮沢賢治を愛した人々」。

また、光太郎詩稿も。

盛岡てがみ館 第51回企画展「文豪たちの原稿展」/花巻高村光太郎記念館図録『光太郎 1883―1956』。

今回は石川啄木顕彰に功績のあった吉田孤羊、岩手県立美術工芸学校長だった森口多里に宛てた書簡など。いずれもペン書きの気負わない書体ですが、それだけに光太郎の普段着の人柄がにじみ出るようなものです。

ぜひ足をお運びください。

【折々のことば・光太郎】

外国に参りてより既に三年。しかも業得る所の多くは埃に似たる末技のみ。自らかへりみて深く之を恥ぢ申候。唯以前よりは稍自らを知り得る様になりたるかと存じ、以て心を慰め居る事に御座候。


明治42年(1909)1月25日 平櫛田中宛書簡より 光太郎27歳

欧米留学も終盤、この年6月には帰国の途に就きます。「業得る所の多くは埃に似たる末技のみ」、謙遜ではなく、実際それに近い感覚だったと思われます。上っ面だけ学んで全てを会得した気になる軽薄な輩と異なり、自分に厳しい光太郎の一面も、大きな魅力の一つです。