成人年齢が18歳へと引き下げられたのに伴い、「成人式」という呼称が使われなくなりつつあるようですね。

地方紙『岩手日日』さんから。

感謝と決意胸に 花巻市 20歳のつどい 新たな門出晴れやか

  花巻市の2022年度20歳(はたち)のつどい(市主催)は7日、同市若葉町の市文化会館で開かれた。成人年齢の引き下げを受け、成人式から名称を変更して行われ、スーツや色鮮やかな振り袖に身を包んだ今年度20歳になる市民が、記念撮影をするなどして新たな門出を祝った。
 対象者950人のうち686人(男性360人、女性326人)が出席。式典の部では国歌斉唱と対象者代表4人による市民憲章の朗読に続き、上田東一市長が式辞、藤原伸市議会議長が祝辞を述べた。
 上田市長は式辞で高村光太郎の代表作「道程」の一節「僕の前に道はない僕の後ろに道は出来る」を贈り、「一歩一歩進むことで道ができる。新たな未来を切り開く出発点に立つ今、目指す自分を思い描き、信念と決意を持って苦難に負けず、自分の道を進んでほしい」と前途を期待した。
 対象者を代表して2人が決意を述べ、記念事業実行委員会の金野渉真委員長(矢沢中出身)は「今の目標は花巻のために自分自身がプレーヤーとして活躍し、未来を創造すること。目標をかなえるために来年度から岩手の大学に編入し、より実践に近い形で花巻と向き合いたい。そして支えてくれた家族や友人、恩師、花巻に恩返しをしていきたい」と誓った。藤原千咲副委員長(西南中出身)は「実行委員会の活動を通して楽しませる喜び、達成感を知ることができた。この経験から誰かを楽しませたいという人生の目標が見えてきた気がする。一歩踏み出し挑戦すればきっかけをつかめる」と力を込めた。
 式終了後は「咲かせよう~最幸(さいこう)の未来の花巻を~」をテーマに記念行事が行われたほか、出身中学校ごとに記念写真を撮影した。
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おそらく全国でおこなわれた同様の催しに於いて、首長さんなり来賓の方なりのご挨拶等で、「道程」などの光太郎詩の引用が他にもあったのではないかと思われますが、やはり光太郎第二の故郷ともいうべき花巻で、というところに大きな意味があると思います。

上田市長、平成31年(2019)の成人式でもやはり「道程」を引用されてご挨拶なさいましたが、お父さまが光太郎と交流がおありだった方のそれは、ずしりと来るような気がしますね。また、参加された20歳の方々の曾祖父母、祖父母のみなさんの中には、やはり光太郎と交流があったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

何にせよ、これからの花巻を背負って立つ皆さんの門出ですし、全国に目を向ければ、この国の将来を託す皆さんの門出でもあります。

幸多からんことを!

【折々のことば・光太郎】

后「地上」の人くる、丸山義二氏筆記、談話一時間、


昭和31年(1956)1月16日の日記より 光太郎74歳

地上」は雑誌名、「丸山義二」は兵庫県生まれの農民作家です。3月発行の『地上』第10巻第3号に「春を告げるバツケ」の題で、この日の二人の対談が掲載されました。「バツケ」は「バッケ」、岩手の方言でフキノトウのことです。その題の通り、昭和20年(1945)から同27年(1952)までの、花巻郊外旧太田村での独居自炊の生活について語られています。丸山も農民作家だけあって、話の引き出し方が的確でした。

活字になった数ある対談のうち、これが光太郎生涯最後のものとなりました。