昨日、山開きの情報と合わせて紹介すべきでしたが、智恵子の故郷・福島二本松の「ほんとの空」の下に聳える安達太良山に関して、追補です。
まず、二本松市さんの『広報にほんまつ』今月号。三保恵一市長のメッセージ。光太郎智恵子に触れて下さっています。
市民が主役。~市長からの手紙~ 第65回安達太良山山開き
待望のシーズン到来!「安達太良山山開き」が行われます。安達太良山は「日本百名山」「花の百名山」の一つであり、その山容から「乳首山」と慕われ、これまで神聖で清浄な信仰の山として、また、万葉集や高村光太郎の詩集「智恵子抄」で「ほんとの空」がある恋の山として、多くの人々に愛されてきました。
山頂から見渡す三百六十度の大パノラマ。磐梯山、吾妻連峰、遠くは蔵王・那須・飯豊連峰を望むことができます。
初夏には、新緑の中に清楚で純白のこぶしの花や、つつじ、シャクナゲなど、花が咲き薫り、五葉松や貴重な高山植物を眺め、野鳥がさえずり、雪どけ水を集めて流れる清冽な流れ、数々の滝を見ながら、悠久より続く美しい空間。
喧騒とは無縁の神秘的な静かな空間の中で、しばし時の流れが止まってしまう。
雪渓の残雪を一歩一歩踏みしめ山頂に立った時の感激。安達太良山の自然のぬくもり優しさに包まれ、新たな明日への活力につながり、素晴らしい至福のとき。
変化に富んだ山でもあり、登山やトレッキングのメッカとして、女性、中高年者をはじめ、誰もが気軽に登れる山であります。
山々の頂に憩いあり!
安達太良山のきれいな稜線、端正なたたずまい。時に荒々しく、時に幻想的。安達太良山の多彩な美しさに、古来、私たちは、感動し、元気づけられてきました。
安達太良山は、私たちの誇りであり、私たちが守り、次世代に引き継いでいかなければならないと思っております。
美しい安達太良山を愛する皆さんの交流がさらに深まることを希望しており、多くの人々が頂上を目指し、雄大な自然を満喫されることを願っております。
地元愛がひしひし伝わってくる文章ですね。
山開きが近いせいでしょうか、NHK BSプレミアムさんで、過去の放映の再放送も。
にっぽん百名山・選「安達太良山」
NHK BSプレミアム 2019年5月13日(月) 19:30~20:003月、雪の残る福島・安達太良山(1700m)で、ウサギやリスなど春を待つ生き物の息吹に触れ、山のいで湯を堪能。さらに「霧氷」など雪山ならではの風景に出会う。
雪山の初級コースとして人気の福島・安達太良山(1700m)。早春3月、出発はあだたら高原スキー場の登山口から。雪の残る森を進み、鳥の巣作り、ウサギの足跡、リスの食べかすなどを次々と発見。山小屋で一泊し、源泉かけ流しの温泉と満天の星空を楽しむ。山頂までの斜面では雪山ならではの風景である霧氷を堪能。山頂からは磐梯山、吾妻連峰など東北の名峰を望む。また雪山で温泉の通り道を守る人々の営みを紹介する。
出演 五十嵐潤 語り 鈴木麻里子 高塚正也
初回放映は昨年4月。ロケは3月で、まだ山頂付近は雪に覆われていた時期でした。番組冒頭近くで、光太郎智恵子について触れて下さいました。
基本、登山系の番組ですので、山岳ガイド・五十嵐潤さんのナビゲートによる1泊2日の行程が紹介されます。
ぜひご覧下さい。
【折々のことば・光太郎】
だが、パリでそういう詩を読みはじめたら、実に身近な感じにうたれた。なにか苦しくなるようだ。決して日本の変な調子をつける詩のような変てこなものではない。もっと直接なもので、これならいいと思い、こういうものなら書くべきだと思つた。
談話筆記「遍歴の日」より 昭和26年(1951) 光太郎69歳
「そういう詩」とは、明治末のパリで、フランス語の習得のために与えられたボードレールやヴェルレーヌなどの詩です。与えた先生はマリー・ノードリンガーという、プルースト研究家の女性でした。
「日本の変な調子をつける詩」は、文語定型のいわゆる「象徴詩」です。そして明治42年(1909)に帰国すると、三木露風や北原白秋らが「変てこなもの」ではない詩を書き始めており、それらにも影響されたと語っています。