最近入手した雑誌から。 

月刊絵手紙 2019年2月号

2019/02/01 日本絵手紙協会 定価762円+税

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一昨年から花巻高村光太郎記念館さんのご協力で、「生(いのち)を削って生(いのち)を肥やす 高村光太郎のことば」という連載が為されている『月刊絵手紙』さん。



今号は、詩「雪白く積めり」(昭和20年=1945)。背景はこの詩の作られた花巻郊外旧太田村の光太郎が暮らした山小屋(高村山荘)付近の雪景色です。表紙にも同じ写真の一部分が使われています。

   雪白く積めり000
 
 雪白く積めり。
 雪林間の路をうづめて平らかなり。
 ふめば膝を没して更にふかく
 その雪うすら日をあびて燐光を発す。
 燐光あをくひかりて不知火に似たり。
 路を横ぎりて兎の足あと点々とつづき
 松林の奥ほのかにけぶる。
 十歩にして息をやすめ
 二十歩にして雪中に坐す。
 風なきに雪蕭々と鳴つて梢を渡り
 万境人をして詩を吐かしむ。
 早池峯(はやちね)はすでに雲際に結晶すれども
 わが詩の稜角いまだ成らざるを奈何にせん。
 わづかに杉の枯葉をひろひて
 今夕の炉辺に一椀の雑炊を煖めんとす。
 敗れたるもの卻て心平らかにして
 燐光の如きもの霊魂にきらめきて美しきなり。
 美しくしてつひにとらへ難きなり。
 
メートル単位で雪が積もるこの風景を見ずして、光太郎の山小屋暮らしを語るなかれ、ですね。


続いてもう1冊。

月刊石垣 2019年1月号

2019/01/10 日本商工会議所 定価477円+税

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『月刊石垣』といっても、城郭マニアの皆さん向けの雑誌ではなく、純然たるビジネス誌です(笑)。

「全国の魅力的なまちを取り上げる「まちの解体新書」」というコーナーが、「◆福島県二本松市◆ほんとの空のある 信義を重んじたまち」ということで、智恵子の故郷・二本松を紹介して下さっています。全5ページで、ちょっとした分量です。

ただし、「ほんとの空」の語がタイトルにあるのですが、本文には光太郎智恵子に関する記述はありませんでした。最近は「ほんとの空」の語が一人歩きしている感がありますね。


それぞれ、上記リンクから注文可能です。ぜひお買い求め下さい。


【折々のことば・光太郎】

自己の生活する社会の根柢に大きな眼を見開いた認識を持たない作家の作は、結局するところ月並芸術に終る。巧妙は巧妙なりに、平凡は平凡なりに、所謂芸術派的芸術の末社の陥るところは皆これである。

散文「ネオ月並式」より 昭和6年(1931) 光太郎49歳

自己の制作に対しても常に厳しい眼を持っていた、光太郎ならではの言ですね。