このブログで毎年恒例となっております、この1年を振り返る企画です。今回は1~3月分を。

ただし、昨年12月からの継続で今年1月にかかったもののうち、昨年の回顧で扱わなかったものからご紹介します。また、新聞コラム等で少しだけ光太郎智恵子に触れてくださった、的なものは申し訳ありませんが、割愛させていただきます。

2017年12月9日(土)~2018年1月14日(日)
静岡県島田市博物館さんで、第71回企画展「宮村弦 -モールス・コード- 新しい言葉の{カタチ}」が開催されました。モールス・コード(モールス符号)を視覚化した作品ということで、「智恵子抄」(智恵子歿後に書かれた「亡き人に」(昭和14年=1939)の最終行「あなたの愛は一切を無視して私をつつむ」)も展示されました。

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2017年12月23日(土)~1月28日(日)
調布市武者小路実篤記念館さんで、企画展「画家の手紙 制作と友への思い」が開催され、光太郎から武者小路宛ての葉書(昭和23年=1948)が展示されました。

1月1日(月)
若松英輔著「NHKカルチャーラジオ 文学の世界 詩と出会う 詩と生きる」のテキストが発行されました。「第11回 今を生きる詩 ── 高村光太郎と柳宗悦のまなざし」を含みます。ラジオ放送は3月15日(木)、3月22日(木)でした。

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同日、カワイ出版から『吉田寛子作品集 或る夜のこころ』が刊行されました。光太郎詩「或る夜のこころ」(大正元年=1912)に曲を付けた女性三部合唱曲を含みます。

1月2日(火) ~ 2月5日(月)
島根県立美術館さんで、「コレクション企画展 みんなの美術室」が開催され、光太郎ブロンズの代表作「手」(大正7年=1918)が展示されました。1月28日(日)には、関連企画として同館の長谷川三郎館長が、「手」に就いて語られる、「館長の特別授業」がありました。

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1月2日(火)~3月11日(日)
愛知県小牧市のメナード美術館さんで、「開館30周年記念コレクション名作展 30のテーマ Ⅱ期」が開催され、光太郎の木彫「栄螺」(昭和5年=1930)と「鯰」(同6年=1931)が出品されました。

1月7日(日)NHKさんの大河ドラマ「西郷どん」の放映が始まり、第一話冒頭のシーンで、光太郎の父・光雲が主任として制作に当たった上野の西郷隆盛像除幕(明治31年=1898)が描かれました。


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1月6日(土)~2月12日(月・振休)
広島県呉市美術館さんで、「開館35周年記念 呉市立美術館のあゆみ展」が開催され、光太郎ブロンズの代表作「手」(大正7年=1918)が展示されました。

1月10日(水)
NHKラジオ長野放送局のローカル番組「ゆる〜り信州」で、関根太朗アナウンサーによる光太郎詩「レモン哀歌」(昭和14年=1939)、「狂奔する牛」(大正14年=1925)、「人類の泉」(大正2年=1913) の朗読がありました。

1月11日(木)
笠間書院さんから『永井和子随想集 日なたと日かげ』が刊行されました。「たじろぐ――高村智恵子のこと 智恵子の切り絵――レモン会」というエッセイが掲載されています。

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同日、筑摩書房さんからちくま文庫の一冊として『文豪文士が愛した映画たち ─昭和の作家映画論コレクション』が刊行されました。光太郎の散文「美の祭典」(昭和15年=1940)が収録されています。

1月12日(金)
文藝春秋さんから伊集院静『文字に美はありや。』が刊行されました。月刊誌『文藝春秋』さんの平成26年(2014)1月号から昨年の4月号まで連載されていた、「文字に美はありや」の単行本化で、「猛女と詩人の恋」という章で光太郎智恵子に触れています。

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1月13日(土)
埼玉県東松山市立図書館に、「田口弘文庫 高村光太郎資料コーナー」がオープンしました。昨年亡くなった同市元教育長で、光太郎と交流のあった田口弘氏からの寄贈品を展示するものです。同日、当方による記念講演も行われました。

同日、『朝日新聞』さんの土曜版の連載、「みちのものがたり」が「高村光太郎「道程」 岩手 教科書で覚えた2大詩人」ということで、光太郎をメインに取り上げて下さいました。

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さらに同日、昨年公開された映画『八重子のハミング』のDVDが発行されました。原作は「現代の智恵子抄」というコピーが用いられ、劇中、升毅さん演じる主人公が『智恵子抄』を読むシーンがありました。

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1月13日(火) ~ 3月25日(日)
東京オペラシティ アートギャラリーさんで「谷川俊太郎展 TANIKAWA Shuntaro」が開催され、光太郎から昭和29年(1954)5月20日に送られた、谷川氏の詩集『62のソネット』の受贈礼状が出品されました。

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1月13日(火) ~ 4月1日(日
文京区立森鷗外記念館さんで、コレクション展「鴎外・ミーツ・アーティスト―観潮楼を訪れた美術家たち」が開催され、光太郎から鷗外に宛てた葉書(明治43年=1910)、明治42年(1909)の雑誌『スバル』(覆刻。裏表紙に光太郎が鷗外を描いたカリカチュア(戯画)が掲載)、光太郎著書『造型美論』(昭和17年=1942)、『某月某日』(同18年=1953)。それから与謝野寛が光太郎について触れた鷗外宛の書簡(明治42年=1909)等が展示されました。

1月15日(月)
文治堂書店さんから『トンボ』第5号が発行されました。元青森テレビアナウンサーの川口浩一氏が、「十和田湖「乙女の像」秘話 ~太宰治が結ぶ隠れた絆~」という文章を寄せられています。また、当方の連載「連翹忌通信」の第二回が掲載されました。

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1月15日(月)~1月21日(日)
渋谷区のshibuya gallery「Arc」さんにおいて、MAIA STARSHIP朗読劇「いやなんです あなたのいってしまふのが −智恵子抄より」が上演されました。

1月20日(土) ~ 4月15日(日)
千葉市の千葉県立美術館さんで、「北詰コレクション メタルアートの世界Ⅱ-メタルアートの匠と技-」が開催され、光太郎実弟にして鋳金分野の人間国宝・髙村豊周の。「青銅環文壺」(昭和35年=1960)、「青銅花盛」(制作年不詳)、「朱銅花入」(昭和41年=1966)が出品されました。

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1月25日(木) ~ 1月29日(月)/2月1日(木)~
2月5日(月)
墨田区の両国エアースタジオさんで、劇団空感演人による演劇「チエコ」が上演されました。平成22年(2010)、同25年(2013)に上演されたものの再演でした。

1月28日(日)
牧歌舎さんから西浦基氏著『高村光太郎小考集』が刊行されました。

1月29日(月)
横浜市永田地区センター さんにおいて、市民講座「文豪と和菓子」が開催されました。「高村光太郎・室生犀星・夏目漱石それぞれのゆかりの和菓子をいただきながら、作品を楽しんでいただきます」というコンセプトでした。講師は一般財団法人出版文化産業振興財団の読書アドバイザー、城所律子氏でした。

1月31日(水) ~ 2月11日(日)
岡山市のCAFE×ATELIER Zで、書道展「中村文美作品展〜琥珀の文箱に文字を集めて」が開催されました。光太郎の「冬が来た」(大正2年=1913)を書いた作品が展示されています。

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2月1日(木)
世界文化社さんから『家庭画報』2018年3月号が発行されました。、「残したいことば、未来につなぐことば――心を伝える絵手紙」というコーナーがあり、花巻郊外旧太田村から送られた光太郎の書簡(ハガキ)が紹介されています。昭和22年(1947)、4月6日付で、宛先は東京在住の姪・高村珊子さんです。

2月2日(金)~2月25日(日)
青森県十和田湖畔休屋地区で、「十和田湖冬物語2018」が開催されました。光太郎最後の大作「乙女の像」のライトアップが行われた他、ステージイベントでのプロジェクションマッピングにも「乙女の像」が登場しました。

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2月7日(水)~2月12日(月・祝)
長野市の信濃善光寺さんで、「第十五回長野灯明まつり 未来へ繋ぐ平和の灯り」が開催され、光太郎の父・高村光雲と、その高弟・米原雲海による仁王像などが安置されている仁王門もライトアップされました。

2月10日(土) ~ 5月6日(日)
北区の田端文士村記念館さんで「田端に集まる理由(ワケ)がある~明治の田端は芸術家村だった!?」が開催されました。光太郎も寄稿し、芸術運動「パンの会」の一つの源流となった雑誌『方寸』に関する展示が為されました。3月25日(日)には、関連イベントとして古田亮 氏(東京藝術大学大学美術館准教授)による講演会「明治の美術 ~東京美術学校を中心に~」が開催されました。

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2月15日(木)
秋田県小坂町に、同町出身の出版社・龍星閣主人の澤田伊四郎にあてた光太郎の書簡、署名本などが寄贈された件が報じられました。

2月17日(土)
三鷹市芸術文化センター星のホールさんで行われた「CINEMA SPECIAL三回忌・原節子」の一環として、昭和32年(1957)の東宝映画「智恵子抄」の上映がありました。

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同日、港区の東洋英和女学院大学大学院さんで、「2017年度連続講座・シンポジウム「生と死の物語 高村光太郎 ―智恵子抄 心の病に寄り沿うということ―」が開催されました。講師は福田周氏(東洋英和女学院大学人間科学部教授)でした。

2月18日(日)
朝日新聞出版さんから『週刊 日本百名山 改訂新版 42号 磐梯山 安達太良山』が刊行されました。「深田久弥『日本百名山』から」の項で光太郎智恵子に触れられています。

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2月21日(水)
国書刊行会さんから、田中修二氏著『近代日本彫刻史』が刊行されました。光太郎、光雲に触れられています。


2月24日(土)
仙台市の東北大学さんの片平キャンパスで、シンポジウム「ほんとの空が戻る日まで--震災の記録と教訓を残し、未来に活かす」が開催されました。福島大学うつくしまふくしま未来支援センターさんの主催で、福島県の被災地において残存する資料や記録の保全と活用に取り組むさまざまな活動を紹介し、将来の大規模災害にいかに備え、活かしていくべきかについて議論されました。
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同日、花巻市文化会館さんで、第42回花巻市民劇場公演 「多田等観物語 日が昇る 観音山に帰りたい」が上演されました。光太郎と交流のあったチベット仏教学者にして僧侶の多田等観を主人公とするもので、光太郎も登場しました。平成16年(2004)の再演でした。

2月25日(日)
千代田区の神田伯剌西爾(ぶらじる)さんで、市民講座「ポエトリーカフェ 《高村光太郎 篇》」が開催されました。

2月26日(月)
文藝春秋さんから春日太一氏著『美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道』が刊行されました。昭和42年(1967)公開の松竹映画「智恵子抄」(中村登監督作品)が取り上げられています。

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2月26日(月) ~28日(水)
千代田区の3331 Arts Chiyodaさんで、立本夏山氏による「ひとり芝居プロジェクト新作公演 立本夏山 智恵子抄」東京公演がありました。巡回で6月26 日 (火) に尼崎公演、6月28 日 (木)の松山公演、6月30 日 (土)/7月1日(日)で高知公演も行われました。

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3月2日(金) ・3日(土)
名古屋市のHITOMIホールさんで、「プリズムステージ 朗読と音楽が紡ぐ、純愛 智恵子抄 「田園交響楽」より」の公演がありました。智恵子が愛したベートーヴェンの交響楽第6番「田園」をモチーフに、ヴァイオリン・チェロ・ハープの演奏、朗読による構成で、朗読と光太郎役を俳優の橋爪淳氏、苅谷なつみさんのヴァイオリン、日野俊介さんがチェロ、田中敦子さんでハープでした。

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3月2日(金) ~4日(日)
足立区のアトリエTANTOOさんで、劇団TANTOOさんの第9回公演「売り言葉」が開催されました。野田秀樹氏脚本で、平成14年(2002)、大竹しのぶさん出演で初演された演劇です。

3月5日(月)
国文学者の平岡敏夫氏がご逝去なさいました。光太郎に関する論文等、複数おありでした。

3月7日(水)
NHK BSプレミアムで、「プレミアムカフェ 名作紀行 (1)寺山修司 (2)石川啄木 (3)高村光太郎」が放映されました。平成13年(2001)6月11日に初回放映があったものの再放送で、ナビゲーター役は銅版画家の山本容子さんでした。8月29日(水)、8月30日(木)にも放映がありました。

3月7日(水)~11(土)
『日本経済新聞』 さんで、宗教学者の山折哲雄氏が「私の履歴書」という連載で、花巻空襲の際の光太郎戦後の光太郎などに触れられました。

3月9日(金)~18日(日)
京都市の知恩院さんで「春のライトアップ2018」が開催されました。補陀落池に立つ高村光雲作の聖観音菩薩立像もライトアップされました。

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3月10日(土)
新宿区の日本出版クラブ会館さんで、「山根基世の朗読指導者養成講座 やまねこ朗読発表会」が開催され、光太郎詩「樹下の二人」(大正12年=1923)も扱われました。

同日、共に画家の深沢省三・紅子夫妻の長男で、戦時中、学徒出陣前に光太郎のアトリエを訪ね、詩「四人の学生」(昭和18年=1943)のモデルとなり、戦後は岩手雫石のご自宅に光太郎を泊めたりもした、深沢竜一氏が亡くなりました。

3月11日(日)~5月20日(日)
秋田県小坂町立総合博物館郷土館さんで、企画展「平成29年度新収蔵資料展」が開催されました。小坂町出身の澤田伊四郎に宛てた書簡、署名本等が展示されました。

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3月13日(火)
名探偵・浅見光彦シリーズを生んだ推理作家の内田康夫氏がご逝去されました。昭和61年に光太郎彫刻の贋作をメインのモチーフとして、『「首の女(ひと)」殺人事件』を執筆なさいました。同作はその後、ドラマ化、コミック化もされました。

3月15日(木)
長野県安曇野市の碌山美術館さんから、『碌山美術館館報第38号』が発行されました。昨年12月2日に同館で開催された、美術講座「ストーブを囲んで 「荻原守衛と高村光太郎の交友」を語る」の筆録が掲載されています。同館学芸員の武井敏氏と、当方の対談形式でした。

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3月16日(金)
墨田区のすみだトリフォニーホールさんでコンサート「第29回 21世紀日本歌曲の潮流」が開催されました。野村 朗氏作曲の歌曲「樹下の二人 詩集『智恵子抄』 より (詩/高村光太郎)」 が、バリトン・森山孝光氏、ピアノ・森山康子さんにより演奏されました。

3月17日(土)~5月13日(日)
横浜市の神奈川近代文学館さんで、特別展「生誕140年 与謝野晶子展 こよひ逢ふ人みなうつくしき」が開催され、光太郎が絵を描き、晶子が短歌を添えた屏風紙二点が展示されました。

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3月21日(水)
短歌研究社さんから『短歌研究』 4月号が発行されました。「再録 明星研究会講演 松平盟子│『みだれ髪』を超えて~晶子と口語自由詩~」ということで、昨秋、日比谷公園内の千代田区立日比谷図書文化館さんで開催された、やはり明星研究会さん主催の「第11回 明星研究会 <シンポジウム> 口語自由詩の衝撃と「明星」~晶子・杢太郎・白秋・朔太郎・光太郎」での、歌人・松平盟子氏による第一部講演の筆録が掲載されています。

3月27日(火)
光太郎がたびたび宿泊をした花巻温泉旧松雲閣別館が登録有形文化財に登録されました。

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明日は4~6月編をお送りします。

この項が終わるまで、【折々のことば・光太郎】はお休みいたします。