テレビ放映情報です。 

「西郷どん」総集編 第一章「薩摩」

NHK 総合      2018/12/30(日) 13:05~14:05
NHK BSプレミアム 2019/1/2(水)    8:00~9:00

薩摩(鹿児島)の貧しい下級武士の家の生まれた熱血漢、西郷吉之助(鈴木亮平)は、カリスマ藩主・島津斉彬(渡辺謙)と出会い、歴史の表舞台へと飛び出していく。少年から青年へと成長していく立身出世青春編。

出演
鈴木亮平 瑛太 黒木華 桜庭ななみ 北村有起哉 高橋光臣 渡部豪太 堀井新太
増田修一朗 塚地武雅 藤真利子 水野久美 大村崑 北川景子 沢村一樹 小柳ルミ子
青木崇高 鹿賀丈史 平田満 ほか

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先頃、放映が終了したNHKさんの大河ドラマ「西郷どん」。その総集編が、4章に分けて放映されます。

地上波NHK総合さんでは12月30日(日)の午後、合間にニュースや翌日の紅白歌合戦の番宣番組をはさんで、4時間で放映されます。BSプレミアムさんでは、1月2日(水)に、やはり一気に放映されます。

今年1月7日(日)の第一話、明治31年(1898)の、光太郎の父・光雲が主任となって制作された上野の西郷隆盛像除幕式のシーンから始まりました。

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西郷の妻・糸の「うちの旦那さぁはこげな人じゃあいもはん!」の爆弾発言。過日の最終話で、その真意が、西郷隆盛は高い所にいて人から見上げられるような人ではなく、人々と同じ地平を走り回る人だった、という意味であることが明かされました。

総集編でこの除幕式のシーンが入るかどうか、何とも言えませんが、とりあえずご紹介しておきます。


西郷像といえば、12月19日(水)、福岡に本社を置く『西日本新聞』さんの一面コラムで、光雲にからめて触れて下さいました。

「西郷どん」上野の像、なぜ軽装? 背景に政府の思惑

 NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」が終わった。維新の立役者の生涯を描いた物語が面白くないはずはない。舞台は九州、せりふは鹿児島弁とあって、例年になく日曜の夜が楽しみだった
▼ドラマの完結に合わせたように、東京・上野公園にある西郷隆盛像がきのう、除幕から120年を迎えた。恰幅(かっぷく)の良い着流し姿で愛犬を連れた像は、私たちが抱く西郷のイメージそのものだ
▼実は西郷の写真は一枚も残っていなかったという。作者の高村光雲は弟の西郷従道やいとこの大山巌をモデルにした西郷の肖像画を参考に像を制作した
▼完成した像を見た西郷の妻は「主人はこんな人じゃなかった」と落胆したとか。風貌が似てないというより、浴衣のような軽装で人前に出る無礼な人ではなかった、と言いたかったそうだ。鹿児島市・城山にも西郷像が立っている。こちらは直立不動で立派な軍服姿だ
▼故人を顕彰する像は正装が常識。上野の像が軽装になったのには理由がある。西南戦争で反乱士族の首領に担がれた西郷は、政府に弓引く「逆徒」とされた。大日本帝国憲法発布に伴う大赦で名誉回復すると、人気の高い西郷の像を造る計画が持ち上がった
▼だが、政府内には西郷への反発もまだ強く、威厳のある姿の像は許されなかったのだ。姑息(こそく)な思惑は裏目に出たか。「上野の西郷さん」は飾り気のない親しみやすさで、ますます庶民に愛されることになった。
=2018/12/19付 西日本新聞朝刊=


「西郷どん」の放映は終わりますが、この後も、上野の西郷隆盛像は人々に愛され続けていってほしいものです。


【折々のことば・光太郎】

それは本当に亙るものの価値が益進むに従つて、曾て歓迎せられたものも歓迎せられなくなり、曾て味解せられたものも味解せられなくなり、しかも却つて、人間の心の隅々に不滅の光を瀰漫させ、いつしらず人間の美の常識を高め、否定する者の心をも否定せられながら浸潤して止まず、遂に一のクラシツクとなつて人類の一角に常明の燈台となつて聳立するといふ、方程式のやうな方式に善くかなつてゐるからである。

散文「「流星の道」読後」より 大正13年(1924) 光太郎42歳

この年刊行された、大先輩・与謝野晶子の歌集『流星の道』の書評の一節です。この時期になると、章子の短歌は、もはや『みだれ髪』の頃の鮮烈さを以て世上に受け入れられなくなっていることに対し、上記のように述べています。しかし、「一のクラシツクとなつて人類の一角に常明の燈台となつて聳立する」、ある意味、王道の作品なのだというわけですね。

同じことは、光太郎詩(特に戦後の)、それから建立後しばらく経ってからの西郷隆盛像などにも当てはまるような気がします。