NHK Eテレさんの楊枝教育番組「にほんごであそぼ」。たびたび光太郎詩を取り上げて下さっていますが、「牛」(大正2年=1913)が使われました。12月4日(火)に最初の放映があり、来週18日(火)、再放送されます。
にほんごであそぼ
NHK Eテレ 2018/12/18(火) 6時35分~6時45分/17時00分~17時10分
楽しく遊びながら“日本語感覚”を身につけることができる番組。今回は、牛はのろのろと歩く…「牛」高村光太郎、投稿ややこしや、絵あわせ百人一首、歌/銀河鉄道の夜。
出演 美輪明宏、野村萬斎、野村裕基、小錦八十吉、おおたか静流 ほか

「牛」は長い詩ですので、抜粋で。子供たちが入れ替わり立ち替わり、ワンフレーズずつ朗読。








締めは、美輪明宏さん。

過日、やはり「牛」からのインスパイアを含む、和合亮一さんの新刊詩集『QQQ』をご紹介した際にも書きましたが、子供達にはポジティブな「牛」を味わってほしいものです。
そのためには、大人たちが「平凡な大地」を子供たちに残してやらなければなりません。「放射線まみれの危険な大地」でなく、「平凡な大地」を、です。
【折々のことば・光太郎】
潜心(アリエエル パンセエ)のない、ただの縮小や模型は、彼にとつて何の可笑味もない。
散文「量の有する滑稽性」より 明治44年(1911) 光太郎29歳
「アリエエル パンセエ」は仏語の「arrière pensée」。「潜心」、つまり「心を落ち着けて一心に考えること」の意です。
元々の大きさ(量)に意味があるものを、無理矢理に縮小しても、滑稽にしかならないという論旨です。例として上げている一つがパリの凱旋門。今やパリ名所となっていますが、元々はローマ皇帝セプチミウス・セヴェルスがローマに建てさせた高さ21メートルのものを模し、ナポレオンが高さ15メートル足らずでイミテーションを作らせたもの。同様に、富士山を立体模型にしても雄大な感は得られない、と、まぁ、そのとおりですね。
同じような例、さらには場違いな建築装飾や、猿真似的な西洋の模倣が東京じゅうに溢れかえっている、という警句です。現代にも通じますね。