情報を得るのが遅れまして、既に始まっています。
彫刻家の眼―コレクションにみる朝倉流哲学
期 日 : 2018年9月8日(土)~12月24日(月・休)場 所 : 台東区立朝倉彫塑館 東京都台東区谷中7-18-10
時 間 : 9:30~16:30
料 金 : 一般 500円(300円) 小中高校生 250円(150円) ( )内は、20人以上の団体
休館日 : 月・木曜日
彫刻家 朝倉文夫が蒐集した美術品や趣味の道具をご紹介します。
彫刻家の眼で蒐集した多彩なコレクションは、独自の美意識や審美眼を示しています。
アトリエと邸宅という空間で、朝倉作品とコレクションをご堪能ください。
「手」は、戦後に鋳造されたものが日本中に広まり、少なくとも20点くらいは各地の美術館、文学館等に収められているのでは、と思われます。
しかし、朝倉彫塑館さんで持っている「手」は、大正期の鋳造で、台座の木彫部分も光太郎が彫ったオリジナルです。確認できている限り、他のオリジナルは、竹橋の東京国立近代美術館さんと高村家にあるのみです。ちなみにそれぞれ台座の形が異なり、興味深いところです。
朝倉彫塑館さんでは、けっこう各地の展覧会にこれを貸し出して下さっており、それだけにかえって同館で見られる機会が少ないので、この機会をお見逃し無く、というところですね。
情報に気づくのが遅れたため、関連行事の「スペシャリスト★トーク」が先月末に終わってしまっています。講師は昨年、みすず書房さんから『職人の近代――道具鍛冶千代鶴是秀の変容』を刊行された土田刃物店店主・土田昇氏でした。明治から昭和にかけて活躍し、名人と謳われた大工道具鍛冶の千代鶴是秀(ちよづる・これひで)が、朝倉のために生け花用の道具一式その他を作ったための人選でしょう。
千代鶴は光太郎とも縁がありました。そのあたりで土田氏に質問しようと思っていたのですが、残念です。
ともあれ、来週、近くの太平洋美術会さんにお邪魔しようと思っておりますので、併せて立ち寄ろうと思っております。皆様も是非どうぞ。
【折々のことば・光太郎】
ビルマのやうな暑い土地に送つて此の有為な若い詩人を死なしめた乱暴な、無神経な組織体そのものをつくづくなさけないものに思ふ。その粗暴な組織体がともかくも日本から消え失せるやうな事になつた今日、高祖保さんのやうな詩人こそ今居てもらひたいといふ循環心理がぐるぐるおこる。
散文「高祖保さんをしのぶ」より 昭和21年(1946) 光太郎64歳
高祖保は、明治43年(1910)生まれの詩人。光太郎の詩集『をぢさんの詩』の編集を担うなど、光太郎と縁の深い詩人でした。しかし、終戦の年の1月、ミャンマーで戦病死。数え36歳の若さでした。
光太郎自身、「此の有為な若い詩人を死なしめた乱暴な、無神経な組織体そのもの」の一員、とはいかないまでも積極的に加担していたわけで、こうした報が届くたび、慙愧の思いが募っていったのだと思います。