本日、10月5日は、智恵子の命日「レモンの日」です。昭和13年(1938)に亡くなった智恵子、今年で没後80年となりました。

それにちなみ、昨日の『福島民友』さんの一面コラム。  

【10月4日付編集日記】高村智恵子没後80年

 1990年代の半ば、ロックバンド・ミスターチルドレンの桜井和寿さんが文芸雑誌「ダ・ヴィンチ」の表紙を飾った。写真の中の桜井さんは愛読書だという文庫本を手にしている
 ▼その文庫本は、高村光太郎の「智恵子抄」だ。ダ・ヴィンチのインタビューで桜井さんは智恵子抄について、一人の人を愛し抜くパワーに感動したと述べていた。愛する喜びと苦悩に満ちた光太郎の詩は、桜井さんの曲づくりにも影響を与えたに違いない
 ▼智恵子が52歳で亡くなってから、明日で80年を迎える。節目の年に合わせ、地元・二本松市では智恵子を顕彰している団体がさまざまな記念事業を予定している
 ▼11月には智恵子抄の朗読大会を初めて開く。このほかにも智恵子に関する知識を問う検定や、二人にちなんだお菓子を食べながら語り合うカフェなども企画する。同団体は、時代を超えて読み継がれてきた智恵子抄の魅力を広く発信していきたい考えだ
 ▼同市には、智恵子の生家がいまも残る。二人が手を取り合って歩き、安達太良山や阿武隈川を眺めた鞍石山などゆかりの場所もある。節目の年に智恵子の古里を訪れてみれば、心を通わせ合った二人の存在をより身近に感じられるはずだ。

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当方、寡聞にしてミスチルの桜井さんが光太郎智恵子ファンとは存じませんでした。言われてみれば「愛する喜びと苦悩に満ちた光太郎の詩は、桜井さんの曲づくりにも影響を与えたに違いない」、納得できますね。

けっこう芸能界には隠れ光太郎智恵子ファンの方々がいらっしゃるようです。引退なさった山口百恵さん、現在もご活躍中の声優・能登麻美子さん、連翹忌や、二本松で開催されている「レモン忌」にもご出席いただいている一色采子さん(昨年は智恵子生家で朗読イベント「智恵子・レモン忌 あいのうた」にご出演なさいました)などなど。

隠れ、ではないのが当会001会友・渡辺えりさんお父様の渡辺正治氏が光太郎本人と交流があったご関係で、ご自身、幼い頃から(あまり想像できませんが(笑))、光太郎詩を聞かされて育たれたそうです。そんな関係で光太郎を主人公とした「月にぬれた手」という舞台をなさったり、各地の講演やさまざまなテレビ番組などでお父様と光太郎のエピソードをご紹介なさったりして下さっています。

そういえば、10月7日(日)14時〜15時、二本松で第24回レモン忌が行われる日ですが(したがって当方は欠礼します)、同じ福島の、いわき市立草野心平記念文学館さんで、渡辺さんのご講演があります。

当会の祖・草野心平を祀る(笑)文学館でのご講演ですので、やはり光太郎智恵子に関わるお話があるかと存じます。

事前予約制で、おそらく既に定員に達していると思いますが、もしかするとキャンセル等が有るかも知れません。同館にお問い合わせ下さい。


最後に、本日放送の福島でのテレビ放映情報を。 

はまなかあいづToday▽高村智恵子没後80年 ▽カフェ?子育て女性注目の働く場

NHK総合1・福島 2018年10月5日(金)  18時10分~18時52分 

▽きょう高村智恵子没後80年 ▽まるでカフェ…子育て女性注目の働く場 ▽気象情報 ▽県内の放射線測定値 

キャスター 吾妻謙 岩間瞳 平川沙英  リポーター 後藤万里子  気象予報士 齋藤郁子

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福島県の方、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

中原君の詩は所謂抒情詩の域を超えた抒情詩といふべきで、それは愬へたり、うたつたりする段階から遙に超脱して、心や物がそのまま声を発するものであつた。インキ壺を書くのでなくて、インキ壺が書くのであつた。むしろインキ壺がただ在るのであつた。

散文「夭折を惜しむ――中原中也のこと――」より 
昭和14年(1939) 光太郎57歳 

愬へたり」は「うったえたり」と読みます。

智恵子の翌年に亡くなった中原中也の追悼文から。中也独特の詩の世界を端的に言い得ていますね。