平成16年(2004)から、福島県内で開催されてきた、現代アートの祭典「福島ビエンナーレ」。一昨年から二本松市も会場となり、同市出身のアーティストということで、智恵子にからめてのインスタレーションが為されています。ビエンナーレ(隔年開催)ではありますが、その隙間を埋めるということで、昨年はビエンナーレとは冠せず「重陽の芸術祭」としての開催でした。

同市油井の智恵子の生家では、一昨年は版画家の小松美羽さん、昨年は刺繍作家の清川あさみさんによる展示が行われました。また、昨年は道の駅安達「智恵子の里」さんで展示された、ワタリドリ計画さんによるインスタレーション「絵葉書フラッグ」でも、智恵子にからめてくださいました。

今年の「福島ビエンナーレ」、すでに9月9日(日)から始まっていますが、直接、智恵子に関わりそうな展示はこれからのようです。

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まず、智恵子の生家では、切り絵作家の福井利佐さんの作品が展示されます。10月13日(土)~11月25日(日)、9:00~16:30で、智恵子の生家/智恵子記念館入館料として大人410円 高校生以下200円です。

福井さん、昨年は安達ヶ原ふるさと村さんでの展示をなさっていましたし、今年は既に智恵子の母校・市立油井小学校さんでワークショップをやられたとのこと。

それに合わせ、生家では、通常は非公開である二階部分(智恵子の居室を含みます)の特別公開(10/13~11/25の土日祝日)、記念館では、通常は複製が展示されている智恵子紙絵の実物展示(10/11~11/27)が予定されています。

また、安達ヶ原ふるさと村さん内の武家屋敷では、古川弓子さんという方の絵画の展示。どうやら智恵子がモチーフにされるようです。こちらも10月13日(土)~11月25日(日)です。

それ以外にも光太郎智恵子にからむ展示等があるかもしれません。

さらに、今回の福島ビエンナーレは、二本松での「重陽の芸術祭」、さらに南相馬での「海神の芸術祭」と、リンクして行われています。

そして、期間中には毎年恒例の「二本松の菊人形」。今年のテーマは「戊辰150年~信義×二本松少年隊~」だそうです。このところ、智恵子人形は出ていませんが、今年はどうなりますことやら。

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最後にもう一つ、ビエンナーレとは関係ありませんが、10月14日(日) 10:00~16:00、安達太良山中腹の岳温泉で、「第2回ほんとの空 マルシェ in あだたら」が開催されます。第1回が8月に行われていますが、同様の内容でしょう。


それぞれぜひ足をお運びください。


【折々のことば・光太郎】

頃日、一人の気位の高い友人が来ていつた。今の世上の詩と称するものは皆うす汚いといつた。この友人は真に心の高い立派な人であるが、若し八木重吉のやうな詩人をもうす汚いといふならば、それは気位の高い人の病であるところの、自己以外を決して了解し得ぬ程高い成層圏にもう突入してしまつたことを意味するであらう。

散文「八木重吉について」より 昭和11年(1936) 光太郎54歳

昭和2年(1927)に数え30歳で夭折した詩人・八木重吉に関する文章の一節です。

自己以外を決して了解し得ぬ程高い成層圏にもう突入してしまつた」「気位の高い人」、あるある、ですね。そうはなりたくないものです。