光太郎第二の故郷・岩手花巻の高村光太郎記念館さんでの企画展です。
光太郎と花巻電鉄
期 日 : 2018年7月14日(土)~11月19日(月)会 場 : 高村光太郎記念館 岩手県花巻市太田第3地割85番地1
時 間 : 午前8時30分から午後4時30分まで
料 金 : 小中学生 150円(100円) 高等学校生徒及び学生 250円(200円)
一般 350円(300円) ( )は20名以上の団体
一般 350円(300円) ( )は20名以上の団体
休館日 : 会期中無休
光太郎が市街地へ日用品の買い出しや、静養先だった温泉への移動手段としていたのは、東北各地の都市に先駆けて大正初期から電車を運行していた『花巻電鉄』でした。都会育ちの光太郎にとって、山での暮らしは東京とは比べようが無いほど不便でしたが、山をおりれば路面電車で市街へ移動できる、『田舎』と『都会』が絶妙に隣り合う環境であったと言えるでしょう。
この企画展では、光太郎にゆかりある市内各所を資料やエピソードを交えて紹介しながら、それらを花巻電鉄が結ぶ情景を温かみあるジオラマで展示します。
メインは、品川区大井町ご在住の石井彰英氏による、光太郎が暮らしていた頃の戦後の花巻とその周辺を表現したジオラマ。上記チラシにも使われています。すばらしい作品です。
かつて智恵子終焉の地・南品川ゼームス坂病院を含む昔の大井町のジオラマを作成された石井氏に、花巻とその周辺のジオラマ作成をお願いしようと、高村光太郎記念館さんのスタッフ氏と一緒に工房を訪れたのが一年前の今頃。快諾を頂き、9月には、当方の運転するレンタカーで現地花巻をロケハン。その後、いろいろな方にご協力いただき、完成しました。
学術的なそれではないので、デフォルメがなされていますが、その場所ごとの感じは非常に良く再現されていると思われます。
地元の方や、花巻に詳しい方なら、上記画像でそれぞれの場所がどこかとおわかりになるのではないでしょうか。
その他、花巻電鉄に関わる資料なども展示されます。何点か、当方手持ちの資料もお貸ししました。チラシにも使われている古絵葉書、光太郎が居住していた頃の時刻表など。
それから、ジオラマを元にした石井氏製作のDVDも販売される予定です。石井氏曰く「観に来られた方が、ジオラマを自宅に持って帰ることはできないので、映像として持って帰っていただきたい」とのことです。以前に伺った話では、そう高価な価格には設定しないとのこと。
ぜひ足をお運びください。当方は初日とその前日に1泊2日で行って参ります。
【折々のことば・光太郎】
日本に遺つてゐる造型芸術の中で、埴輪ほど今日のわれらにとつて親しさを感じさせるものはない。埴輪ほど表現に民族の直接性を持つてゐるものはない。それはまるで昨日作られたもののやうである。
散文「野間清六編「埴輪美」序」より 昭和11年(1936) 光太郎54歳
日中戦争開戦直前ということで、若干のきな臭さを感じる一節ですが、時代は違えど古代エジプトの彫刻などのプリミティブな美にうたれていた光太郎らしく、埴輪の持つ素朴な美を讃えています。「それはまるで昨日作られたもののやうである。」、いいですね。