昨日は、隣町の成田市立図書館さんに行っておりました。目当ては福島関連の報道。自宅兼事務所や、自宅兼事務所のある香取市の図書館さんでは入手できない新聞記事をゲットしてまいりました。
まず、6月10日の日曜日に、南相馬市で開催された「第69回全国植樹祭ふくしま2018 育てよう希望の森をいのちの森を」の報道。成田市立図書館さんでは、地方紙『福島民報』さんと『福島民友』さんが閲覧できます。おそらく東日本大震災に伴う福島第一原発の事故で、成田近辺に避難してきている方がいらっしゃるということへの配慮でしょう。
記事そのものはネット上で拝読できたのですが、やはり実際の紙面でどのように扱われているか気になり、閲覧いたしました。すると、想像していた以上に大きな扱いで、驚きました。
地元の高校生たちが演じた「智恵子抄」をモチーフにしたメインアトラクションに関するページのみ、カラーコピーを取って参りました。
『福島民報』さん。見開き2ページぶちぬきで、メインアトラクションはメインだけに大きな文字で見出しが付けられていました。さらに感心したのは、「主役」の二人――光太郎智恵子――以外の樹木や大地の精と思われる大勢の生徒さんの写真も大きく掲載していること。すばらしいですね。
『福島民友』さんはグランドフィナーレの写真をメインに据え、やはり大勢の生徒さんの姿を捉えていました。
続いて、別件ですが、『朝日新聞』さんの福島版に載った連載記事「(お湯ぶら)県北編:4 奥岳の湯 二本松市 白い湯の花「当たり湯」」。先週水曜日・13日の掲載です。
こちらは、館内のパソコンで『朝日新聞』さんの記事データベース「聞蔵Ⅱビジュアル」が利用できるので、それでプリントアウトして拝読しました。平成27年(2015)、安達太良山の登山口にオープンした「奥岳の湯」を紹介する記事ですが、左下の部分で光太郎太郎智恵子に触れて下さっています。「ほんとの空 高村光太郎の詩集『智恵子抄』の「あどけない話」に登場する。「阿多多羅(あたたらやま)山の山の上に毎日出ている青い空が 智恵子のほんとの空だといふ」。」
それから、たまたまなのでしょうが、17日の日曜日、『しんぶん赤旗』さんの別刷り日曜版でも、「ほんとの空」という題名で安達太良山を大きく紹介してくださいました。写真家・西田省三氏による連載「山の季」というコーナーで、まるまる1ページ取られています。
「福島県中部に位置する安達太良山1700㍍。詩人で彫刻家の高村光太郎の詩集「智恵子抄」に出てくる智恵子の故郷の山で、「ほんとの空」のフレーズでもよく知られています。」という書き出しで始まっています。
『しんぶん赤旗』さんは、当方の住まう香取市の図書館さんでも閲覧できますが、そちらでは日曜版は外してしまっており、見られません。成田の図書館さんでは一緒に綴じて下さっていて、ラッキーでした。
「安達太良山」、そして「福島」といえば「ほんとの空」、となるよう、もっともっと「ほんとの空」の語が広まってほしいものです。
【折々のことば・光太郎】
美術家にとつて七十歳代は最も豊穣の十年である。
散文「三つの死」より 昭和15年(1940) 光太郎59歳
この年、相次いで亡くなった恩師と知友三人――日本画家・邨田丹陵、元東京美術学校校長・正木直彦、彫刻家・明珍恒夫――の追悼文の一節で、邨田丹陵の項の終末近くに出てきます。
「美術家にとつて七十歳代は最も豊穣の十年」。88歳まで生きたミケランジェロを念頭に置いた表現でしょうが、奇しくも光太郎自身、この12年後、数え71歳になって、生涯最後の大作、「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」に取り組むことになります。