大阪在住、高村光太郎研究会員の西浦基氏から新著が届きました。
高村光太郎小考集
2018年1月28日 西浦基著 発行 牧歌舎 発売 星雲社 定価1,800円+税
帯文より
高村光太郎の作品と人生に独自の視点から迫る労作
彫刻家であり、詩人である高村光太郎。かの『智恵子抄』の作者でもある光太郎の一連の作品の紹介に加え、寡黙であるが故に強そうに見えて優柔不断なところもあるその人生を余すところなく探求する。
後半部ではロダンやミケランジェロの見聞など、著者のヨーロッパ旅行記も掲載。
目次
第Ⅰ部 高村光太郎小考集
はじめに 自伝・略歴
第一章 高村光太郎の詩:「レモン哀歌」、他
根付の国 レモン哀歌 『暗愚小伝』二十篇の中の「二律背反」から:協力会議
根付の国 レモン哀歌 『暗愚小伝』二十篇の中の「二律背反」から:協力会議
第二章 高村光太郎の選択 流された選択・迷った選択・断固たる選択
第三章 彫刻に燃える ロダンとロダンに師事した荻原守衛とロダンに私淑した高村光太郎と
1 美しい二つのロダン美術館 2 ロダンの紹介 3 ロダンの出世作と女と艶裸体
4 バルザック 5 ロダンの対人関係 6 ロダンの欲と創意工夫
7 ロダンに魅了された人々 8 ロダンが下彫り職人、鋳造職人に厳しく指示した訳
追悼文その1 追悼文その2
4 バルザック 5 ロダンの対人関係 6 ロダンの欲と創意工夫
7 ロダンに魅了された人々 8 ロダンが下彫り職人、鋳造職人に厳しく指示した訳
追悼文その1 追悼文その2
第四章 高村光太郎の「伊太利亜遍歴」を見る
1 清浄なるスイスから 2 「ヹネチアの旅人」と随筆「伊太利遍歴」と絵ハガキと
3 著者個人の旅行の模様 4 琅玕洞(グロック・アズーラ) 5 ポンペイ
第五章 一枚の写真
碌山の恋
碌山の恋
第六章 あぁ! わが青春の『智恵子抄』
1 詩集『智恵子抄』から見る描写の変遷 2 詩集『智恵子抄』誕生の経緯
3 詩集『智恵子抄』と随筆「智恵子の半生」の矛盾
第七章 高村光太郎の「AB HOC ET AB HAC」から 明治43年『スバル』に発表
第八章 『画論(アンリイ・マテイス)』高村光太郎訳(一九〇八年(明治四十一年)十二月)
1 マチスとの関わり 2 上から目線の光太郎 3 『画論(アンリイ・マテイス)』
4 荻原守衛との交誼とマチスから受けた影響を考える
5 高村光太郎の模刻する技術力の高さを見る
6 高村光太郎の「彫塑総論」と「彫刻十個條」(全集四巻)
7 高村光太郎の贅肉についての文章を見る 8 『十和田湖畔の裸婦群像』を見て
9 智恵子をイメージできたかどうかについての、光太郎の芸術家としての脳内を考える
10 『十和田湖畔の裸婦群像』制作の頃
11 完成頃の関係者との会食時の挨拶メモ 12 制作
13 像建設の経緯について 14 ロダンと荻原守衛と高村光太郎の違いを見る
11 完成頃の関係者との会食時の挨拶メモ 12 制作
13 像建設の経緯について 14 ロダンと荻原守衛と高村光太郎の違いを見る
15 ロダンと荻原守衛と高村光太郎の作品に就いて 16 ある共同討議での事
17 『十和田湖畔の裸婦群像』の中型試作通称「みちのく」の顔は誰に似ているのだろうか?
18 『画論(アンリイ・マテイス)』と『十和田湖畔の裸婦群像』 19 総括として
第Ⅱ部 楽の断片
第一章 旅愁のパリ(フランス:二〇〇九年七月)
詩と恋愛 パリの夕暮れ 考える人を見る ロダンの恋 ジベルニー近郊のセーヌ川の朝
エトルタの海岸 絶景エトルタの機転(クールベとモネ) サラサラ サラ
初夏の青空(オンフルール) 旅愁(オンフルール)
エトルタの海岸 絶景エトルタの機転(クールベとモネ) サラサラ サラ
初夏の青空(オンフルール) 旅愁(オンフルール)
年表
第二章 怒濤の嵐、船内のジャズ(イギリス:二〇一〇)年秋
『ロダンの言葉』ポール・グゼル筆録・高村光太郎訳 カレーの市民 ドーバー海峡
二〇一一年(卯年)春 (献句) 犬句 犬柳 犬歌 沈まぬ夕陽
二〇一一年(卯年)春 (献句) 犬句 犬柳 犬歌 沈まぬ夕陽
第三章 哀の六根 楽の六根 官能のシックスセンス
(晩八句) 高村光太郎に思いを馳せる・楽のひと時 (晩歌)平成二十四年七月三十一日
晩歌(母の死を悼む) 生を一考 お葬式 旅愁(マッターホルン) 哀の六根 楽の六官
官能のシックスセンス
第四章 歴史のひとこま―ガリレオ
概要 科学と宗教 異端審問所はガリレオを拷問にかけたか
第五章 美しき国ドイツ:二〇一一年秋
ケルン 妖精の生まれる国(デュッセルドルフ) ベルリン(ウンター・デン・リンデン)
マイセン ドレスデンの朝 アルテ・マイスター プラハ
マイセン ドレスデンの朝 アルテ・マイスター プラハ
第六章 清浄なるスイスとリヨン:二〇一二年十月
参考文献
一昨日届いたばかりで、まだ読んでおりませんが、とり急ぎ、ご紹介しておきます。
【折々のことば・光太郎】
美とは決してただ奇麗な、飾られたものに在るのではない。事物ありのままの中に美は存するのである。美は向うにあるのではなく、こちらにあるのである。
散文「美」より 昭和14年(1939) 光太郎57歳
この頃から光太郎は、頼まれて筆を執る色紙などの揮毫に「美しきもの満つ」「美ならざるなし」といった言葉を好んで書くようになります。