今年も残すところ、今日一日となりました。

昨日までのこのブログで、今年一年をふり返る「回顧2017年」を4回にわたって書きました。改めてふり返ってみると、実にさまざまな場面で、さまざまな皆さんが、光太郎、智恵子、光雲に関わるさまざまな企画をなさって下さっていたことがわかり、ありがたく存じます。

光太郎、智恵子、光雲の名が忘れ去られてしまうと、なかなかこうは行きません。美術や文学などの一部の専門家の間では、その名が忘れ去られることもないのでしょうが、一般の皆さんが、「高村光太郎といえば○○」、「智恵子って、こんな人」、「○○といえば、高村光雲」といったことがすぐ思い浮かぶように、広く愛されて欲しいものです。


「回顧2017年」を書いている最中にも、地方紙『紀伊民報』さんが、社説「水鉄砲」欄で光太郎、光雲の名を出して下さいました。

水鉄砲 2017/12/26 「製造業の信頼」

 詩人、高村光太郎の父、高村光雲が『幕末維新懐古談』(岩波文庫)で、江戸初期から大いに栄えた京都の仏師が衰退した理由について、次のように語っている。
  ▼「拙速を尚(とうと)んで間に合わせをして、代金を唯一の目的とする……すなわちあまりに商品的に彫刻物を取り扱い過ぎるところの悪習ともいえましょう」。12歳で彫刻師に入門。ひたすら修業を続け、近代木彫の祖と呼ばれた名人の指摘は、そのまま現代日本のものづくりの現場にも当てはまりそうだ。
  ▼今年は日本を代表する製造業で不正が相次いだ。神戸製鋼は品質データを改ざん、日産自動車では無資格者が完成車を検査していたことが発覚した。スバルでも同様の事態が続いていた可能性がある。三菱マテリアル、東レ、東洋ゴムなどでも製造工程での不正が明るみに出ている。
  ▼さらに、先日は新幹線の台車に14センチの亀裂が入った状態でJR西日本と東海が新幹線を運行。国土交通省が新幹線では初めての重大インシデントに認定する事態になった。
  ▼戦後の日本を支えてきた「安全第一」が音を立てて崩れている。「拙速を尚び、間に合わせをして、代金を唯一の目的とする」、つまりコスト削減と生産性向上に日夜励んできた結果だろう。合理化を最優先し、熟練の技術者たちを大切にしなかったツケが回ってきたともいえよう。
  ▼目先の利益よりも、信頼を最優先に。日本の再生はそこから始まる。 (石)


文化活動にも同じことが言えましょう。「拙速を尚び、間に合わせをして、代金を唯一の目的とする」ことは避け、腰を据えてやっていきたいと存じます。


それからご報告。

今年一年、関係の皆様などからいただいた郵便物に貼られていた切手、今年も公益社団法人日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)さんに寄付いたしました。同会サイトに寄付団体として名前を載せていただいております。

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それから、このブログの閲覧数に応じ、ほぼ毎日、YahooさんからTポイントが加算されています。貯まったポイント、今年は九州豪雨被災者支援に寄付いたしました。閲覧して下さる方が少ないとできませんので、来年以降もよろしくお願い申し上げます。


【折々のことば・光太郎】

肉合(にくあひ)に潜む彫刻の深さ。

散文「彫刻十個條」より 大正15年(1926) 光太郎44歳

「肉合」とは、塑像であればどれだけ粘土を盛るか、木彫であればどれだけ木材を削り落とすか、そういったバランスの感覚です。彫刻にとどまらず、人生万事にあてはまりますね。

上記光雲の「拙速を尚び、間に合わせをして、代金を唯一の目的とする」なかれ、同様、こうしたバランス感覚を持って臨むべし、と、肝に銘じたいと存じます。