今年2月に亡くなった、元埼玉県東松山市の教育長で、戦時中から光太郎と交流のあった田口弘氏。
昨年には、「終活」の一環として、光太郎から贈られた書や書籍など、一括して同市に寄贈なさいました。
その後、同市立図書館さんで、それらの特別公開、田口氏ご本人によるご講演も行われました。
先月発表された、やはり光太郎と交流のあった彫刻家・高田博厚の遺品が同市に寄贈されることとなった件も、田口氏のご遺徳の賜です。氏を介して、高田と同市は以前から深いつながりがありました。
さて、同市立図書館さんでは、田口氏からの寄贈資料を常設展示する「高村光太郎資料コーナー」を設けることとなり、そのオープン記念の講演会が開催されます。僭越ながら、当方が講師を務めさせていただきます。
田口弘文庫「高村光太郎資料コーナー」オープン記念講演会
期 日 : 2018年1月13日(土)会 場 : 東松山市立図書館 3階視聴覚ホール 東松山市本町2-11-20
時 間 : 午後2時から3時30分
料 金 : 無料
内 容 : 詩の朗読(朗読ボランティア「あすなろ」)
記念講演「田口弘と高村光太郎 ~交差した二つの詩魂~」
講師 小山弘明(高村光太郎連翹忌運営委員会代表)
講師 小山弘明(高村光太郎連翹忌運営委員会代表)
定 員 : 100人(申し込み順)
申 込 : 2018年1月5日(金曜日)から直接又は電話で市立図書館へ
電話:0493-22-0324 ファックス:0493-22-0064
当方、田口氏とは連翹忌の席上で何度か、それから昨年の講演会、一昨年にはご自宅にお邪魔いたしましてお会いしました。あとは書簡のやりとりといった程度のおつきあいで、氏について詳しく語る資格は不十分かと存じますが、氏と光太郎との関わりという点になると、やはり出馬せざるを得ないかなと思い、お引き受けしました。
お近くの方、ぜひどうぞ。
【折々のことば・光太郎】
美を持たないものを心から信ずるわけにはゆかない。美を顧みない諸般の施設を喜ぶわけにゆかない。美を最奥の標準と為ない都市の建設は詮ずる所住民の虐待に急ぐ事となるのである。
散文「美の立場から(震災直後)」より 大正12年(1923) 光太郎41歳
関東大震災により大きな被害をうけた東京の復興に関する内容です。欧州の諸都市を見てきた光太郎にとって、震災前のごみごみした東京の景観は許せないものでした。これを機に、美しい都市を造ろうという提言でしたが、それはかないませんでした。