新刊です。

高校国語科授業の実践的提案

2017年11月10日 三浦和尚著 三省堂書店 定価2,200円+税

長年、国語(科)教育の「実践」と「研究」の「橋渡し」に取り組んできた筆者による、日常的営みとしての授業研究への実践的な提案。筆者による実際の授業実践・研究の動画4本をインターネットで配信する。

目次
はじめに
Ⅰ 【総論】授業研究のねらいと方法
Ⅱ 【提案授業1】豊かな文学世界の享受と言葉の力の獲得
-芥川龍之介「蜜柑」(高校一年)-
Ⅲ 【提案授業2】文学として味わう「古文」(伊勢物語)
-現代語訳・課題の在り方を中心に-
Ⅳ 【提案授業3】味読・批評を見通した評論の学習指導 
-松沢哲郎「想像する力」の実践を通し て-
Ⅴ 【提案授業4】 高村光太郎「レモン哀歌」の指導
 -詩の「楽しみ方」を求めて-
Ⅵ 【実践報告】小説教材を導入に生かした学習指導 
-「藪の中」「新聞記事」(高二)の場合-
Ⅶ [講演記録]国語科学習指導における発問の意義と課題
あとがき
初出一覧

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高等学校の国語科教員向けの、授業実践記録集です。「智恵子抄」中の絶唱、「レモン哀歌」(昭和14年=1939)を扱った授業の記録を含みます。著者の三浦氏は愛媛大学名誉教授・特命教授・副学長ということで、附属高校さんの2年生を対象にした授業実践の記録が掲載されています。帯や版元サイトの紹介文に、授業の実際をインターネットで配信中とあったので、早速拝見しました。

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IDとパスワードの入力を要求してきますが、同書に掲載されています。ID:sanseido-kokugo    パスワード:90VXnQSW07 です。生徒さんたち、公開研究授業でビデオ撮影ありということで緊張しているようです(笑)。

版元の三省堂さんで発行している国語の教科書『高等学校 国語総合』[改訂版]に、「レモン哀歌」が掲載されているようです。ちなみに東京書籍さん刊行の中学校用3年生用教科書『新しい国語 3』にも「レモン哀歌」が採用されています。中学生には中学生なりの、高校生には高校生なりの読み取りが可能でしょう。ただ、21世紀の若者には、肺結核による死、というのはイメージが涌きにくいようです。


もう1冊、日本絵手紙協会さん発行の『月刊絵手紙』12月号。今年の6月号から「生(いのち)を削って生(いのち)を肥やす 高村光太郎のことば」という新連載(全1ページ)が始まり、定期購読しております。11月号は年賀状特集号ということで当該欄がお休みでしたが、今号から復活。

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今号は、散文「書について」(昭和14年=1939)から。花巻高村光太郎記念館さん所蔵の、光太郎愛用の硯箱一式の写真が添えられています。

同館では来月9日から、市内4つの文化施設との共同企画展「ぐるっと花巻再発見! イーハトーブの先人たち」の一環としての「高村光太郎・書の世界」展が開催されます。下記は花巻市さんの『広報はなまき』11月15日号から。

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同館では、常設展示でも光太郎の書を多数展示していますが、それ以外にも所蔵作品が多数有り、それらの中からセレクトして展示するとのこと。

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どういった作品が出されるか、現在問い合わせ中です。詳細が分かりましたらまたご紹介します。


【折々のことば・光太郎】

激烈なる近世の生存の競争は、既に一般の世人をして其の日常生活に於て、昔日の如き美術的享楽を専らにする事能はざるに至らしめたり。

散文「英国に於る応用彫刻に就て」より 明治41年(1908) 光太郎26歳

このコーナー、筑摩書房『高村光太郎全集』の第一巻から始め、これは、と思う光太郎の言葉をご紹介しています。昨日までで詩の巻の第三巻までを終わり、今日から評論の巻、第四巻に入ります。

明治39年(1906)から同42年(1909)にわたった光太郎の海外留学。当初は自費でのそれでしたが、光太郎の父・光雲の奔走で、農商務省海外実業練習生の資格が付与され、月額60円が給付されることになりました。その義務として提出した、家具などの応用彫刻のレポートの冒頭です。

産業革命も一段落し、機械工業による大量生産品の使用が一般的となった現状への警句です。