光太郎が終生敬愛した彫刻家、オーギュスト・ロダンがらみです。

まずは米国発のニュース。

ロダン作のナポレオン胸像、米市庁舎で偶然発見 80年間誰も気づかず

【AFP=時事】近代彫刻の父と称される彫刻家オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin)が制作したフランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)の胸像が米東海岸のとある町の市庁舎で数十年にわたりひっそりと眠っていた──。このほど、その発見について初めて報じられた。

 白い大理石の胸像は、ニュージャージー(New Jersey)州マディソン(Madison)の市庁舎で見つかった。制作者不明のまま80年間、台座の上に置かれていたのだという。

 同市は2014年、所有する美術品の目録を作成するため、美術史を勉強する22歳の学生を採用した。学生は、一目でロダンのスタイルとわかる胸像に「A. Rodin」のサインが入っていることに気が付いた。

 この胸像に好奇心を抱き、学生はすぐに確認作業を開始。専門家らに相談し、過去の保存記録を徹底的に調べ、最終的にロダン研究の権威でパリ(Paris)を拠点とする「Comite Auguste Rodin」に助言を求めた。

 謎はすぐに解けた。同団体が収集した資料の中から写真が見つかり、その写真には長らく紛失したと考えられていた胸像とロダンが一緒に写っていたのだ。そして2015年9月、胸像を鑑定するために専門家がマディソンの市庁舎を訪れた。鑑定作業は数十秒で終わった。胸像は1904年、ニューヨーク(New York)州の著名弁護士の妻から制作を依頼されたもので、400万~1200万ドル(約4億6000万~13億7000万円)の価値があると分かった。

 ロダンの胸像と判明してから約2年が経過して、今回その発見について初めて発表された。窃盗などの恐れがあるとの理由でこれまで秘密にされていたのだという。フィラデルフィア美術館(Philadelphia Museum of Art)に移されることも併せて発表された。【翻訳編集】 AFPBB News
2017年10月25日

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こういうことがあるのですねぇ。しかし、「400万~1200万ドル」とは……。まぁ、大理石の一点ものですから、そのくらいしてもおかしくないのでしょう。

見つかったのは数年前のようですが、今年はロダン歿後100年ということで、不思議な因縁を感じます。

歿後100年ということで、再び注目の集まるロダン。テレビ番組でも取り上げられます。

ザ・プロファイラー 夢と野望の人生 「彫刻に“生命”を刻んだ男~オーギュスト・ロダン~」

NHKBSプレミアム 2017年11月2日(木) 21時00分~22時00分

岡田准一がMCを務める歴史エンターテインメント。「考える人」「地獄の門」で知られ、今年、没後100年を迎える彫刻家ロダン。30歳をすぎても、貧乏生活から抜け出すことができず、苦悩に満ちた日々を送った。こだわったのは「男の裸」。ところが、名声を得た後、1人の女性との関係をきっかけに、女性像や愛をテーマとした作品を発表するように。だが、その女性との関係は悲劇的な結末に。人間味あふれる人生に迫る。

司 会 岡田准一
ゲスト 鹿島茂,若村麻由美,篠原勝之

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そして、映画でも。

ロダン カミーユと永遠のアトリエ

公  開 : 2017年11月11日(土)より 全国ロードショー
場  所 : 新宿ピカデリーBunkamuraル・シネマ ほか
出  演 : ヴァンサン・ランドン (オーギュスト・ロダン)
         イジア・イジュラン (カミーユ・クローデル) 他
監  督 : ジャック・ドワイヨン 
配  給 : 松竹、コムストック・グループ
上映時間 : 120分

「地獄の門」「考える人」などの作品で知られ、「近代彫刻の父」と称される19世紀フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの没後100年を記念して製作された伝記映画。弟子入りを切望する女性彫刻家カミーユ・クローデルと出会ったロダンが、彼女の才能と魅力に惹かれていく姿を描く。

1880年、パリ。40歳の彫刻家オーギュスト・ロダンはようやく国から作品制作を依頼されるようになり、後に代表作となる「地獄の門」を生み出していく。その頃、内妻ローズと暮らしていたロダンだったが、弟子入りを願う女性カミーユ・クローデルが現れ、彼女の才能に魅せられたロダンはクローデルを助手にし、やがて愛人関係になっていくが……。

「ティエリー・トグルドーの憂鬱」でカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞したヴァンサン・ランドンがロダンに扮し、カミーユ・クローデルをフランスで歌手としても活躍しているイジア・イジュランが演じた。監督・脚本は「ポネット」の名匠ジャック・ドワイヨン。


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それぞれ、ぜひご覧下さい。


【折々のことば・光太郎】

今放たれて翼を伸ばし、 かなしいおのれの真実を見て、 三列の羽さへ失ひ、 眼に暗緑の盲点をちらつかせ、 四方の壁の崩れた廃墟に それでも静かに息をして ただ前方の広漠に向ふといふ さういふ一つの愚劣の典型。
詩「典型」より 昭和25年(1950) 光太郎68歳

「典型」は、光太郎自身。明治・大正・昭和を生き、忠君愛国の精神で塗り固められ、戦時中には道を誤った「愚劣の典型」だというのです。

昨日ご紹介した「偶作」同様、「それでもやれることをやろう」といった建設的な方向にベクトルが向いていた点は、高く評価されて然るべきだと思います。