最近入手した書籍・雑誌類を3点ご紹介します。

奥州二本松

2016/12/11 歴史春秋社 懸田弘訓監修 定価2,000円+税

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福島の出版社・歴史春秋社さんから出たムックです。同じシリーズで「奥会津」「いわき」「白河」なども出ています。

智恵子の故郷・二本松の歴史、自然、民俗、そしてゆかりの人物を取り上げる中で、智恵子も大きく扱われています。この項のご執筆は、先頃開かれた第23回レモン忌で記念講演をなさった福島県立美術館さんの学芸員をなさっている堀宜雄氏。

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さらに、女優・一色采子さんの父君で、智恵子像も多く手がけられた日本画家の故・大山忠作画伯、光太郎の父・光雲の孫弟子で、二本松駅前の智恵子像を制作された橋本堅太郎氏なども取り上げられています。

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月刊絵手紙 2017年10月号

2017/10/1 日本絵手紙協会 定価762円+税

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今年の6月号から「生(いのち)を削って生(いのち)を肥やす 高村光太郎のことば」という新連載(全1ページ)が始まりました。今号は詩「或る筆記通話」(昭和4年=1929)が取り上げられています。

日本古書通信 2017年10月号

2017/10/15 日本古書通信社 定価667円+税

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慶応義塾大学教授・田坂憲二氏による紀行文「現代詩歌文学館とあらえびす記念館――岩手文学館紀行」が掲載されています。

書き出しで光太郎に触れて下さっています。しかし、「岩手と言っても啄木や賢治や光太郎だけではない。まだまだ面白い文学館があると勢い込んで出かけた」というわけで、北上市の日本現代詩歌文学館さんと、紫波郡紫波町の野村胡堂・あらえびす記念館さんのレポートです。

日本現代詩歌文学館さんには、最近は行っていませんが、資料の閲覧で3回ほどお邪魔した記憶があります。特に、全集未収録の光太郎書簡の所蔵があり、ご協力いただきました。

野村胡堂・あらえびす記念館さんには、3年前に行きました。その際のレポートがこちら。胡堂の奥さんとなったハナが智恵子と同じ日本女子大学校卒で、在学中から智恵子と親しかったため、野村夫妻の結婚披露で智恵子が介添えを務めました。

ところで、この記事は連載ではありません。ぜひとも全国の文学館紀行を連載化していただき、光太郎記念館、智恵子記念館なども取り上げていただきたいものです。


【折々のことば・光太郎】

そのためにわたくしに肉類が与へられ、 そのためにわたくしに畑の野菜が与へられ、 米と小麦と牛酪とがゆるされる。 智恵子の裸形をこの世にのこして わたくしはやがて天然の素中に帰らう。

連作詩「智恵子抄その後」中の「裸形」より
 昭和24年(1949) 光太郎67歳

自らの戦争協力に対する厳罰として、岩手の寒村に蟄居生活を送り、天職と考えていた彫刻を封印した光太郎。世の中から許されないうちは、自分でも許すことを潔しとしませんでした。その日を待ちながら、頭の中で渦巻いていた彫刻の構想は、最愛の智恵子の裸形。光太郎にとって、美とか愛とか人生とか、そういったものを彫刻で表そうとすると、もはやそれは智恵子の姿をとらざるをえなかったのだと思います。

この詩の書かれた4年後、「十和田湖畔の裸婦群像(通称・乙女の像)」として、それが結実します。