光太郎終焉の地、東京都中野区からイベント情報です。
常設展示「日本の文豪 第7回 志賀直哉、北原白秋、高村光太郎」
期 日 : 平成29年7月29日(土)~11月23日(木)会 場 : 中野区立中央図書館 東京都中野区中野二丁目9番7号
時 間 : 午前9時から午後9時
休館日 : 毎月第2月曜日(その日が国民の祝日の場合は直後の休日でない日)
中央図書館では、年間常設展示として『日本の文豪』を開催しています。手稿や色紙の複製をはじめとする図書館の所蔵資料を紹介いたします。皆さまのご来館をお待ちしています!
一昨年から始まり、現在は、「第6回 直木三十五、芥川龍之介、斎藤茂吉」が開催中です。そちらの説明では、イラストレーター高松啓二氏による文豪の肖像が展示されているとのこと。昨年の展示でも、高松氏の作品が展示されたようです。
光太郎を含む第7回もこの試みは続くのではないかと思われます。
ここ数年、ゲームアプリやアニメ、コミックやグッズなどで「文豪」が静かなブームです。こういった方面からのアプローチもありかな、と思います。
【折々のことば・光太郎】
意識の境から最後に振り返つて わたくしに縋る この妻をとりもどすすべが今は世に無い わたくしの心はこの時二つに裂けて脱落し 闃(げき)として二人をつつむ此の天地と一つになつた。
詩「山麓の二人」より 昭和13年(1938) 光太郎56歳
昭和8年(1933)、智恵子の心の病を癒すべく、福島不動湯温泉、蔵王青根温泉などをめぐった湯治旅行の最初、裏磐梯を訪れた際の記憶を元に書かれた詩の終末部分です。前半部分には有名な「――わたしもうぢき駄目になる」のリフレインが効果的に使われています。
それまで一心同体たらんと目指していた光太郎智恵子夫妻。その一方が「駄目になる」ことは、もう一方も「駄目になる」ことにつながりはしないでしょうか。智恵子にとっての「駄目になる」は、夢幻界の住人となること。光太郎にとっての「駄目になる」は、孤高の芸術探求の姿勢を捨て、「二人をつつむ此の天地と一つにな」ること。そして、「此の天地」は、確実に戦時へと向かい、国民一人一人が泥沼の戦争へと駆り出されていく時期だったのです。