当会の祖、草野心平が愛し、心平歿後は心平を偲ぶ催しとなったイベントです。
第52回天山祭
期 日 : 2017年7月8日(土)会 場 : 天山文庫 福島県双葉郡川内村大字上川内字早渡513
雨天時 川内村村民体育センター 福島県双葉郡川内村大字上川内字小山平15
時 間 : 11:30~14:00
参加費 : 500円
天山文庫の前庭で毎年開催されている天山祭りは、心平先生が好きであった祭りです。みんなが酒や肴を持ち寄り、時を忘れるほどに楽しんだ祭り。
いまでも心平先生の遺徳をしのび、酒や肴、山菜が振舞われるほか、詩の朗読や伝統芸能の披露などのイベントもあり、非常に文化的価値の高い祭りです。
昭和37年、村は仮称「心平文庫」の議案を決め、草野心平の友人、建築家山本勝巳に設計を委託しました。昭和41年7月、「天山文庫」と正式名称も決まり落成式が行われました。文庫には、1968年にノーベル文学賞を受賞した川端康成揮亳の「天山」の扁額や、版画家 棟方志功の書が掲げられています。この祭りは、故草野心平先生の遺徳をしのび、出会いと交流を図るお祭りで、各自が持ち寄った酒や肴、山菜料理を食ながら親睦と融和を深めるものです。国内外からの参加者も含めて、川内村の夏のイベントとして広く全国に知られています。
会場の天山文庫は、名誉村民だった心平が蔵書3,000冊を村に寄贈、それを収めるために、村人が一木一草を持ち寄り、ボランティアで建設したものです。建設委員には、光太郎の実弟で、鋳金の人間国宝、心平と親しかった高村豊周も名を連ねていました。
東日本大震災以降は、復興祈願的な意味合いも加わり、遠方からの参加も多く、盛り上がっています。非公式ながら、夕方からは心平ファンの皆様が「かえる忌」会場ともなっている小松屋旅館さんで「二次会」を開き、こちらも盛り上がっています。
昨年は欠礼いたしましたが、その前まで3年間、参加させていただきました。
福島川内村・天山祭り。(平成25年=2013)
川内村レポート(その1)。(同26年=2014)
福島川内村レポート(その1)。(同27年=2015)
実は今年も別件で都内に出かけるため、参加できません。申し訳なく思っております。盛会となることを祈念いたしております。
【折々のことば・光太郎】
詩に循ずる者能く詩を嗣ぎ、 詩を脱せる者能く詩を生む。 前者堕して滔々たる新様の月並みとなり、 後者陊(やぶ)れて磊々たる途上の瓦礫となる。
詩「詩の道」より 昭和10年(1935) 光太郎53歳
「循」は、訓読みでは「したがう」とする場合があり、「決まったルールに従う」といった意味です。いわゆる「大家」と目され、詩史の系譜に連なる人々を指すかと思われます。
「詩を脱せる者」は、そうした系譜からの鬼子のような、例えば宮沢賢治、そして草野心平、そして心平と近い位置にいて、光太郎とも親しく交わった更科源蔵、猪狩満直、尾形亀之助、黄瀛などなど。心平はともかく、賢治も早世し、他の詩人達もはっきり言えば無名のまま「途上の瓦礫」。ある意味、手厳しいですね。
しかし、光太郎自身は、この後、大政翼賛の方向に転身し、「堕して滔々たる新様の月並みとな」って行きます。